A Girl Swerves from Decrescendo Feeling(沈みゆく気持ちを変えるヒト)
「ご…ご主人さまぁ…」
夏のある日、茶色の髪の少女が一人、誰かを探すように歩行者天国に居た。
「どうしよう…ご主人さまぁっ…」
ぽつりぽつりと地面に水の跡が付いていく…
「…っく…っく…ご主人さまぁ…」
と、そこに一人の少女が…
トントン
「んー?どうしたのかな、こんなところで女の子一人じゃ危ないねぇ」
「(びくっ!)…」
「うわあっ、そんなに驚くなんて。何だか泣いてるみたいだから、どうしたのかって思っただけだよ」
「(えっ…)…」
「もしや、君は迷子なのかな?」
こくんっ
ようやくももは落ち着いてきたのか、その少女に対して頷いた。
「やはりそのようだね。しょうがないこうなったのも何かの縁だ、私も協力してしんぜよう」
「………???」
ももの頭の中は少し混乱し始めたようだ。
「いやー、君とは他人とは思えないんだよ」
「………(えっ…どうして…・?)」
「だからこそ協力したいんだよ」
「あ…あの…」
「おおう!やっと声を出してくれたんだね」
「え…えっと…」
「まあまあ、ゆっくりと話してくれて構わないから」
ぎゅうっ
と、ももはいきなりその少女へと抱きついた。
「うわあっ!」
「怖かったんです…急に一人になっちゃったから…」
「そういうことかね、よしよし」
と、少女はももの頭を撫でてあげた。
「んー、こうしてるのもあれだからねえ。どこかで話を聞こうかな?」
「…はい」
と2人は近くのベンチへと座った。
「んーと、まず何て名前なのかな?」
「…ももです…」
「ももちゃんね、それで誰を探してたのかな?」
「え…えっと…(言っていいのかな…?)」
「んん?言えないのかな?それとも言い辛いのかな?」
「は…はい」
「そうなんだね…って私の自己紹介をしてなかったね」
「あっ…」
「私は泉こなた、こなたって呼んでくれたまえ」
「はい…こなたお姉ちゃん…」
「うーむそれにしても言いにくいとは…ん?ももちゃん、苗字って言ったっけ?」
「え…えっと…」
「それにさっき、薄ら『ご主人さま』って聞こえたような気がするしなあ…」
「あっ…」
「もしや…私初めて会ったよお、つまり君はあれだね?」
「はい…こなたお姉ちゃんが思っている通りだと思います…」
「ももちゃんは、何の動物だったのかな?」
「え…?あ、おさるさん、リスザルでした」
「猿かぁ…モンキー…のももちゃん…モンキーモモ…あはっ、そういうことか」
「え…?」
「ももちゃんのご主人さまは、名前を駄洒落で付けてたんだね」
「そうなんですか…?ももは良く知らないです…」
「まあね。ももちゃんの歳からしたら、知らなくて当然かな。あ、それじゃあこの髪の毛って…」
「はい…リスザルの時のしっぽです」
「そうだよねえ。可愛いね、この大きなリボンも」
「そ…そうですか?お姉ちゃん」
「そうだよ、うーん萌え要素が一杯だねえ」
「…???」
「だって泣き虫でか弱くて…それにポニテもリボンもご主人さま属性だって…」
「よく分からないです…」
「たぶん、普通の人には分からないよ」
「そ、そうなんですか…?」
「まあねえ。あ、ももちゃんのご主人さまはどんな人なのかな?」
「えっと、とても優しくて…一緒に居ると落ち着くんです…」
「そうだろうねえ、ももちゃんの顔を見ると分かるよ」
「え…?」
「だってねえ、ご主人さまのことを話してるももちゃんの顔って嬉しそうだもん」
「あ…う…」
少し顔を赤らめるもも。
「それにしてもこんな可愛いももちゃんを置いてくなんてねえ」
「え…そんな…」
「そういえばどこで逸れちゃったのかな?」
「さっきの場所の近くでした…確か」
「この近くか…もうちょっと詳しく話してくれないかな?」
「えっと…今日は誕生日でご主人さまと一緒にここまで来てたんです」
「うんうん」
「それでご主人さまが何かを思い出したみたいで、急に走り出しちゃって…」
「んー」
「その時、ご主人さまと手が離れちゃって…」
「あー、そういうことねえ。んー…難しいなあ。あ、ご主人さまは携帯は持ってる?」
「あ…はい、でも…」
「ん?でも?」
「電話が怖くって…掛けられないんです…」
「電話が怖いんだ…もしかしてトラウマっていうものかな?」
「はい、電気が怖くって…ダメなんです…」
「電気が苦手なんだ、なるほどね。それじゃあ電話は私が掛けるとして番号は分かるかな?」
「えっと…ちょっと待ってください…あ、ありました」
「お、良かった良かった。それじゃあちょっと待ってね」
ピッピッピッピッピッピッ
「あ、もしもし。泉こなたと申しますが、ももちゃんのご主人さまでしょうか?」
『…………………』
「はい、今駅前のベンチの方に居ますので来ていただけませんでしょうか?」
『…………………』
「それではお待ちしてます。では、失礼します」
『…………………』
「はいー」
ピッ
「うん。すぐ来てくれるみたいだ、よももちゃん」
「ありがとうございます、こなたお姉ちゃん」
「いやいや礼には及ばないよ、私も好きでやってることだからね」
「お姉ちゃん、何か予定は無かったんですか?」
「んー、無かったわけじゃないんだけどね。まあそれで駅に向かっていた途中だったしねえ」
「え…大丈夫だったんですか?」
「まあね、私用だったしさ。それにね…」
「それに…?」
「こんな可愛いももちゃんに出会えたんだから、そんなところに行かなくても大満足だよ」
「そんな…」
「いや、本当にね…」
チュッ
こなたはももの頬へとそっとキスをした。
「こなたお姉ちゃん!?」
「こんなことをしてあげたくなるくらい可愛いってことだよ」
「………」
「ん?どうしたのかな?」
「は、恥ずかしかったんです…」
「あ、そうだよね。それは当たり前だよ、私だってそうだもん」
「でも気持ちよくって…温かかったです…」
「そっか、可愛いなあ…ももちゃんは」
「えっと、あ…あの…」
「ん?どうしたの?」
チュッ
「ももちゃん!?」
「………こなたお姉ちゃん、大好きです…」
「えっ…?」
「ももをこうして守ってくれて…それが嬉しくて、それに温かくて…」
「何だかそう言われると照れちゃうよ」
「だからもう少しだけこのまま…いいですか?」
「うん…私の胸に頭を預けてていいよ」
「…ありがとう…お姉ちゃん」
ぽふっ
ももはこなたの胸へと頭を預けた。
「温かい…お姉ちゃん…」
と、しばらくすると…
「もも!」
「ご主人さまぁっ!」
タタタタタ ぎゅうっ
ももはご主人さまに駆け寄って抱きついた。
「ごめんねもも、本当にごめんっ」
「もう会えないかと思っちゃいました…」
「すみません、本当にご迷惑をおかけしてしまいまして」
「あ、いいですよ。こっちも楽しかったですから」
「これ、ささやかですが…」
「いえ、本当に要らないです。そんなの頂くわけにはいきませんって」
「そうですか…でも今回は本当にありがとうございました」
「ありがとうです、こなたお姉ちゃん」
「いえいえ」
「それでは失礼します。それじゃあ行こう、もも」
「こなたお姉ちゃんさようならです」
「うん、会えたらまた会おうね」
ももとご主人さまは、そのまま街の方へと向かっていった…
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あとがき
両作品のファンの方、ごめんなさい。雅です。
らき☆すたの影響で、これは書かなくちゃって思ったんです、ごめんなさい、ごめんなさい。
しかも手書きだったので長くなってしまいましてね…でも書いてるときは楽しかったんですよ。
この二人、意外と良い組み合わせかもしれません。今後も利用したいなと思います。
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2007・06・29FRI
雅
↓
↓
↓
↓
↓
↓
「さーて、このまま東京に向かおうかそれとも…」
と、そこに…
「お、かがみんだー」
「げ、こなた…休みにまであんたに会うなんて…」
「そんな顔するなんて…私たち友達じゃなかったの…?」
「気持ち悪い顔で言うなっ!まったく」
「で、かがみはどうしたの?」
「少し探し物があってねえ、こなたこそどうしたのよ?」
「ちょっとアキバに行ってくるつもりだったんだけどねえ」
「で、どうしてここに居るのよ」
「迷子の子がいてねー、それで色々あったんだよ」
「珍しいわね、こなたがそんなことをするなんて」
「何か良いように言われてない気がするんだけどなあ」
「ゴメンゴメンって」
「いやー、可愛かったよーうん」
「あんたが言うと何だかあれだけど…」
「いや、本当なんだってば、可愛くて可愛くて思わず…」
「あんた、まさか…」
「んー、チュッってするくらいなら、問題ないかなって思ったんだけどねえ」
「よく捕まらなかったわね…まったく」
「それでかがみんは、これからどうするん?」
「私はまだこの辺をブラつくつもりだけど。あんたは?」
「どうしようかねえ、どうせアキバじゃかがみはついて来ないでしょ?」
「そうねえ、まず行くにしても定期も持ってきてないし…あれ?」
「どしたの?」
「学校に行く時の癖で入れてたみたい」
「じゃあ一緒に行こうよー、かがみーん」
「なんであんたと一緒にそんなところに行かなきゃいけないのよ」
「ああいう場所は、一人じゃつまんないんだもん」
「だからって何で私が連れてかれなきゃいけないのよ!」
「いーじゃん、どうせ暇なんでしょ?」
「暇だけど…買う物も…」
「ん?んんー?そう言うってコトはラノベだね?」
「だから言いたくなかったのよ、ったく…」
「で、どうするの?かがみんは」
「分かったわよ、暇なのも買ってくる物も確かにあんたの言った通り」
「と言うことは…?」
「あー、行ってやるわよ。ただし電車代はあんた持ちね」
「しょーがないなあ、まあついて来てくれるんだしねえ」
「ちょっと待ってて、家に電話入れておくから」
「もうすぐ電車来るはずだから、早めにしてよね」
「一本後の電車でもいいでしょ、別に秋葉原は逃げるわけでも無いし」
「でもでも、同人誌は刻一刻と減り続けるかもしれないじゃん」
「分かった分かったって。…あ、つかさ?うん、こなたと一緒。これからこなたと一緒に東京に行ってくるから。うん、そう伝えといて。それじゃあね」
「OKだって?」
「うん、それじゃあ行くか」
こなたとかがみは、そのまま駅へと向かっていった…
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あとがき その2
よくぞ見破りましたね、先があったことを。クロスオーバー名義の琴瑞です。
実はこの作品、当初は単にクロスオーバーSSだったんです。
掲載時に方針転換して少し加筆してBSSに仕立て上げただけなので。
ちなみに私の某日のmixi日記を見ている人には感付いている人も居るかもしれませんが、
当初はななとゆたかも出てくるバージョンもありました。
今回はこのSSに合わせて出してませんが、もしかしたら将来的には…あるかもしれませんよ。
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2007・06・29FRI
琴瑞