Self-Willed pErsoNs(我の強い人たち)

ある日の事務所でのこと…
千早「プロデューサー!」
「ん?」
千早「美希と水瀬さんとユニットを組むのは良いんですけど…」
「何か問題でもあったのか?千早」
千早「なんでこんなユニット名なんですか!?」
「長くなるけど…いいか?」
千早「え…?」
「いや、本当はこのメンバーでユニットを組ませるのは迷ったんだよ」
千早「それならば…どうしてですか?」
「千早の場合、最初はプラハで特別ユニットとしてZWDRを組んだだろ?」
千早「はい、確かに…」
「それで社長がまた特別ユニットを組ませたいって言ってきてな」
千早「その話は律子さんから聞きました」
「一度も組んだことの無い人を組み合わせるのをベースにしたら、どうしてもこうなったんだ」
千早「なるほど、それは分かりました…」
「でも正直怖いんだよ、今回のユニットの中では特に千早たち3人がさ」
千早「確かに私たちの組み合わせだと衝突しそうで怖くて…」
「それだよ。美希はああいう性格だし、伊織も千早も結構頑なな性格だからさ」
千早「それは…自覚してます」
「でも今回はそれに賭けてみようかなって思ってさ」
千早「それ…に?」
「衝突し易そうだけどさ、それで新しい何かが生まれてくれるかなと思ってさ」
千早「私たちにそれが出来るでしょうか?」
「出来ると信じなきゃ組ませないさ、特に千早には頑張ってもらわないと」
千早「え?」
「それはそうだろ、だって二人より年上だろ?」
千早「そ、それは確かに」
「二人をしっかりと引っ張っていってくれないとな。大変だとは思うけどさ」
千早「はい…分かりました」
「特に千早は今まで年上の相方が居たけど、今回は居ないんだから」
千早「あっ…そうですね」
「それで何の話だっけ?」
千早「えっ?あっ…ユニット名『SWEN』のことです」
「ああ、何でこんなユニット名にしたかだっけ?」
千早「はい、どうしても分からなくて」
「まあ二つは分かると思うんだけどさ」
千早「NEWSの逆さ読みだと言うことと、方角4つの頭文字だと言うことは分かったのですが…」
「意味のうち二つはそれで合ってるよ」
千早「やはり、そうだったのですか」
「方角は色んな方面に行って欲しいって意味で…ってこれは後付けの意味なんだけどな」
千早「と言うことは真の意味は全く別ですか?」
「うん。あるんだけど、あまり聞かせたくないんだよなあ…」
千早「どういうことですか?」
「聞かせたら絶対怒る気がするからさ」
千早「…そんなに変な由来なのですか?」
「変ってわけじゃないけど…怒らないと約束してくれるか?」
千早「分かりました、怒りません」
「まず、千早はこのユニットの自分を含めた3人をどう思っている?」
千早「どうって…個が強い人が集まった気がしますが」
「美希も決めたことは曲げないタイプだもんなあ」
千早「美希は自分が嫌なことは絶対にやりませんから」
「まあ緩衝材になるような人が、一人居ても良かったかなと思ったんだけどな」
千早「高槻さんとかですか?」
「うん、でも面白くない気がしてさ」
千早「面白いとか面白くないとかそういうので決めないでください」
「ゴメン、言い方が悪かった。でもこういう我の強い3人が集まったら何か生まれるんじゃないかなって」
千早「それで、それが何かこのユニット名に関係あるのですか?」
「もちろん、大有りなんだよ」
千早「そう言われても、私には何なのか分からないのですが」
「ちょっと待って、今パソコン立ち上げるからさ」
ブワンッ
自分の机のパソコンを立ち上げるプロデューサー。
「えっと、英辞郎は…あったあった」
カチッ カチャカチャカチャ
英辞郎を立ち上げ、とある言葉を入力していく。
「ほら千早、これこれ」
千早「『我の強い人』…ですか?」
「うん。これの訳の後者の方見てみな」
千早「self-willed person…S、W、E、N…」
画面を指差しながら文字を確認する千早。
「そういうこと。我の強い3人を選んだんだから、それをユニット名に取り入れたくて」
千早「プロデューサー…これは水瀬さんには言ってませんよね?」
「当然だろ、言ったら何を言われるか分からないんだから」
千早「きっと水瀬さんなら怒ってしまいそうな由来ですね」
「ああ、正直そう思ってる。だから言わないつもりだし、言っても後付けの方だけのつもりだ」
千早「フフフ、でもこういうことだったんですか。何だかスッキリしました」
「…怒ってる?」
千早「少しだけです、正直に話してもらえたんですから」
「良かった…千早にまで臍を曲げられたらどうしようかと思ってたから」
千早「よっぽどな理由だったらそうしたかもしれませんが…」
「そういえば今日はオフにしてたはずだろ?どうしてここに?」
千早「自主レッスンです。本当は春香も来る予定だったんですが、急に用事が入ったとかで来れなくなったみたいで」
「そういうことか、でも足りないことなんて今の千早には無いんじゃないか?」
千早「そうでもないです、私だってまだまだですから」
「よし、そこまで言うなら俺も手伝うぞ」
千早「そんな、プロデューサーの手を煩わせるだなんて…」
「おいおい、プロデューサーだからこそじゃないか」
千早「そう…ですか?」
「アイドルのことを考えるのがプロデューサーの役目だろ?」
千早「でも私一人のためだけにそんな…」
「そういう考えは今日は止めようよ、他に誰かが居るわけでもないんだしさ」
千早「そう…ですね、たまにはプロデューサーに甘えて…みます」
「それで何のレッスンをする予定だったんだ?」
千早「表現力とポーズをメインに一応全部する予定で来ましたが」
「分かった、さすがに練習場を今から借りるのは厳しそうだから事務所のあの部屋でいいか?」
千早「勿論、そのつもりでしたから」
「よし、じゃあこの仕事片付けたら行こうか」
千早「分かりました、よろしくお願いします」
二人の双眸は今までと少し違う輝きを見せていたという…
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あとがき
ども、飛神宮子です。
2週間ぶりのSS。やっぱりこの方のネタが一番性に合っているようです。
ユニット名は元々考えていたものなので、どうSSにするかだけでした。
凝り過ぎ?それは性ですから。
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2008・08・19TUE
飛神宮子
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