Warmer-upper(暖かい気持ちにするもの)

このSSはこちらにカレンダーと共に掲載された3行のセリフを拡張したものです。
なので、その画像と一緒にお楽しみください。
 
季節は冬、北の方では雪が積もり始めた頃のこと。ここは会議室の中…
「と言うわけで3人の意見が聞きたいから集まってもらったんだけど…どうだ?」
「ボクは別に構わないですよ、プロデューサー」
「美希と雪歩はどうだ?」
美希「えー、真クンが一緒なのはいいけど雪歩もー?」
雪歩「真ちゃんと2人きりが良かったなあ…」
「やっぱりそう来るか…ほら、真も何か言ってやれよ」
「ええっ!?ぼ、ボクがですか?」
美希「だってせっかく真クンが一緒なのに…」
雪歩「それは私も同じなの、美希ちゃん」
美希と雪歩の目の間には電気が走っているように見える。
「この2人を止めるのはボクにも無理ですよぉ…」
「しょうがないな…美希、旅行中俺が付きっきりじゃダメか?」
美希「えっ!?ずっとミキと一緒ってこと?プロデューサーさんいいの?」
「ああ。それくらいなら構わないぞ」
雪歩「うう…私もそっちが良かったなあ…」
美希「ダメだよ、もうプロデューサーさんはミキのモノだもん」
「その代わりに、雪歩は真。いいだろ?」
雪歩「でもそれじゃあプロデューサーがぁ…」
「そう言うってことは、雪歩はボクじゃ不満なんだ。じゃあ美希がボクでいいよもう」
雪歩から顔を背け落ち込んだ振りをする真。
雪歩「そ、そんなことないから…真ちゃん」
「いいんだ…ボクなんかよりプロデューサーの方がお似合いだもんね」
雪歩「真ちゃん…うう…ゴメンなさいぃ…」
今にも泣き出しそうな顔の雪歩。
「雪歩、泣くなって。ほら冗談だから冗談だから」
ぎゅうっ
真はそんな雪歩を抱きしめてあげた。
雪歩「本当?本当だね?」
「そんな、ボクが雪歩のことを突き離すと思ってる?」
雪歩「だって、だってぇ…」
美希「何だかああいうの見てると妬けちゃうの」
「そうだな…って、話を進めないと」
美希「そだね」
「おいおい二人とも、そのままでいいから話だけは聞いてくれよ」
「はいっ」
こくん…
二人はその体勢のまま返事をした。
「じゃあ細かい話をするからな」
 
「ということになるんだが、何か質問はあるか?」
「つまり、今回はあの衣装ってことですね?」
「ああ。赤いので時期的に合いそうなのがそれだったからな」
「やった!久しぶりのスカートだ!」
雪歩「良かったね、真ちゃん」
「あと言い忘れてたけど、ライブが終わったら基本的には自由にするつもりだから」
雪歩「雪かあ…色々できますね」
「ああ。話に聞くと運営側でかまくらもかなり建てるらしいから、1つくらいは借りておくぞ」
「かまくらって、そういえば初めてですよ」
「そうか?まあ俺も数えるほどしかないけどさ」
美希「んー…かまくらってことは中に火鉢とかもあるよね?」
「どうだろう?もしだったら用意しておいてもらうぞ」
美希「それならお餅も持っていきたいな」
「うんうん、かまくらの中でそういうのを食べるのって憧れるなあ」
「おいおい共催をよく見てくれよ、美希」
美希「ん?…あーっ!」
よくよく見れば有名なお餅の会社が入っているではないか。
「その辺は頼んでみるさ、心配するな」
美希「ありがとうなの」
「よし。じゃあしばらくそれぞれのユニットでのレッスンはお休みな」
「この3人でレッスンってことですね?」
「ああ。何せバラバラのユニットからだからな」
しばらくの間、利害関係の一致した3人は仲良くレッスンを続けた。
………
そして当日…
美希「みんなー!ありがとうなのーっ!」
「またいつかどこかで会おーっ!」
雪歩「また会えると嬉しいなー!」
3人『バイバーイ!!!』
ステージも無事に終了して、ここはステージサイド。
雪歩「ふう…疲れたぁ…すごいいっぱいで緊張したあ…」
美希「もうへとへとなの…でもお客さん凄い盛り上がったね」
「さすがに寒かったけど…凄い熱気だったなあ」
「3人ともお疲れ様。はい、雪歩はお茶な。美希はコーヒーで、真はホットのスポドリで良かったな?」
雪歩「ありがとうございます…プロデューサー」
美希「ありがとうなの、プロデューサーさん」
「ありがとうございます、プロデューサー!」
「呼吸もバッチリ合ってたな。さすがにあれだけレッスンやっただけあったってもんだ」
「この寒さであのダンスができるなんて、やっぱり指導の賜物ですよ」
「よし、あとは5時まで自由時間にするからな。財布渡すけど、きちんと弁えて使うこと」
3人の手に渡される765プロの自由行動用の財布。
3人『はーい』
「それで、あのかまくらを借りてあるから。火鉢にはもう炭も入っているから気を付けてな」
3人『はーい』
「餅も一緒に置いてあるから自由に食べてくれ。飲み物とか他の食べ物はさっきのから出すように」
美希「分かったの」
「あと、雪歩には…これ渡しとくから」
と、スコップを渡された雪歩。
「あっちの自由広場は自由に遊んでいいってさ」
雪歩「分かりました…」
「それじゃ、5時に迎えに来るからそれまで解散な」
………
雪遊びを終えて借りたかまくらの近くまで戻ってきた雪歩。
美希「はい真クン、お餅あーんっ」
「ちょ、ちょっと待って!そのままじゃ熱いって美希!」
雪歩「ふう、雪遊び楽しかったあ…ってええーっ!?」
そこでひと汗拭っていると、美希と真の睦まじそうな声が耳に届いた。
雪歩「だ、ダメーっ!!!」
ビクっ
その一言に固まる二人。
「あ、ゆ、雪歩…おかえり」
美希「雪歩ってそんな大きな声出せるんだ…」
雪歩「もう…美希ちゃんはプロデューサーのモノでしょ。真ちゃんは私のモノなの」
美希「う…そう言われると否定できないの…」
雪歩「だから私の真ちゃんで遊ばないで、美希ちゃん」
「ボク…そ、そんな…あ、あれ?そういえばもう雪遊びやめちゃったの?雪歩」
雪歩「うん。だいぶ汗かいちゃったし…」
「それだったら雪歩も一緒にお餅食べようよ。これくらいはいいだろ?」
雪歩「…うん、そうだね」
その3人の仲睦まじそうな光景は写真になり、その週の市の広報誌の1面を飾っていたという…
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あとがき
ども、飛神宮子です。
さて〆の12月ですよ。やっぱり3人ってなかなか難しいですね。
特に衣装が3人とも同じなので、状況の選定がなかなか…
それはともかく1年、私の拙いSSを読んでいただきまして誠にありがとうございました。
来年は…しろざわPと鋭意相談中ですので。
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2009・12・01TUE
飛神宮子
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