季節は冬、北の方では雪が積もり始めた頃のこと。ここは会議室の中… |
P | 「と言うわけで3人の意見が聞きたいから集まってもらったんだけど…どうだ?」 |
真 | 「ボクは別に構わないですよ、プロデューサー」 |
P | 「美希と雪歩はどうだ?」 |
美希 | 「えー、真クンが一緒なのはいいけど雪歩もー?」 |
雪歩 | 「真ちゃんと2人きりが良かったなあ…」 |
P | 「やっぱりそう来るか…ほら、真も何か言ってやれよ」 |
真 | 「ええっ!?ぼ、ボクがですか?」 |
美希 | 「だってせっかく真クンが一緒なのに…」 |
雪歩 | 「それは私も同じなの、美希ちゃん」 |
美希と雪歩の目の間には電気が走っているように見える。 |
真 | 「この2人を止めるのはボクにも無理ですよぉ…」 |
P | 「しょうがないな…美希、旅行中俺が付きっきりじゃダメか?」 |
美希 | 「えっ!?ずっとミキと一緒ってこと?プロデューサーさんいいの?」 |
P | 「ああ。それくらいなら構わないぞ」 |
雪歩 | 「うう…私もそっちが良かったなあ…」 |
美希 | 「ダメだよ、もうプロデューサーさんはミキのモノだもん」 |
P | 「その代わりに、雪歩は真。いいだろ?」 |
雪歩 | 「でもそれじゃあプロデューサーがぁ…」 |
真 | 「そう言うってことは、雪歩はボクじゃ不満なんだ。じゃあ美希がボクでいいよもう」 |
雪歩から顔を背け落ち込んだ振りをする真。 |
雪歩 | 「そ、そんなことないから…真ちゃん」 |
真 | 「いいんだ…ボクなんかよりプロデューサーの方がお似合いだもんね」 |
雪歩 | 「真ちゃん…うう…ゴメンなさいぃ…」 |
今にも泣き出しそうな顔の雪歩。 |
真 | 「雪歩、泣くなって。ほら冗談だから冗談だから」 |
ぎゅうっ |
真はそんな雪歩を抱きしめてあげた。 |
雪歩 | 「本当?本当だね?」 |
真 | 「そんな、ボクが雪歩のことを突き離すと思ってる?」 |
雪歩 | 「だって、だってぇ…」 |
美希 | 「何だかああいうの見てると妬けちゃうの」 |
P | 「そうだな…って、話を進めないと」 |
美希 | 「そだね」 |
P | 「おいおい二人とも、そのままでいいから話だけは聞いてくれよ」 |
真 | 「はいっ」 |
こくん… |
二人はその体勢のまま返事をした。 |
P | 「じゃあ細かい話をするからな」 |
|
P | 「ということになるんだが、何か質問はあるか?」 |
真 | 「つまり、今回はあの衣装ってことですね?」 |
P | 「ああ。赤いので時期的に合いそうなのがそれだったからな」 |
真 | 「やった!久しぶりのスカートだ!」 |
雪歩 | 「良かったね、真ちゃん」 |
P | 「あと言い忘れてたけど、ライブが終わったら基本的には自由にするつもりだから」 |
雪歩 | 「雪かあ…色々できますね」 |
P | 「ああ。話に聞くと運営側でかまくらもかなり建てるらしいから、1つくらいは借りておくぞ」 |
真 | 「かまくらって、そういえば初めてですよ」 |
P | 「そうか?まあ俺も数えるほどしかないけどさ」 |
美希 | 「んー…かまくらってことは中に火鉢とかもあるよね?」 |
P | 「どうだろう?もしだったら用意しておいてもらうぞ」 |
美希 | 「それならお餅も持っていきたいな」 |
真 | 「うんうん、かまくらの中でそういうのを食べるのって憧れるなあ」 |
P | 「おいおい共催をよく見てくれよ、美希」 |
美希 | 「ん?…あーっ!」 |
よくよく見れば有名なお餅の会社が入っているではないか。 |
P | 「その辺は頼んでみるさ、心配するな」 |
美希 | 「ありがとうなの」 |
P | 「よし。じゃあしばらくそれぞれのユニットでのレッスンはお休みな」 |
真 | 「この3人でレッスンってことですね?」 |
P | 「ああ。何せバラバラのユニットからだからな」 |
しばらくの間、利害関係の一致した3人は仲良くレッスンを続けた。 |
……… |
そして当日… |
美希 | 「みんなー!ありがとうなのーっ!」 |
真 | 「またいつかどこかで会おーっ!」 |
雪歩 | 「また会えると嬉しいなー!」 |
3人 | 『バイバーイ!!!』 |
ステージも無事に終了して、ここはステージサイド。 |
雪歩 | 「ふう…疲れたぁ…すごいいっぱいで緊張したあ…」 |
美希 | 「もうへとへとなの…でもお客さん凄い盛り上がったね」 |
真 | 「さすがに寒かったけど…凄い熱気だったなあ」 |
P | 「3人ともお疲れ様。はい、雪歩はお茶な。美希はコーヒーで、真はホットのスポドリで良かったな?」 |
雪歩 | 「ありがとうございます…プロデューサー」 |
美希 | 「ありがとうなの、プロデューサーさん」 |
真 | 「ありがとうございます、プロデューサー!」 |
P | 「呼吸もバッチリ合ってたな。さすがにあれだけレッスンやっただけあったってもんだ」 |
真 | 「この寒さであのダンスができるなんて、やっぱり指導の賜物ですよ」 |
P | 「よし、あとは5時まで自由時間にするからな。財布渡すけど、きちんと弁えて使うこと」 |
3人の手に渡される765プロの自由行動用の財布。 |
3人 | 『はーい』 |
P | 「それで、あのかまくらを借りてあるから。火鉢にはもう炭も入っているから気を付けてな」 |
3人 | 『はーい』 |
P | 「餅も一緒に置いてあるから自由に食べてくれ。飲み物とか他の食べ物はさっきのから出すように」 |
美希 | 「分かったの」 |
P | 「あと、雪歩には…これ渡しとくから」 |
と、スコップを渡された雪歩。 |
P | 「あっちの自由広場は自由に遊んでいいってさ」 |
雪歩 | 「分かりました…」 |
P | 「それじゃ、5時に迎えに来るからそれまで解散な」 |
……… |
雪遊びを終えて借りたかまくらの近くまで戻ってきた雪歩。 |
美希 | 「はい真クン、お餅あーんっ」 |
真 | 「ちょ、ちょっと待って!そのままじゃ熱いって美希!」 |
雪歩 | 「ふう、雪遊び楽しかったあ…ってええーっ!?」 |
そこでひと汗拭っていると、美希と真の睦まじそうな声が耳に届いた。 |
雪歩 | 「だ、ダメーっ!!!」 |
ビクっ |
その一言に固まる二人。 |
真 | 「あ、ゆ、雪歩…おかえり」 |
美希 | 「雪歩ってそんな大きな声出せるんだ…」 |
雪歩 | 「もう…美希ちゃんはプロデューサーのモノでしょ。真ちゃんは私のモノなの」 |
美希 | 「う…そう言われると否定できないの…」 |
雪歩 | 「だから私の真ちゃんで遊ばないで、美希ちゃん」 |
真 | 「ボク…そ、そんな…あ、あれ?そういえばもう雪遊びやめちゃったの?雪歩」 |
雪歩 | 「うん。だいぶ汗かいちゃったし…」 |
真 | 「それだったら雪歩も一緒にお餅食べようよ。これくらいはいいだろ?」 |
雪歩 | 「…うん、そうだね」 |
その3人の仲睦まじそうな光景は写真になり、その週の市の広報誌の1面を飾っていたという… |