Exercise Canon(動の追復曲)
それは新年も5日目のこと…
「ほーらご主人さま、遅いよーっ!」
つばさはご主人さまと冬の道を一緒にランニングをしていた。さすがはつばさ、息も切らさずに走っている。
「はぁ…ふぅ…つばさ…はや…はぁ…すぎるよ…」
一方のご主人さまは、もうヘロヘロになっていた。
「そんなことないよ、ご主人さまが運動不足なんだよっ!」
「そんなこと言ったってさぁ…」
こんなことになった理由は、一昨日に言ったある事に遡る…
「ふー、食べも食べたり、飲みも飲んだり…」
この日はまだ三が日、ご主人さまの体にも(くるみ以上の守護天使にもちょっぴり)お酒が入っていた。
「ご主人さまぁ」
お酒のせいか少しだけ声が艶っぽいつばさ。
「ん?なんだいつばさちゃん」
「明後日がぁ、ボクの誕生日だってのはぁ、覚えてるよねぇ?」
「もちろん、ちゃんと覚えてるさ」
「そのボクの誕生日ぃ、一緒に運動しようよぉ」
「うん…いいよ、つ・ば・さ・ちゃんっ」
「ありがとっ!ご主人さま。ご主人さま、それじゃあもう少し飲む?」
「あ、うん。こんなに綺麗なつばさちゃんにお酌してもらえるなんて、とっても嬉しいよ」
「ご主人さまったらぁ、でもそんなこと言ってもらえるなんて嬉しいな、ボク」
………と、こんな訳だ。
「んーっ!でもだいぶ走ったね」
つばさは体を大きく反らせた。
「うーん、そうだねっ!」
ご主人さまも大きく体を反らせた。
「ほらご主人さま、あそこまであと少しだからさ、頑張ろうよ」
「う…うん…」
二人は再び走り始めた。
たったったったったっ
「ふー着いたね、ご主人さま」
二人は近くのスポーツクラブまで走っていたのだ。
「うん、もうクタクタだよぉ」
「大丈夫?ご主人さま」
「もう疲れて動けないかも…」
「えー…ボク、ご主人さまと一緒に運動したかったんだけどなぁ…」
「うっ…」
「どうせボクなんか…らんみたいに料理上手じゃないしぃ…みか姉さんみたいにスタイルがいいわけでも、あゆみ姉さんみたいに勉強が出来るわけでもないしぃ…」
「そんな…」
「どうせボクはただの運動が出来るだけの女の子だから…ご主人さまにとって魅力は無いんでしょ…いいもんいいもん…」
わざと(でも何だか本気で)いじけてみせるつばさ。そしてご主人さまは…
「そんなことないよつばさ…つばさだって魅力的な女の子だって」
「ホント?」
「うん、運動している姿だって歌声だって魅力的だし、何と言ってもつばさ…」
チュッ
「えっ…」
つばさは少し顔を紅くした。
「つばさはやっぱり、笑顔が一番魅力的さ」
「うんっ!」
つばさは顔を紅らめたまま、満面の笑みで応えた。
「でも疲れがとれるまで、あと5分だけ待って…」
「うん、それじゃあ…さっきのお返しと元気の出るおまじないだよっ!」
チュッ
つばさはそっとご主人さまの頬にキスをした。
「ありがとつばさ、元気が出たよ」
「よかったっ、元気が出たみたいだねっ!」
「それじゃあご主人さま、何する?」
「んーそうだなあ、まだちょっと疲れてるし…でも体が温まっているうちに、少しだけ動こうか」
「うん、そうだね」
「じゃあ…テニスにしようか」
「うんっ!」
………
「それじゃあご主人さまいくよー」
「うーんっ」
「そーーれっと」
ポーン スパーン パーン ポーン
1時間後…
「ふー、なかなかうまかったよ、ご主人さま」
「うん、体をこんなに動かしたのは久しぶりだったなあ…でもやっぱりつばさにはかなわないよ」
「それじゃあご主人さま、次は…」
「うん、プールに行こうか」
「でもその前に、お弁当食べようよ」
「そうだね、何を作って来たんだい?」
「えっと…らんみたいにうまくは出来なかったけど…サンドイッチだよ」
「それじゃあ…あっちの方で食べようか」
「うん、そうだね」
「「いただきまーす」」
ぱくっ
「うん、塩加減も辛さも酸味もばっちりだよつばさ」
「よかったあ、ご主人さまの好みに合う料理が作れて」
「でも…」
「でも?」
チュッ
ご主人さまは、つばさの頬に付いていたマヨネーズをキスで取ってあげた。
「うん、これで甘さもばっちりだな」
「は…恥ずかしいよ、ご主人さま」
………
「じゃあそろそろプールに行こうか」
「うん」
ご飯を食べて一休みした二人は、それぞれの更衣室へと向かっていった。
「おまたせー、ご主人さま」
つばさのスレンダーな体に、橙色でセパレートタイプの水着はとても似合っていた。
「ど…どうしたの?ご主人さま、さっきから黙ってるけど」
「いや…つばさがあまりにも綺麗だったから…」
「えっ…(ぽっ)」
つばさはまた顔を紅くした。
「で…でもありがと、ご主人さま」
「ん…それじゃあプール入ろうか」
「うんっ!」
じゃぷーん ぱしゃーん
プールに二人が飛び込む音が響いた。
………
「つばさー、そろそろ帰るよー」
「うーんっ!」
その帰り道…
「今日はいっぱい動いたね」
「うんっ、ボク気持ちよかったよ」
「あ、そうだ。はい、これ」
「これは何なの?」
「誕生日プレゼントだよ、つけてあげる」
ぱちっ ぱちっ
つばさの耳に赤い珠のイヤリングがつけられた。
「ありがとっ!ご主人さま」
チュッ
二人は冬の少し寒い道を暖かく帰っていった…
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あとがき
夏、マサカリ担いだ金太…もとい真っ盛りですな、こんな冬のSSを書くとは…。
今年は夏が無いですな…新潟県民としてお米がちょっと心配…。
はっきりいってギリギリでした、更新不可期間明日からでしたし…それに明日であゆみと並ぶとこでしたから。
あと残り三人、頑張ります。
えっと…次回SSはオリジナル守護天使SSかゆきBSSを予定しています…。
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2003・08・13WED
雅