Breath of Fresh Air(元気付けてくれる人)

それは11月初日のこと…
「あれ…?ここ…どこだろう?」
「お姉ちゃんっ…どこ…?」
二つの言葉が交差点の真ん中で重なった…
 
「あれ?ゆーちゃんが居ない…」
ここは先ほどの交差点から3つほど離れた交差点、そこに髪が青く長い少女が一人と…
「くそっ…どうしよう、ななのこと見失ったっ…」
そして青年が一人。
「…ん?…あっ!あの、すみませんが」
「ん?…あっ、こんにちは。こんな所で偶然ですね」
「お久しぶりですねぇ、ご主人さま」
「ハハハ、でもこの間はもものこと※もも誕生日SS2007参照※でお世話になりまして」
「いえいえ、あれはこっちの好意でやったことだし」
「今日はどうしたんです?」
「いやー、親戚の子と一緒に買い物に出てたんですけど…その…」
と、頭をポリポリ掻くこなた。
「え?今は一人じゃないですか」
「その…どうやらはぐれちゃったみたいで」
「ええっ!?大変じゃないですか…と言いたいところですが、実は私も…」
「あれ?あれぇ?もしかして…」
「はい…とりあえず、早く見つけないと」
「んー…なら、協力して見つけた方がいいかなあ?」
「そうですね…あれ?電話じゃないですか?」
「あ、本当だ」
カチャッ ピッ
「もしもし。あ、ゆーちゃん。ごめんねー、今どこ?」
『あ、お姉ちゃん。んーと…よく分からないけど…うう…』
「もしかしてゆーちゃん、気分悪いの?」
『う…うん、ちょっと。それもあるけど…』
「んん?それもあるけど?」
『迷子の子と一緒に居るから…どうしようって』
「そっか、うーん…じゃあ待っててくれるとありがたいんだけどなあ」
『でもお姉ちゃん、場所分かるの?』
「んー…そうだなあ…何か見える物ってある?」
『むー…あ、ローソンがあるよ』
「そっか、うん分かったよ。じゃあその子と待っててくれるかな?」
『うん』
ピッ かちゃんっ
「あの、一緒に来てくれません?迷子の子と一緒って話で、もしかしたら…」
「え?あ、そうですね。一緒に行きましょう」
と、二人はローソンがある方に向かっていった…
 
その頃…
ピッ カチャン
「今、お姉ちゃんが来るから一緒に待ってよう、ななちゃん」
「うんっ」
「あ、ななちゃんの…えっとご主人さま?は携帯持ってないの?」
「あるけど…番号が書いてある紙を家に置いてきちゃったから」
「そっか…うーん、まあ待ってるしかないよね」
「うん…うんっ」
「でも、んっ…」
「大丈夫?ゆたか姉ちゃん」
「ちょっと気分が悪いかも…大丈夫だよ…」
「お姉ちゃん、ななの膝使って横になって」
「え?悪いよお、ななちゃん」
「いいってばあ、だって一緒に居てくれるんだもん」
「うう…うん、ありがとうななちゃん。それじゃあ、うん」
ぽふっ
ゆたかはななの腿へと頭を預けてベンチで横になった。
「ふふふっ。ななちゃんの脚、温かいな」
「えへへっ、そう言われると何だかくすぐったいよ」
「でも、ありがとうななちゃん」
「ななこそありがとうだよっ、ゆたか姉ちゃん」
二人はしばらくそのまま、その時間を過ごしていった…
 
ゆたかが回復してしばらくすると、そこに二人の人影が…
たたたたたたっ
「ごしゅじんさまーっ!」
「ごめんっ!なな、怖かったかい?」
「ううん、ゆたか姉ちゃんと一緒だったから大丈夫だったよ」
「やほー、ごめんねゆーちゃん」
「お姉ちゃん速すぎるよー」
「ごめんごめん…ん?迷子ってあれ?あ、あの子のこと?」
当の本人は既にご主人さまに抱きしめられていた。
「うん、ななちゃんって言うんだって」
「やっぱりそうだったみたいですね、ももちゃんのご主人さま」
「まさかとは思ってたけど…本当に二度もお世話になっちゃって…」
「え?お姉ちゃんと知り合いの人なの?」
「まあね、前に一度色々あったんだよ」
「そうなの?ご主人さま」
「ほら、前にもものこと話しただろ?その時の人だよ」
「あっ、そうなんだー」
「でも、本当に二度もありがとうございました。こなたさんと、えっと…」
「あ、小早川ゆたかです」
「ゆたかさん、ありがとうございました」
と、そこに
くぅぅぅぅ ぐーーーー きゅるるるる
3つのお腹の鳴る音が…
「あうううう、恥ずかしいよお姉ちゃん…」
「確かに…ゆーちゃんお腹空いたんだね?」
「ご主人さま、そろそろお昼にしようよー」
「そうだな、よし。あ、それなら…こなたさんにゆたかさんも一緒にどうです?」
「ふえ?いいんですか?」
「二度も助けてもらったし、そのお礼も兼ねてだから」
「えっと…いいんでしょうか?本当に」
「ま、いいってこと」
「うん、ななもそっちの方が楽しいよ」
「よし、それじゃあ行きましょう」
「はい」 「はいっ」 「うんっ!」
四人はそのままお昼ご飯を食べに街の方へと向かっていった…
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あとがき
10月ももう終わりですか…雅です。
今回はもうお分かりの通りクロスオーバーです。
ゆたかは個人的にもけっこう好きな方でして、でもあんまり出せなかったような…
ま、いつも通り↓へどうぞ。
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2007・10・30TUE
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後日…
「もも、早く早くー」
「待って…待って、そんなに急ぐと迷子になるよ…ななちゃん」
「うー…でもぉ。…あれ?」
「どうしたの?」
「何だか懐かしい匂いがこっちからするよ」
「???ももには分からないけど…行ってみよ」
「うんっ」
二人がその場所へと向かうと…
「「「「あっ…」」」」
「ゆたかお姉ちゃん、久しぶりだねっ」
「久しぶりだね、ななちゃん。元気だったかな?」
「うん、ゆたかお姉ちゃんも元気みたいだねっ」
「うん…今は体調がいいみたい」
「あの…お久しぶりですお姉ちゃん」
「おひさー。ももちゃんは相変わらず可愛いなあ、うんうん」
「そ…そんなあ…でもお姉ちゃんも変わってなくて良かった…」
「むー…ま、それはそうと今日はどうしたの?」
「二人でお使いだよ、ゆたか姉ちゃんたちは?」
「私たちもだよ。どこにお使いかな?」
「えっと…そこのスーパーです…」
「あー、それじゃあ私たちと一緒かな。じゃあ一緒に行こうかね」
「うんっ!」 「そうだね、お姉ちゃん」 「はい…」
四人の笑顔、その日はそれが一層輝いていたという…
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あとがき その2
はい、こちらはクロスオーバー名義の琴瑞です。
書いてたら最後はやっぱりこういう展開にしたいなと思いまして。
この2組って、姉と妹(のようなもの)という関係では一致するんですよね。
動と静という関係は真逆ですが、でもこの関係素敵だなと。
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2007・10・30TUE
琴瑞
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