Diamond's Face(金剛石の表情)

「ご主人さま、タマミと一緒に買い物行きましょう」
晴れたある日悟郎はタマミに買い物に誘われた。
「う〜ん、うんそうだね、たまには買い物につきあおうかな」
「それでは、すぐ行きましょう」
「おいおい、そんなに急かすなよ」
「早くしなくちゃ行けない理由があるんです」
そういうタマミの表情は必死であった。
「そ、それなら、すぐ行こうか」
アパートを出るとすぐにタマミは商店街方向に一目散に走っていった。
「早くしてください、ご主人さま」
「だから何でそんなに急いでるんだ?」
「答えは着いてから話しますから、とにかく急いで下さい」
「わ、分かった」
と、商店街に着いて悟郎はその理由が分かった。
「ご主人さま、できるだけ良いのを取ってください」
「うん、わ、分かったよ」
そう、実は肉屋のタイムサービスギリギリの時間だったのだ。
「あぁ、ご主人さま、これよりこっちの方が良いです」
「えっ、そう?」
「そうですよ」
こうして肉屋ではたっぷりと肉を買い、次のタイムサービスをやってる魚屋そして八百屋などを巡り、ほぼ商店街一周となった。
「ご主人さま、今日は助かりました。いつもだとこんなに持てないですし」
「いやお礼はいいよ。たまには家の事でもしないといけないと思ってたしね」
「でも本当にありがとうございます、ご主人さま」
「でもやっぱり、さすがタマミだねって思ったよ今日は」
「え、それはどういうことですか?ご主人さま」
「だって、僕だったらこれだけのものこんなに安く買えないし」
「こういうのは、ちょっとしたコツが必要なんですよ」
「あ、そういえば、タマミ」
「なんですか?ご主人さま」
チュッ
一瞬の隙を突いて悟郎はタマミにキスをした。
「え、ご、ご主人さま、な、何でタマミにキスしたんですか?」
ちょっと取り乱すタマミ。
「いつも、家計を守ってくれてるタマミへのお礼だよ」
こうして葉桜な4月の夕日に二つの影がのびていった…
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2002・03・20WED 初版公開
2002・05・31FRI 修正第1版公開
2002・08・13TUE 修正第2版公開
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