They are Wedded at Canicular Night(真夏の夜の結女<ゆめ>)

このSSはこちらにカレンダーと共に掲載された3行のセリフを拡張したものです。
なので、その画像と一緒にお楽しみください。
 
夏の外は茹だるような暑さになっている事務所にて…
「ええーっ!?いいんですか?プロデューサー」
「ああ、その代わり明日は夕方まで頑張ってもらうからな」
「分かってます、一緒に頑張りましょう」
「そうだな。期待してるからな、真」
「はい!それで明日はどんな感じなんですか?」
「明日は午前中から昼が○○海岸で写真集の撮影だな、午後は△△でプロモーションだ」
「うわあ、忙しいですね」
「だから、今日は早く帰って休むように」
「はーい」
「明日は9時に事務所な」
「分かりました、今日はおつかれさまでした!プロデューサー」
 
翌朝、日付としては8月22日の土曜日。
「おっはようございます!プロデューサー」
「おはよう真、今日は一段と元気だな」
「はい!だって楽しみですからね」
「…え?何のことだっけ?」
「ほら、昨日約束したじゃないですか」
「…俺、何か真と約束したっけ?」
「うう…」
「大丈夫大丈夫、ちゃんと憶えてるって」
「むー、プロデューサーっ」
「ゴメンゴメン、だって真があまりに可愛いからさ」
「もう…そんなこと言っても何も出ないですよ」
「あのさ、今日ちょっと化粧してきただろ?」
「えっ…どうして気付いたんですか?凄く薄いのに…」
「ま、まあな当たり前だろ?真のプロデューサーなんだし」
「そ、そうですよね」
「うーん…そうだな、今付けてるのってウォータープルーフのか?」
「そうです、汗で崩れるの嫌だったんで」
「それならそのままで今日は撮影してみるか?」
「ええーっ!?で、でも…」
「向こうでメイクさんと相談だけどな。今の感じも俺はいいかなって思ってさ」
「プロデューサーが気に入ってくれてるなら…うん」
「よし、まずは現場に行くぞ」
「はいっ!」
真はこれ以上の無い笑顔でそう返事した。
 
その撮影も終わり…
「ふー…」
「暑い中ご苦労さま、はいこれ」
真へ冷え冷えの飲み物を手渡すプロデューサー。
「ありがとうございます」
カチャッ
「ごくっごくっごくっ…ぷはっ、今日のボクどうでした?」
「少なくともファンの一人はメロメロにできてたぞ」
「え?ファンの一人って?」
「俺のことだよ」
「あ、プロデューサー…」
「メイクもいつもより自然な感じだったからかもしれないけど、真らしさが凄く出てた」
「ありがとうございます!プロデューサーにそう言われると嬉しいなあ」
「俺は真の一番最初のファン…だからな」
「はい!」
「よし、じゃあ昼飯食べに行くぞ」
「食べに行くんですか?」
「ああ、午後は直接現地入りだからな」
「それで、何を食べさせてくれるんですか?」
「そうだな…」
 
そして夕方の事務所にて…
「真、どうだ?着心地は」
「着心地はいいけど…どうして黒なんですか?」
「各人のイメージカラーに合わせたからどうしてもな」
「あーあ、もっと可愛いの着たかったなあ…」
「今度社長に掛け合ってみるから、今日は我慢してくれ」
「それならいいけど…でも何でプロデューサーの分まで浴衣があったんですか?」
「ああ、俺のは社長のやつらしい。小鳥さんが出してくれたんだ」
「へえ…でも似合ってますよ」
「ありがとう真。ま、そろそろ行くとするか」
「はい、さすがに今日は電車も混んでそうだなあ」
「ああ、でもそんな祭りに車で行ったら余計に問題だろうな」
そう、昨日の約束とは二人で一緒にお祭りに行くことだったのだ。
この日は事務所の隣の市・区で花火大会があるという。
「分かってます、そこまで贅沢は言いませんから」
「分かればよろしい、それじゃあ行くぞ」
「はいっ」
 
ここは会場近くの屋台ブースの一角…
「本当にもの凄い人出ですね」
そう言う真の頭には何やらお面が、手には綿あめが握られていた。
「ああ、この近くではそれなりの大きさの花火大会だからな」
「うわあっ!プ、プロデューサーっ!」
「だ、大丈夫か?真」
「大丈夫ですけど、凄い人の流れで…」
「ほら真、はぐれると悪いから手を繋ぐぞ」
「あ、はい!(暑いのに…プロデューサーの手、気持ち良いな)」
「よし…じゃあもう少し回るか(真の手…やっぱり女の子だな)」
「そうですね…あの、プロデューサー…」
「ん?どうした?真」
「今日はずっと…ボクの手、握っててください。はぐれないように…」
「…真がそれで良いって言うなら、かまわないさ」
そこに…
ドン… ヒューーーー… パッ… パッ…
空へと打ち上がる光の幻影…
「うわあ…綺麗だあ」
「ああ、綺麗だな」
ドン… ヒューーーー… パッ… パッ…
「へへっ、たーまやー!!」
真の花火よりも輝いた笑顔に、プロデューサーは微笑みを向けていた…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
ども、飛神宮子です。
8月です。タイトルとなっている曲は律子でアイマスMADがありますね。
ちなみに「結女」は造語です。そうそう、その造語を決める際に真でこんな作品を発見しました。おすすめです。
2か月連続で浴衣物、盛大にどう持っていくかで悩みました。
あ、そうそう。この作品の花火大会は実在しますので。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2009・07・27MON
飛神宮子
短編小説に戻る