For Harmonious Crescendo Sleep(睦まじき熟睡のために)
今日は7月の最初の土曜日…
「ほらっ!ご主人さま、行こうよっ」
「ちょっと待って、忘れ物は無い?ジュン」
「んーと、アタシの方はバッチシだけどご主人さまの方は?」
「僕の方も問題は無いな、財布もきちんとあるし」
「でも良かったあ、今日が雨にならなくて」
「本当だね、ジュンの誕生日に水を注さなくて良かったよ」
「ご主人さま、自転車の鍵は持った?」
「えっと…うん、じゃあ行こう」
ばたんっ ガチャっ
家から出た二人。
「ご主人さま、あれって家からどっちだったかな?」
「家からだと西方向になるから、そっち側だよ」
「よしっ、それじゃあ出発だね」
「うん」
かちゃん がちゃんっ
二人の自転車は西へ向けて走り始めた。
………
「んーっ、風が気持ちいいねっ」
「うん、この時期は雨が無ければ本当にいい風だよ」
「あとどれくらいだったっけ?ご主人さま」
「えっと、次の信号を右に入ってそれから200mくらい行ってすぐの角だな」
「それじゃあ早く行こっ!」
「って、信号じゃないか。そんなに早く行かなくてもプールは逃げないんだからさ」
「そうだけど…早くご主人さまと一緒に遊びたいんだっ」
「分かったから、ほら信号変わったよ」
「うん、行こっ」
「でもゆっくりね。ゆっくりジュンと話もしたいしさ」
「えっ…ご主人さまがそう言うなら…」
二人はゆっくりとまた自転車を漕ぎ始めた。
………
「それじゃあ中でね」
「うんっ」
プールに着いた二人、一旦更衣室へと別れていく。
「…それにしてもジュン、全部用意してくれるとは言ったけど…」
そう、ご主人さまは用意をすると言ったジュンに任せたために…
「あ、意外と普通のだった」
どんな水着を買ってきたのかを教えてもらってなかったのである。
「そういえば一緒に自分のも買うって言ってたけど…」
と、ご主人さまは着替え終わり…
「ま、こんなところで考えていてもしょうがないか。行こうっと」
………
「ご主人さまっ!」
「…ジュンっ!?」
ご主人さまが驚くのも無理は無い。ジュンのその姿は…
「ジュ・ジュン…それ…」
「えっ?動き易いのにしたつもりだけど…どこかおかしいかな?」
「確かに動きやすそうだけど…」
「ん?どうしたのっご主人さま、そんなに顔が紅くなるなんて風邪でもひいたのっ?」
「いや、かなり身体のラインが出てるからさ…」
そう、競泳用のかなりハイレグの入った水着だったのだ。
「言われてみれば…でもアタシは気にしないよ」
「ま・まあジュンがそう言うなら構わないけどさ」
「そういえばご主人さまの方こそどう?」
「うん、僕の方は大丈夫だよ。でもサイズ覚えててくれてたんだ」
「だって、いつもご主人さまの洗濯してるからねっ」
「それもそうか、それじゃあ泳ごうか。汗も流したいしね」
「うんっ!いっぱいいっぱい泳ごうっ!」
………
「ご主人さ、ま」
プールから上がって休んでいるご主人さまに駆け寄るジュン。
「ん?どうしたの?ジュン」
「そろそろお昼だよ、ご飯にしよっ」
「もうそんな時間か…って時計とかあったっけ?」
「ご主人さま、水面を見るとわかるよっ」
「えっ?どういうこと…?」
「ほらっ、あれだよっ」
「あ…」
よく見ると水面には天井にある巨大な時計が映っていた。
「なるほど、そういうことか」
「今持ってくるから、待っててね」
「うん。あ、でもここで食べて大丈夫だったっけ?」
「あ…確かあっちって言ってたよ」
「じゃあ一緒に行こう。そっちで飲み物だけ買って待ってるよ」
………
「「いただきまーす」」
今日は土曜日とあって、食事スペースには二人以外にも家族連れも多くいあわせていた。
「うん、美味しいよ。また腕を上げたね、ジュン」
「ありがとっ、ご主人さま。そう言ってもらえると嬉しいよ」
「僕の好みの味も完璧だしね」
「だって毎日ご主人さまのことを思って作ってるからね」
「でも今日は一段と美味しい気がするな」
「運動したからかもしれないよ」
「そっか、そういえばこのサンドイッチ…何だろ?」
「あっ…」
「ん?」
「ご主人さま、分かっちゃったかな?」
「うん、何か味にちょっと特徴があったからさ」
「あ、ご主人さま」
「ん?」
ツツツツツ ペロッ
「ジュンっ!」
「美味しかった、ご主人さま」
「やったなっ、お返ししてあげるジュン」
ツツツツツ ちゅぷっ
「ご主人さま…」
「これでおあいこだよ。よし、食べ終わったしまた泳ぎに行こうか」
「そうだねっ、ちょっと休んだら行こうっ」
「うんっ」
二人は日が傾き始めるまで水を楽しんでいた。その夜二人は仲良く並んで熟睡していたという…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
どもども。雅です。
今日はぞろ目ですねえ…新潟は天の川は見れませんでしたが星が綺麗でした。
ジュンで昼の作品ってそういえば3作目にして初めてですね。
でも、それなりの作品に仕上がったと思います、自分としては。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2007・07・07SAT
雅