Xmas Landscape 01(クリスマスの風景その1)

ここはある日の事務所…
「あたし何でまた料理してるんだろう…」
春香「愛ちゃんってこの前のハロウィンの時もそうだったんだっけ?」
「はい、何だかこの事務所に来るたびにさせられちゃってるんです」
春香「でもみんな準備で手一杯で、猫の手も借りたいくらいだったから…ゴメンね」
「いいんですけどぉ…あれっ?今日って何をしに来たんだっけ」
春香「今日は…あれ?どうして来たの?」
「確か誰かに呼ばれたのを…あーっ!勘違いしてて帰ろうとしたら、春香さんに引き込まれたんですーっ」
春香「あ、やっぱり帰ろうとしてたんだ」
「そうですよー、そうしたら何かガッチリと押さえつけられちゃって」
春香「小鳥さんに連絡したら何か人手が足りないって行ってたし、そこで会ったからちょうどいいかなって」
「もう、酷いじゃないですかー」
春香「でも、その後に予定聞いたら大丈夫だって言ったから連れて来たんだよ?」
「うう…確かにぃ…」
春香「あれ?876プロではやったの?」
「あたし達のところは昨日やっちゃいました」
春香「そっか、私たちのところと一緒でも良かったのにね」
「ハロウィンでもお世話になったのに悪いって社長が言ってましたよ」
春香「そうなんだ。あ、そのオーブンちょっと開けておいて」
「はーい」
春香は下ごしらえを終えた鶏肉をオーブンへと入れた。
春香「これで…セット完了かな。よし、次の料理っと。また手伝ってね」
「次は何をすればいいんですか?」
春香「えっと………」
 
春香「ここまででとりあえず粗方終わりかな?」
「ふう…さっきは冷や冷やしましたっ」
春香「ゴメンね愛ちゃん、皿があんなところに積んであったって気が付かなかったから」
「皿が一枚も落ちなかったのは奇跡でしたよぉ」
春香「でもこれでもう準備は終わりだから、向こうでゆっくりしよ愛ちゃん」
「はーいっ」
二人は給湯室から出て事務所の応接用のソファへと移った。
「ふう…いっぱい作りましたね」
春香「みんなで食べる分だとあれくらいかなって思ったけど…ちょっと多かったかな?」
「きっとみんな食べちゃいますよ」
春香「そっかなあ。そういえば876プロの2人も来るんだっけ?」
「はいっ。ちょっとだけ顔を出してくれるって言ってました」
春香「そっかあ、その時に愛ちゃんも一緒に帰るの?」
「そうしようかなって思ってます。さすがに二日も連続でパーティーはきついです」
春香「そうだよね、私たちは昨日はどうしてもできなかったから」
「え、どうしてですか?」
春香「昨日までプロデューサーさんと雪歩と貴音さんが遠くに出ちゃってたからね」
「あ、昨日って雪歩さんの誕生日でしたよね?」
春香「そうそう。あの、今年誕生日はみんな旅行に行ってるから」
「あのこの前のライブで流れたビデオですか?」
春香「あれ?そう言うってことは紫陽花のライブに来てた?」
「はい。個人的にちょうどお仕事が無くって、社長にチケット貰ったんで行っちゃいました」
春香「そうなんだ…ってことは、あれ見られちゃったんだぁ」
「あれってなんですか?」
春香「私がステージで転んで、客席にダイブしちゃって」
「あれ?あれって演出じゃなかったんですか!?」
春香「まさかあ。あれ、本当に足が下のコードに絡まっちゃってね」
「あまりに勢いが良かったから、演出だと思ってました」
春香「その後に誤魔化せたから良かったけど」
「でもあのビデオって、誕生日に撮ったんですよね?」
春香「うん」
「千早さんと一緒のは雪の中で寒そうでしたね」
春香「あれは2月の千早ちゃんの誕生日だったもん。雪の新潟と山形は寒かったぁ」
「でもあの牛とか美味しそうだったですっ」
春香「うん、あの味はやっぱり店でしか出せない味だったよ」
「うーん、まなみさんそういう仕事持ってきてくれないですよぉ…」
春香「食べ物関係のレポーターとかやってみたい?」
「ちょっとそういう仕事も興味があるかなって思ってます」
春香「でも…涼ちゃんの方がそういうの得意なんだよね?」
「はい…趣味の欄にもしっかりそう書いちゃってて、だからかなあ」
春香「頑張って仕事持ってきてもらうしかないと思うよ」
「は…はい、頑張ってみます」
春香「さて、最後の仕上げするよ」
「はーい」
 
「イチゴがまたたくさんですね」
春香「まずここに丸くなるように並べていって」
「ここにですねっ」
春香「これにクリーム入れて…これで挟んで…周りにクリーム塗るから、そこに貼り付けていって」
「どんな感じですか?」
春香「クリスマスっぽくなるようにね」
「んー、どんな感じかなあ…」
春香「愛ちゃんの思ったとおりで構わないけどね」
「じゃあこんな感じにしよっかな」
春香「うんうん、それで上出来じゃないかな」
「ありがとうございますっ」
春香「こっちにクリームをっと」
春香は絞り器を駆使してケーキを飾っていく。
春香「ここにイチゴを8つ丸くなるように載せていって」
「はいっ」
春香「最後にこのチョコレートの家を置いて…よしっと」
「でき…」
春香「まだまだ、最後にこれをふりかけて…」
春香はパウダーシュガーをケーキの上から振りかけた。
春香「これで完成かな」
「うわあ、凄いですっ。お店で売っているのみたいですよ」
春香「フフフ、ありがと愛ちゃん。あとはこれは…愛ちゃん、会場に持って行って」
「え?どうしてあたしが…」
春香「またさっきみたいに転んじゃうのが怖いから…ね」
「はーいっ」
春香「1個ずつでいいからお願いするね」
「それなら誰か呼んできた方がいいかもですね」
春香「そうだなあ…飾りつけしている誰か、呼んできてもらえないかな?」
「わかりました。これを置いてきたらその時に手の空いてる人を呼んできますっ」
愛はケーキを一つ持って笑顔でそう答えたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
少し遅れてしまいましたがクリスマスSS…とはいえそれぞれの独立性は高めになっています。
まずは春香と愛。
何気にこの組み合わせは初だったり…また愛ちゃん被害者に…(苦笑)
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2012・12・27THU
飛神宮子
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