Rain Concerto(雨の協奏曲)

ザーーーー
その日ご主人さまは、雨の降る外をなんとなく眺めていた。
「ご主人たま、ご主人たま〜」
「あ、るる。何だい?」
「ご主人たま、出かけるぉ〜」
そう言うるるの体は既にレインコートに包まれていた。
「え、どこに?」
「ご主人たま、今日は何の日か覚えてないぉ?」
「え…何の日かって…るるの誕生日…だけど…」
「だから出掛けるぉ〜」
「そっか…るるは雨が好きだったもんね、じゃあちょっと待っててね」
「わ〜い、おっでかけらぉ〜」
 
5分後…
「それじゃあ行こっか、るる」
「はいらぉ〜」
「じゃあみんな、頼んだよ」
「「「「「「「「「「「は〜い」」」」」」」」」」」
がちゃ
ご主人さまとるるは雨の街に出掛けていった。
 
「ご主人たま〜こっちらぉ〜」
「何だい?るる…あぁ紫陽花かぁ…」
そこは一面に紫陽花が咲いている場所であった。
「ご主人たま〜、こっちこっちらぉ〜」
「ん、何だいるる」
「ここにかたつむりたんがいるぉ〜」
「あ、ほんとだね」
ご主人さまが屈んでみると、そこには沢山の蝸牛がいた。
「るるたん、かたつむりたんが好きらぉ」
「えっ、どうして?」
「だって、るるたんといっしょで雨が好きらぉ〜」
「あ、なるほどね」
二人はしばらく無心で花を眺めていた。
「それじゃあ今度はあっちの池に行こうか」
「はいらぉ〜」
二人は近くの池へと向かった。
 
ゲコゲコ ケロケロ
「あ、ここにはかえるたんがいーっぱいらぉ」
「うん、沢山いるね」
「♪かえるのうたが〜きこえてくるぉ〜♪らぉ」
「うん、うまいよるる」
「わ〜い、ほめられたぉ〜」
その池には数多くの蛙がいた。
「ご主人たま、これがるるたんの前世らぉ?」
「そうだね、るるの前世はアマガエルだったよね」
そこでるるは蛙たちに向かって、
「えっへん、るるたんはみんなと同じかえるから、守護天使にてんせーしたんらぉ!ここにいるかえるたん、頑張って守護天使になるんらぉ!」
ケロケロケロケロ
「………蛙たちが応えてるよ…」
ご主人さまは少し苦笑をした。
「それじゃあるる、次はどこに行きたい?」
「えっと…るるたんお腹すいちゃったぉ」
クー
その時るるのお腹が鳴ってしまった。
「あ…恥ずかしいぉ〜」
「あははっ、可愛いね」
「ご主人たま、その言葉はれでぃーに失礼らぉ」
少し顔を紅くして恥ずかしがる、るる。その時…
グー
「あ、僕も鳴っちゃった」
「これでいっしょらぉ〜」
「それじゃあ昼ご飯を食べに行こうか」
「うん」
二人はスパゲッティ屋へと向かった。
 
ガーッ
「いらっしゃいませー、こちらの席へどうぞー」
「はい」
二人は窓際の席に案内された。
「ご注文の方はお決まりでしょうか?」
「るるたんはこれにするぉ」
「うん、分かったよ。じゃあ、ミートソースとカルボナーラ、あとドリンクバーを二つ、以上で」
「はい。それではドリンクバーのグラスは、あちらにございますのでどうぞ」
「分かりました。じゃあるる、飲み物を取りにいこうか」
「うん」
 
「るるは何を飲むんだい?」
「るるたんはオレンジジュースらぉ。ご主人たまは?」
「僕はアイスティーかな、それじゃあ席に戻ろっか」
「あ、ご主人たま。はい、ストローらぉ」
「ありがと、るる」
 
「それじゃあるる、誕生日おめでとう、乾杯」
「かんぱ〜いだぉ」
キーン
二人のグラスが綺麗な音で触れ合った。
「こくっこくっ…あーおいしいぉー」
「ごくっごくっ…うん、美味しいね」
「お待ちどうさまでした、ミートソースとカルボナーラです。ご注文の品は、以上でよろしかったでしょうか」
「はい、確かに」
「それでは、ごゆっくりお食事下さい」
「わーい、スパゲッティらぉ〜。いっただきま〜す」
「いただきます」
クルクルクル
「パクッチュルチュル、う〜んおいしいぉ〜」
「ツルツルツル、うん美味しいね」
「あ、ご主人たま」
「ん?何だいるる」
「ほっぺにソースがついてるぉ、取ってあげるぉ」
ツツツッ チュプッ
るるは向かいにいたご主人さまの頬から、人差し指でソースを取ってその指を舐めた。
「そ…それならるるだって付いてるよ」
「え、どこらぉ?」
ツン チャプッ
ご主人さまも同じように、るるの頬から取ってあげた。
「う…恥ずかしいぉ〜」
「僕もちょっとね…」
二人とも少しだけ顔を紅くした。
「るる、食べよ」
「うん」
二人は少しだけお互いを気にしながら食事を続けた。周りからは微笑ましい親子に見えているだろう。
 
食事も終わって…
「それじゃあ行こうか」
「え?どこに行くぉ?」
「だってるる、まだ遊び足りないでしょ?」
「うん」
「だからもう少し遊ばない?」
「うん、そうするぉ〜」
るるはご主人さまに案内されるがまま、色んな場所に向かっていった。
 
そして最後に来た場所は、公園にあるあずまやであった。
「ご主人たま、何でこんな所に来たぉ?」
「それは、プレゼントを渡したかったからさ」
「プレゼント?」
「うん、はいるる」
と、ご主人さまがポケットから取り出したのは、透明な黄緑色の珠が付いたブレスレットだった。
「ご主人たま、これはブレスレットらぉ?」
カチッ
るるはそのブレスレットを手首に付けた。
「うん、サイズも大丈夫だね」
「ご主人たま、この玉は何らぉ?」
「それはね…ちょっとそのブレスレットを外して、ここの継ぎ目だけを温めてみて」
カチャ
「こうらぉ?」
「うん、そんな感じにね」
しばらくすると…
「ふわぁ、光るんら〜」
「うん、僕のもね」
るるの珠とご主人さまの指輪の黄緑色の珠が光りだした。
「ご主人たま、ありがとうらぉ」
チュッ
るるはご主人さまの唇にキスをした。
「どういたしまして、それじゃあどうする?少しここで遊んでいくかい?」
「うん」
二人は雨の公園を楽しんでから、みんなが待つ家に戻っていった。
その見上げた空の隙間からは、陽射しが一本の塔のように差し込んでいたという…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
誕生日小説2順目2作品目完成いたしました。
本当は昨日(3/31)に出来上がっていたのですが、自動車免許の試験を受けたため余力が残っておりませんでした。
今回のるるのBSSは、結構難産でした。
まぁ記録更新できたので良いとしましょう。自分としては35/100の出来ですが…。
えっと、プレゼントについてですが、今回の2順目は4種類のアクセサリーの何れかになります。
あ、ちなみにトリオごとにプレゼントが変わるのであしからず…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2003・04・01TUE
短編小説に戻る