Xmas Landscape 03(クリスマスの風景その3)

ここはある日の…
小鳥「終わりましたね…」
「あれだけ騒いだ後だと、少し寂しいですね」
小鳥「さ、片付けましょ。今日はとりあえず食器とかだけでいいって律子さんも言ってましたし」
「そうですね、早めに片付けて一緒に…」
小鳥「はい…」
「それにしてもやっぱりまだみんなこういう場所では騒ぎたい年頃なんですね」
小鳥「普段のアイドル活動で気疲れしてるところもあるんじゃないかしら」
「確かに少なからずストレスはあるのかなって思いますよ」
小鳥「たまにはこういうところでガス抜きをさせてあげなくちゃいけないわ」
「クリスマスくらいはこういうことさせなくちゃですね」
二人がいるのはクリスマスパーティが終わった後の事務所。
小鳥「でも…みんなすっかり有名になっちゃったわね…」
「そうですね…」
小鳥「これもみんなプロデューサーさんの努力があってこそよ」
「そうでしょうかね?」
小鳥「ええ、そうよ。みんな活き活きしてるでしょ?」
「普段顔を合わせていると、あまりそういう変化って感じないのかもしれませんね」
小鳥「そういうものかしらね、でも肌で感じてはいるんじゃないかしら?」
「確かに目の輝きというのは変わってきたかもしれません」
小鳥「アイドルとしての心構えとかはまた一段と上のステップに行ったのね、きっと」
「でもこうしてみんなで過ごせる時間とかはすっかり少なくなっちゃいましたね」
小鳥「そうね…」
「小鳥さんは淋しいですか?」
小鳥「…ええ、ちょっとね。事務所で過ごす時間がみんな少しずつ少なくなっちゃって…」
「やっぱり事務所にいるからこそ感じることもあるんですね」
小鳥「それもみんなの幸せだと思うと、そんなことも言ってられないでしょ?」
「でも…もし淋しいとかならいつでも俺に相談してくださいよ」
小鳥「…ありがと…あなた」
「小鳥…」
小鳥「ね、今日はどうするの?」
「そうですね…小鳥さんはどうですか?」
小鳥「んー、まだ明日も仕事があるから…」
「この時期は本当に忙しいですから」
小鳥「仕事納めがあるようなお仕事でもないですからね」
「小鳥さんはいつからお休みでしたっけ?」
小鳥「えっと…今年は1日早く28日からにさせてもらったわ」
「ということは28日からは一人で仕事かあ…」
小鳥「年内と年明けのスケジュールはちゃんと27日までにまとめておきますね」
「よろしくお願いします」
小鳥「それでももう収録ほとんど終わっちゃってるんですよね?」
「はい。明日明後日の数本を除けば、生放送が1つか2つくらい残っているくらいです」
小鳥「気をつけてくださいね。年の暮れですから慌しくて人も多いですし」
「分かってます。アイドルにもしものことはないようにしますよ」
小鳥「よろしい。フフフ」
「それで今日はどうします?」
小鳥「んー、どうしようかしら…」
「そこは小鳥さんに合わせますよ。ただでさえイブは夜しか一緒にいれませんでしたし」
小鳥「もう…雪歩ちゃんの誕生日だったから仕方なかったけど…切なかったんですから…」
「ゴメン…小鳥さん」
小鳥「いいの、決められたことだったのにこう言う私の方が悪いんだから」
「でも…じゃあ今日は一晩中一緒にいますよ」
小鳥「………お願い…ね」
「了解です。それだとどっちかの家ってことですけど…」
小鳥「プロデューサーさんの方って何が行ってましたっけ?」
「何って、何ですか?」
小鳥「お歳暮ですよ、社長にもらった分って何が行ってました?」
「あー、確か……………ですよ」
小鳥「それだと私の方の……………とどっちがいいかしら…」
「うーん…難しいですね…」
小鳥「そうですね…プロデューサーさんは何か食べたい希望はある?」
「小鳥さんに任せますよ」
小鳥「それなら、あなたの家にしましょ。その食材を聞いてたら作りたい物があるから」
「それならお願いします」
………
ここはプロデューサーの家…
小鳥「出来ましたよー。そっちのコンロはもう大丈夫ですか?」
小鳥は台所でリビングにいるプロデューサーへと呼びかけた。
「大丈夫ですよ、持ってきてください」
小鳥「今行くわねー」
小鳥は台所から何やら鍋を持ってきた。
小鳥「この時期ならやっぱり海の物がたっぷり入った鍋がいいかなって思ったの」
「そうですね…ってことはあのセット使ったんですね?」
ぽふっ
小鳥はプロデューサーの横へと座った。
小鳥「ふう…あのセットのこれでも半分だけだから、まだもう1回は食べられるわね」
「そっちの家のも消費しなくちゃですけど」
小鳥「二人で頑張りましょ。もう精力付けてもらわないとでしょ」
「年が明けたらまた仕事とかライブとかもありますし」
小鳥「また忙しい日々が続くのかしら」
「2月のライブが明けるまでは忙しいでしょうね」
小鳥「頑張りましょ」
「はい」
小鳥「それじゃあ…」
小鳥・P『いただきます』
小鳥「プロデューサーさん、もう煮えてるどんどん取って行って構わないわよ」
「やっぱりこの時期は鍋が温まっていいですね」
小鳥「でも…」
「でも?」
小鳥「一人だとどこか淋しいんですよね」
「確かに、一人鍋って何か違う感じの物だったりします」
小鳥「こうやって、一緒に食べる人ができて…良かったわ」
「俺もですよ。こんな良い人と一緒に突けるなんて、この世界に入るまで思ってもいませんでしたから」
小鳥「ありがと…。私も…こんな良い人が見つかるなんて…」
「…ありがとうございます」
小鳥「来年もまた…良い年になると…いいわね」
「良い年にしましょうよ。俺たちならできますよ」
小鳥「そうね、しっかり支えていくわ」
「お願いします。俺もサポートしますから」
小鳥「今日は…ゆっくり休みましょう」
「まだ残り3日間頑張らないとですからね」
小鳥「くれぐれも体調は崩さないでくださいね」
「分かってますよ」
チュッ
プロデューサーは誓いの口付けを一つ小鳥に与えたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
クリスマス3本目は久々の小鳥さん単騎です。今年まだ3本目でした。
騒いだ後のアフター。それ以上にみんなが有名になってしまったことの寂しさ…。
だからこそこの二人は支えあえる仲であってほしい…そう思います。
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2012・12・27THU
飛神宮子
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