Be Alive(元気っ!)
それは神無月も終わりを迎えかけたある日のこと…
「ご主人さまーっ」
トトトトト
床に寝転んでいるご主人さまのそばへと駆けてくる少女が一人…
「ん?何だい?なな」
「ご主人さま、おさんぽに行こうよぉ」
「お散歩か…うん、行こうか。最近ななと一緒に、お散歩に行ってあげられなかったからね」
「やったあ!早く早くー」
「そんな、ちょっと待ってよ。お散歩は逃げないからさ」
「えー、でもぉ…」
「ほら、上着。もう寒くなる時期なんだからさ」
「え・あ…うん。ありがと、ご主人さま」
すすすす すすすす パチンパチッパチッ ジーーーーー
いそいそと上着を羽織る二人。
「どういたしましてっと。よし、じゃあ行こうか」
「うんっ」
………
その散歩道の途中…
「あ、そういえばなな」
「なあに?ご主人さま」
「そういえば明後日って、ななの誕生日だよね」
「うん、そうだよ」
「えっと、どこか行きたい所ってあるかな?」
「え?行きたいところかぁ…うーん…」
「どこでもいいさ、明後日なら晶に車を空けてもらえるって連絡も貰ってるし」
「ほんとに?じゃあアスレチックがあるところに行きたいな」
「アスレチックかぁ…うん、いいよ。ちょっと遠いけど車があればいいか」
「そんなに遠いところなの?ご主人さま」
「そんなに遠くはないけどさ。まあ近くにもあるけどさ、たまにはもっと大きい所で遊びたいだろ?」
「うんっ!ありがとっ、ご主人さま」
ぎゅうっ
ななは嬉しさのあまりご主人さまへと抱きついてきた。
「よし、じゃあ決まりだね。(あ、そういえばプレゼントまだ決めてないけどどうしよう…)」
「うんっ、楽しみにしてるよ…くちゅんっ」
「ん?大丈夫かい?なな」
「うん、ちょっと寒いだけだよ」
「じゃあ早めに帰ろうか、みんなが心配しないうちにさ。(あ、そうだ…アレにしよう…)」
「そうだね、ご主人さま」
二人は夕陽の差す家路を少し急いで帰っていった…
翌日…
「んー…ななに似合いそうなのは…これかなあ…?」
子供服売り場、何やらプレゼント用の服を選んでいるご主人さまの姿があった。
「あ…これ、いいかも。うん、これにしよう」
ご主人さまが手に取ったもの、それは…
その翌日、時はちょうど霜月に入った日の朝…
「ご主人さま、朝だよーっ!」
「ぐぅ…すぅ…」
「まただよぉ、ななの誕生日の時だけご主人さま、ねぼすけさんだよお」
「くぅ…すぅ…」
「うんっ、今年はあの方法で起こそうっと」
何やらななは準備をし始めた…
………
「よおし、起きないご主人さまが悪いんだからねっ」
フーーー
どこかへと息を吹き込んだなな。
「!?!?」
「あははっ!おはようっ、ご主人さま」
「えっと今のは…ななかい?」
「うん、そうだよ。だってご主人さまなかなか起きないんだもん」
そう言うななの手にはストローが…
「いきなり轟音だもん、びっくりしたさ」
「だってご主人さまがなかなか起きないんだもん」
「ごめんごめん、それは僕が悪かったさ」
「それじゃあご主人さま、起きて起きて」
「うん、起きようと思うけど…蒲団の上からどいてくれるかな?」
「あ、ごめんなさい…」
「よし、じゃあご飯食べたら行く準備しようか」
「うんっ!」
ななは満面の笑顔でそう答えた。
………
「いつも悪いな、晶。この前のみかの時から、これで3連荘だな」
「いいんですよ、先輩。最近ガソリンも値上がりしてきましたし、こっちも助かってますよ」
「…言うようになったな、晶も」
「それじゃあ今日はこの近くのセンターに居るんで、そこに置きに来てください」
「あ、うん。今日は何かあるの?」
「ええ、まあいいじゃないですか」
「何か荷物が多いみたいだけど…ま、ありがとう」
「ご主人さま、早く行こうよ」
「うん、なな。じゃあ借りるよ、晶」
「はい、行ってらっしゃい先輩」
タッタッタッタッタッ…
晶は荷物を小脇に抱え、街中の方向へと駆けていった。
「よし、じゃあ行こうかなな」
「うん、ご主人さま」
「じゃあ車に乗って、シートベルトを忘れないでね」
「はーいっ」
そして二人を乗せた車は、朝の道を駆け抜けていく…
………
着いた先、そこは小高い丘の上にある広い国営の公園であった。
「よし、着いたよなな」
「うわあ…ひろーい!」
「今日はここで一日中遊ぼうよ、なな」
「うんっ」
………
夕陽の差す時間帯、帰る前の車の中…
「楽しめたかい?なな」
「うんっ、とっても楽しかったよ」
「もう僕はへとへとだけどね」
「ご主人さま、運動不足だよ」
「確かにそうかも…でもななに楽しんでもらえてよかったよ」
「ありがとっ、ご主人さま」
「あ、そうだった忘れてた…」
ガサガサガサ
ご主人さまは座席の後ろから袋を一つ取り出した。
「はいこれ、誕生日プレゼントだよ」
「ご主人さまありがとっ、開けていいの?」
「いいよ、気に入ってくれるといいな」
ガサササガサッ
「あ、新しい上着だぁ」
「この前さ、今の上着がちょっと寒いって行ってたからさ」
「ありがとっ、ご主人さま」
チュッ
ななはお礼の替わりに、ご主人さまの頬に一つ口付けた。
「よし、じゃあ帰ろうか」
「うんっ」
二人を乗せた車は、ここに来た道を戻るために走り出した…
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あとがき
一日仕上げ…管理人です。
誕生日SS10本目(管理人BSS含む)、気合いを入れれば意外と1日で書けるものですな。
今回のななは本当に難産で…(そりゃ4年目ともなればネタが…)
でもとにかく、一気に突っ走って書いてみました。
よもや作者でさえ、こういう展開になるとは思わずに…(苦笑)
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2005・10・26WED
雅