律子20歳の秋… |
P | 「そうか…律子はそう考えてるのか」 |
律子 | 「プロデューサーはどうなのよ?」 |
P | 「今はもう少しアイドルとしての実力も付けて欲しい」 |
律子 | 「分かってるわよ、さすがに今のままじゃダメだって思ってるから」 |
P | 「俺も全力でバックアップするからな」 |
律子 | 「頼むわよ、頼りにしてるんだから」 |
P | 「でも独立したいだなんてな…」 |
律子 | 「事務員してた頃からの夢なの。いつかは自分の事務所を持ちたいって」 |
P | 「なるほどな、夢か…」 |
律子 | 「トップアイドルもいいけど、それはアイドルとしての夢だもの」 |
P | 「とは言えもう律子も押しも押されぬトップアイドルの一人だもんな」 |
律子 | 「そこまで行けるとは思ってもみなかったわよ」 |
P | 「そうか?」 |
律子 | 「まさかこんなしがない事務員だった私を、ここまで育ててくれるなんてね」 |
P | 「そんなの素質があったからに決まってるだろ」 |
律子 | 「そんなこと無いわ、育て方の手腕は凄い物よ」 |
P | 「でも俺は、素人だぞ。闇雲にやっていただけだし」 |
律子 | 「それだから凄いのよ、天賦の才なのかしらね」 |
P | 「ま、でも律子だったからかもしれないな」 |
律子 | 「えっ…?」 |
P | 「こんなに俺にぴったりな女性は、なかなか巡り合えるものじゃないぞ」 |
律子 | 「そうね、こんなに私にぴったりな男性は…」 |
チュッ |
事務所に二人だからと、寄り添って頬にキスをする律子。 |
律子 | 「あなただけだもの」 |
P | 「そう言ってもらえると嬉しいよ」 |
律子 | 「でもああして出会って、お互い成長したわよね」 |
P | 「ああ、色々あったよな…」 |
律子 | 「プロデューサーのこと叱ってばっかりだったかしら」 |
P | 「そうだな、何だかんだで怒られてたもんな」 |
律子 | 「だって頼りなかったんだもの」 |
P | 「まあ怒られるようなことをしていた俺も俺だけどな」 |
律子 | 「ゴメンね、私の方が年下だったのに」 |
P | 「そんな謝ること無いだろ、そのおかげなんだからさ」 |
律子 | 「え?」 |
P | 「俺がここまで成長できたことだよ」 |
律子 | 「そんな…そうなの?」 |
P | 「ああ、何かを見出すのはお前が居なきゃ無理だった」 |
律子 | 「………」 |
P | 「だから…ありがとう」 |
律子 | 「こっちこそ…ありがとう」 |
ギュっ |
いつしか二人は互いを抱きしめ合っていた。 |
|
P | 「でも、事務所か…」 |
律子 | 「まだ夢物語かもしれないけどね」 |
P | 「そうなると…律子はどんなアイドルをプロデュースすることになるんだろうな?」 |
律子 | 「フフフ、どんなアイドルでも育ててみせるわよ」 |
P | 「例えばさ、この765プロの子だったら誰を育ててみたい?」 |
律子 | 「そうね…亜美とかはやってみたいかな」 |
P | 「ほう、意外だな」 |
律子 | 「ああいう子を育てるのって面白いと思わない?」 |
P | 「まあ分かる気もするけどさ」 |
律子 | 「自分に無いタイプの方がやっぱりいいのかなって」 |
P | 「俺もそう思う。特に女性同士だとそうなるだろうな」 |
律子 | 「同じタイプだと衝突するわよね」 |
P | 「ああ…特に律子みたいなタイプだとな」 |
律子 | 「それは分かる気がする、自分を見てる気がするから」 |
P | 「よし…そこまで考えてるのなら、さっきの律子の決意、受け取ったよ」 |
律子 | 「…プロデューサーはいいと思ってるの?」 |
P | 「ああ。夢物語にはしたくないだろ?」 |
律子 | 「うん…絶対に叶えたいわ」 |
P | 「夢を出来る限り叶えてあげるのがプロデューサーってもんだからな」 |
律子 | 「…ありがと…」 |
P | 「それでその夢、俺も一緒でもいいか?」 |
律子 | 「もちろんよ、あなたと一緒じゃないと…私一人だけだと無理だと思う」 |
P | 「でもこんなこと社長が聞いたら何て言うかな?」 |
律子 | 「有能なプロデューサーと一人のアイドルが同時にいなくなるものね」 |
P | 「有能かどうかは別問題として、そうだよな…」 |
律子 | 「でも良かった…プロデューサーも乗ってくれるだなんて」 |
P | 「まあな…じゃあその代わりに一ついいか?」 |
律子 | 「…何かしら?え…何?そ、そんな真剣な目をするなんて」 |
プロデューサーはいつになく真剣な目を律子へと向けた。 |
P | 「お前の夢は俺が一緒に叶えてみせる。だから律子は俺の夢、叶えてくれないか?」 |
律子 | 「プロデューサーの…夢?」 |
P | 「俺と…一緒の苗字になって欲しい」 |
律子 | 「えっ…!?」 |
それはまさに突然の告白となった。 |
律子 | 「プロデューサー…それは本気なの?」 |
P | 「もちろん本気だ。今までずっと考えてたんだからな」 |
律子 | 「何よ…もう」 |
ギュっ |
プロデューサーのことをまた抱きしめ直す律子。 |
律子 | 「こんな堅物な…私でいいの?」 |
P | 「律子だから…俺はそんな律子が好きなんだ」 |
律子 | 「これからも迷惑を掛けちゃうかもしれないのよ」 |
P | 「それくらい全部受け止めてやるよ」 |
律子 | 「本当にプロデューサーはいつも私を悩ませるんだから」 |
P | 「ああ、律子にだけはな」 |
律子 | 「プロデューサーの夢…」 |
チュッ |
プロデューサーの唇への温もり、それはプロデューサーへの答え。 |
律子 | 「叶ったわよ…もう」 |
P | 「律子っ!」 |
ギュゥっ |
律子の身体を抱きしめ返したプロデューサー。 |
P | 「律子…大好きだ…」 |
律子 | 「私もよ…ダーリン…」 |
二人の想い、そして夢、それはここに一つとなっていった… |