夏の外は茹だるような暑さになっている事務所にて… |
真 | 「ええーっ!?いいんですか?プロデューサー」 |
P | 「ああ、その代わり明日は夕方まで頑張ってもらうからな」 |
真 | 「分かってます、一緒に頑張りましょう」 |
P | 「そうだな。期待してるからな、真」 |
真 | 「はい!それで明日はどんな感じなんですか?」 |
P | 「明日は午前中から昼が○○海岸で写真集の撮影だな、午後は△△でプロモーションだ」 |
真 | 「うわあ、忙しいですね」 |
P | 「だから、今日は早く帰って休むように」 |
真 | 「はーい」 |
P | 「明日は9時に事務所な」 |
真 | 「分かりました、今日はおつかれさまでした!プロデューサー」 |
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翌朝、日付としては8月22日の土曜日。 |
真 | 「おっはようございます!プロデューサー」 |
P | 「おはよう真、今日は一段と元気だな」 |
真 | 「はい!だって楽しみですからね」 |
P | 「…え?何のことだっけ?」 |
真 | 「ほら、昨日約束したじゃないですか」 |
P | 「…俺、何か真と約束したっけ?」 |
真 | 「うう…」 |
P | 「大丈夫大丈夫、ちゃんと憶えてるって」 |
真 | 「むー、プロデューサーっ」 |
P | 「ゴメンゴメン、だって真があまりに可愛いからさ」 |
真 | 「もう…そんなこと言っても何も出ないですよ」 |
P | 「あのさ、今日ちょっと化粧してきただろ?」 |
真 | 「えっ…どうして気付いたんですか?凄く薄いのに…」 |
P | 「ま、まあな当たり前だろ?真のプロデューサーなんだし」 |
真 | 「そ、そうですよね」 |
P | 「うーん…そうだな、今付けてるのってウォータープルーフのか?」 |
真 | 「そうです、汗で崩れるの嫌だったんで」 |
P | 「それならそのままで今日は撮影してみるか?」 |
真 | 「ええーっ!?で、でも…」 |
P | 「向こうでメイクさんと相談だけどな。今の感じも俺はいいかなって思ってさ」 |
真 | 「プロデューサーが気に入ってくれてるなら…うん」 |
P | 「よし、まずは現場に行くぞ」 |
真 | 「はいっ!」 |
真はこれ以上の無い笑顔でそう返事した。 |
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その撮影も終わり… |
真 | 「ふー…」 |
P | 「暑い中ご苦労さま、はいこれ」 |
真へ冷え冷えの飲み物を手渡すプロデューサー。 |
真 | 「ありがとうございます」 |
カチャッ |
真 | 「ごくっごくっごくっ…ぷはっ、今日のボクどうでした?」 |
P | 「少なくともファンの一人はメロメロにできてたぞ」 |
真 | 「え?ファンの一人って?」 |
P | 「俺のことだよ」 |
真 | 「あ、プロデューサー…」 |
P | 「メイクもいつもより自然な感じだったからかもしれないけど、真らしさが凄く出てた」 |
真 | 「ありがとうございます!プロデューサーにそう言われると嬉しいなあ」 |
P | 「俺は真の一番最初のファン…だからな」 |
真 | 「はい!」 |
P | 「よし、じゃあ昼飯食べに行くぞ」 |
真 | 「食べに行くんですか?」 |
P | 「ああ、午後は直接現地入りだからな」 |
真 | 「それで、何を食べさせてくれるんですか?」 |
P | 「そうだな…」 |
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そして夕方の事務所にて… |
P | 「真、どうだ?着心地は」 |
真 | 「着心地はいいけど…どうして黒なんですか?」 |
P | 「各人のイメージカラーに合わせたからどうしてもな」 |
真 | 「あーあ、もっと可愛いの着たかったなあ…」 |
P | 「今度社長に掛け合ってみるから、今日は我慢してくれ」 |
真 | 「それならいいけど…でも何でプロデューサーの分まで浴衣があったんですか?」 |
P | 「ああ、俺のは社長のやつらしい。小鳥さんが出してくれたんだ」 |
真 | 「へえ…でも似合ってますよ」 |
P | 「ありがとう真。ま、そろそろ行くとするか」 |
真 | 「はい、さすがに今日は電車も混んでそうだなあ」 |
P | 「ああ、でもそんな祭りに車で行ったら余計に問題だろうな」 |
そう、昨日の約束とは二人で一緒にお祭りに行くことだったのだ。 |
この日は事務所の隣の市・区で花火大会があるという。 |
真 | 「分かってます、そこまで贅沢は言いませんから」 |
P | 「分かればよろしい、それじゃあ行くぞ」 |
真 | 「はいっ」 |
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ここは会場近くの屋台ブースの一角… |
真 | 「本当にもの凄い人出ですね」 |
そう言う真の頭には何やらお面が、手には綿あめが握られていた。 |
P | 「ああ、この近くではそれなりの大きさの花火大会だからな」 |
真 | 「うわあっ!プ、プロデューサーっ!」 |
P | 「だ、大丈夫か?真」 |
真 | 「大丈夫ですけど、凄い人の流れで…」 |
P | 「ほら真、はぐれると悪いから手を繋ぐぞ」 |
真 | 「あ、はい!(暑いのに…プロデューサーの手、気持ち良いな)」 |
P | 「よし…じゃあもう少し回るか(真の手…やっぱり女の子だな)」 |
真 | 「そうですね…あの、プロデューサー…」 |
P | 「ん?どうした?真」 |
真 | 「今日はずっと…ボクの手、握っててください。はぐれないように…」 |
P | 「…真がそれで良いって言うなら、かまわないさ」 |
そこに… |
ドン… ヒューーーー… パッ… パッ… |
空へと打ち上がる光の幻影… |
真 | 「うわあ…綺麗だあ」 |
P | 「ああ、綺麗だな」 |
ドン… ヒューーーー… パッ… パッ… |
真 | 「へへっ、たーまやー!!」 |
真の花火よりも輝いた笑顔に、プロデューサーは微笑みを向けていた… |