夏と秋の境界線、そんな時期の頃のこと… |
千早 | 「ふう…四条さんもなかなか凄いです…」 |
貴音 | 「すう…そちらこそさすがです、千早」 |
2人は何をしているのだろうか? |
千早 | 「でもまさかドラマで共演だなんて驚きました」 |
貴音 | 「確かに…しかしそれほど原作者の想いに合ったということでしょう」 |
千早 | 「四条さんは今度の録り用の歌は大丈夫ですか?」 |
貴音 | 「そうですわね…あと1曲だけ少々不安な点がいくつかという所ですか」 |
千早 | 「それなら明日はボーカルレッスンにしてもらいましょうか」 |
貴音 | 「本番まであと2日…そうですね」 |
……… |
時は1週間前に遡る… |
P | 「うーん、この仕事を受けるべきか…貴音は昨日OK貰ったけど問題は千早だな」 |
プロデューサーは会議室で書類を見ながら何やら思案していた。そこに… |
コンコン |
千早 | 『プロデューサー、ここですか?』 |
P | 「ああ、入ってこい千早」 |
千早 | 『では、失礼します』 |
カチャッ |
そこにドアを開けて一人の少女が入ってきた。 |
P | 「おはよう、千早」 |
千早 | 「おはようございますプロデューサー、それでお話って何でしょうか?」 |
P | 「まあ立ってないでまずは座ってくれよ」 |
千早 | 「分かりました」 |
P | 「あのさ…千早はドラマって興味ある?」 |
千早 | 「ドラマ…ですか?」 |
P | 「千早をドラマに使いたいっていうのが来ててな」 |
千早 | 「私がですか!?」 |
P | 「ああ、歌が出来る人が欲しいとのことでな」 |
千早 | 「そんな…私でなくてもいいのでは?」 |
P | 「原作者たっての願いらしくてな。一度テレビで見てピンときたらしい」 |
千早 | 「それはその作内の人と私が似ているということでしょうか?」 |
P | 「そうなんだ。俺も原作を読んでみたけど確かにそうだったぞ」 |
千早 | 「今その原作はありますか?」 |
P | 「俺の読んでいたのでよければそこに置いてあるぞ」 |
千早 | 「プロデューサー、少女マンガなんてどうやって…」 |
P | 「ああ、それは真からの借り物だ」 |
千早 | 「なるほど…」 |
その本を手に取って読み始めた千早。 |
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数分後… |
千早 | 「…この方ということですか?」 |
誰やらを指さしながらプロデューサーへと本を差し出す千早。 |
P | 「ああ。サブキャラクターの中でもかなり重要な役ということだ」 |
千早 | 「それにしてもこの本、かなり歌が重要ということになりますね」 |
P | 「それもあって千早にしたんじゃないかと思うんだけどな」 |
千早 | 「それならば…私なんかで良ければやりましょう」 |
P | 「お、良かった乗ってくれて」 |
千早 | 「そういえばこのもう一人のこの人、誰かに似ているような気がするのですが」 |
P | 「気が付いたか…」 |
コンコン |
そこにノック音が… |
貴音 | 『プロデューサーはこちらに居られますでしょうか?』 |
P | 「はーい、入ってきていいぞ」 |
貴音 | 『それでは失礼いたします』 |
カチャッ |
入ってきたのは… |
P | 「おはよう貴音」 |
千早 | 「おはようございます、四条さん」 |
貴音 | 「おはようございます、千早、あなた様」 |
バタンっ |
貴音 | 「それで本日はどのような御用でしょう?」 |
P | 「昨日話したことについてなんだけどな、まあまずは座ってよ」 |
貴音 | 「はい。昨日の…ああ、あのことですわね。ご理解いたしました」 |
P | 「千早にはさっき了承してもらったんだけど、もう一度貴音にも確認をとね」 |
貴音 | 「私は昨日とは何も…結構です」 |
P | 「よし、それならいいな」 |
千早 | 「これで決まりですね」 |
P | 「そうなるな。二人ともしばらくはアイドル活動よりもこっちが優先になるから」 |
千早・貴音 | 「分かってます」 「はい…」 |
P | 「…それじゃ、ちょっと先方に伝えてくるから」 |
カチャッ バタンッ |
プロデューサーが出ていった会議室。 |
千早 | 「四条さん」 |
貴音 | 「何でしょう?千早」 |
千早 | 「四条さんはこの原作をもう読んでますか?」 |
貴音 | 「昨日話を賜ってから、1巻と2巻を…」 |
千早 | 「自分の役の人についてどう思いました?」 |
貴音 | 「随分と古風で美しい方であるなと」 |
千早 | 「でも、とても四条さんに似ていますよね」 |
貴音 | 「そ…そうでしょうか?」 |
千早 | 「はい、この言葉遣いなんて…フフフ、そっくりです」 |
貴音 | 「…それならば、千早は自分の役の人をどう捉えておいででしょう?」 |
千早 | 「歌うことが個性という点ではそっくりですけど、私はそこまで仲間想いでも…」 |
貴音 | 「そんなこと…フフ…ありません。仲間をきちんと見ていて想っていますから」 |
千早 | 「そう言われると恥ずかしいです…」 |
貴音 | 「恥ずかしがることは無いでしょう。千早はもう少し自信を持つべきです」 |
千早 | 「…四条さん…」 |
……… |
貴音 | 「しかしながら、やはり歌やダンスとは勝手が違い難解ですね」 |
千早 | 「そうですね。普段とは全然違う動きですから」 |
そう、演技力レッスンだったのだ。 |
貴音 | 「これに加えて歌まで必要となると…やはりかなりの練習が必要でしょう」 |
千早 | 「完璧を目指すならばここはもう練習しかありませんから」 |
貴音 | 「特に私たち演技は素人でしかない人間は人一倍行なわないと」 |
千早 | 「他の方々に迷惑は掛けられませんからね」 |
貴音 | 「それではもう少し行ないましょうか」 |
千早 | 「そうですね」 |
貴音 | 「何カットから参りましょう?」 |
千早 | 「そうですね…」 |
二人の台本合わせ(演技練習)は事務所のスタジオで夜遅くまで続いていた… |