Forever Dreamer(永遠の空想家)
雪もすっかり消え、温かさも日増しに強くなっている、そんなある日…
「ご主人さまぁ」
「ん?何だい、みどり」
「みどりさん…一度行ってみたいところがあるのれす」
「え…行ってみたいとこがあるんだ…それってどこなの?」
「それは…博物館れす」
「博物館っ!?」
「そうれす。ご主人さま今、『みどりさんが、そんなところに行きたいなんて』って思ったれすね」
「ごめん、実はそう思ってた」
「ひどいれす、ご主人さま」
「ごめんごめん、いいよ。だってもうすぐみどりの誕生日だしね」
「ありがとうなのれす、やっぱり大好きれすご主人さま」
ぽふっ ぎゅっ
みどりは笑顔でご主人さまに抱きついた。
「みどり…ま、いいか」
ご主人さまは抱きつかれたまましばらく、みどりの温もりを感じていた。
そしてみどりの誕生日当日…
ゆさゆさ
「ご主人さま、起きてくらさいれす」
「ん…あ、おはようみどり」
「おはようれす、ご主人さま」
「どうしたんだい?みどりにしては、またずいぶんと起きるのが早いじゃないか」
「今日博物館に行くんれすよね?」
「うん、そうだけど…」
「それらから…なんらか心がウキウキしてるんれす」
「はい、みどりちゃんったら、ご主人さまが起きられるずっと前に起きてたんですよ」
「あ、らんもおはよう。そうだったんだ、じゃあ僕も用意しようかな」
「早くするれす、ご主人さま」
「みどり、急いだって博物館は逃げないんだからさ、その前に、朝ご飯食べようよ」
「う〜ん…それもそうれすね」
………
「それじゃあみんな、行ってくるから」
「みなさん、みどりさん行ってくるれすー」
「「「「「「「「「「「いってらっしゃーい」」」」」」」」」」」
「よし、じゃあまずは駅まで行く…ん?あれ?みどり?」
「ありさん、ありさん、どこまで行くのれすか?」
「こーら、みどり。博物館に行きたくないの?」
「あ…ごめんなさいれす」
「先行っちゃうよ、みどり」
「あ、待ってくらさいなのれす〜」
こうして二人は駅へと向かっていった。
ぷしゅー
「降りるよ、みどり」
「はいれす」
こうして上野駅に降り立った二人。
「ふえ…人がいっぱいれす…」
「えっと…確かこっちだったな…」
「あ、あそこに看板があるれすよ」
「本当だ…あ、やっぱりこっちでいいんだ」
二人は国立科学博物館へと向かっていった。
入館料を払い、中に入っていった二人。
「じゃあみどり、何について見る?」
「みどりさんれすね、月さんについて見てみたいのれす」
「えっとじゃあ…」
パンフレットを開くご主人さま。
「あったあった、この本館の3階だね。よし、行ってみるか」
「はいれす」
………
「これは…何れすか?ご主人さま」
「えっとこれは…月球儀だね」
「月球儀って何れすか?」
「地球儀の月版さ。月の表面とかを見たりする物だよ。ほら、そっちから光が当たってるでしょ」
「あ、本当れす」
「このままこっち向きに歩いて見ると、月の満ち欠けについて分かるってわけさ」
「面白いれす……ほえ?このボタンは何れしょう?」
カチッ ピカッ
「ここが…宇宙船の着陸地点なんれすね…見れば見るほど月さんは不思議がいっぱいなのれす」
………
「ご主人さま」
「ん?何だい、みどり」
「みどりさん、そろそろお腹が空いてきたのれす…」
その刹那、
くぅぅぅぅ…
「あっ…」
「可愛いね、みどり」
「ご主人さま、そんなこと言わないでほしいれす…恥ずかしいのれす…」
「でも…確かに、みどりは朝あんまり食べてこなかったからね」
「なのれ…そろそろお昼ごはんにしたいれす」
「うん。もう十一時半だし、ちょっと早いけどいいかな」
がさがさがさ
「ご主人さま、これお弁当れす」
「え!?みどり、作ってきてたんだ」
「はいれす、朝にらん姉さんに手伝ってもらったのれす」
「うん、じゃあ…地下のラウンジ行って食べよ」
「はいれす」
………
「「いただきまーす」」
弁当には二人分の食事が入っていて、おにぎり、少し形の歪な卵焼き―これはみどりが一生懸命作ったのだろう―、ポテトサラダに、小さいハンバーグが幾つかとフルーツ…と、結構色々と入っていた。
「この卵焼き、みどりが作ったのかい?」
「そうれす、みどりさん一生懸命頑張ったれすよ」
ぱくっ
その卵焼きは少し甘めの、食べると心がほんわかする…そんな柔らかい味であった。
「うん…美味しいよ、みどり」
「そう言ってもらえて嬉しいのれす」
「あ、みどり」
「ほえ、何れすか?」
「ここにご飯粒つけてるよ」
つつっ ぱくっ
「う…ご主人さま、何するんれすか…恥ずかしいれすよ」
「いいじゃないごちそうさま、それじゃあ午後もいっぱい回ろうか」
「ごちそうさまれした。そうれすね、今度は…あ、ここに行きたいれす」
「えっと…新館の2階ね、よし行こう」
………
ガタンゴトン
帰りの電車の中…
「今日はいっぱいいっぱい、分かって良かったれす」
「そうかい?喜んでもらえて嬉しいよ」
「れも…」
「何だい?」
「ご主人さまの秘密が無かったれす…」
「そ…それはないと思うけど…あ、そうだ」
「ほえ?何れすか?」
「はいこれ、プレゼントだよ」
「これは…ルーペれすか?」
「うん、望遠鏡と顕微鏡は持ってたでしょ、でも持ち運ぶんだったらこっちの方が便利かなって思ってさ」
「あ…ありがとうなのれす〜」
ぎゅっ チュッ
みどりはご主人さまに抱きついてキスをした。そして電車は二人の帰るべき駅のホームへと滑り込んでいった…
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あとがき
いよいよ、2004年度BSS始動しました。
ちょっとこの回路は始動法が難しくって…(笑)
2004年度のものはプレゼントは普通のものにもどります。
あ、そうそう4作目くらいで感付くとは思いますが、タイトルに今回も共通点を設けました。
これと次の作品だけで気付いた人は…相当のマニアですね、あるものの。
ちなみにこの作品で200日越え達成です。(遅れてるんだか進んでするんだか…(笑))
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2003・09・13SAT
雅