1月のとある日のこと… |
貴音 | 「はーーー…」 |
息を手に吹きかけるとある女性。 |
愛梨 | 「やっぱり、寒いですか?」 |
その女性に問いかけるもう一人の女性。 |
貴音 | 「はい…この寒さはやはり堪えます」 |
愛梨 | 「すぐそこに横手焼きそばのお店が…あれ?」 |
びゅうんっ |
そう話しかけた瞬間には相手の女性の姿が消えていた。 |
愛梨 | 「ま、待ってください…貴音さーん!」 |
そう言いながら貴音の後を追いかけていくこととなった… |
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愛梨 | 「はあ…はあ…貴音さん、速いですよ」 |
貴音 | 「申し訳ありません…わたくし麺類…特にらぁめんに関しては目が無いものでして」 |
愛梨 | 「毎週見てますよっ!本当に全国には色々あるんだなぁって思っちゃいます」 |
貴音 | 「今日はその収録もお付き合いいただきます、愛梨」 |
愛梨 | 「はいっ。貴音さんに色々と勉強させてもらいますね」 |
貴音 | 「ではこれからスタッフの方々の準備が整うまで、しばし待ちましょう」 |
愛梨 | 「そうですね。あ、店頭の方を先に収録したいって言ってますね」 |
貴音 | 「そうですか。そちらの方は準備は宜しいのですか?」 |
スタッフから説明が入った。 |
愛梨 | 「つまり、駅からの場面を2つ先に撮ってしまうってことですね?」 |
貴音 | 「まず探訪の方を先に、そしてもう一度戻って旅の方をそのままの流れで撮ると」 |
愛梨 | 「貴音さんはそれでいいですか?」 |
貴音 | 「探訪の方は後でつなげる形で撮るということですか…わかりました」 |
愛梨 | 「じゃあ私たちは先に駅の方に戻っちゃいましょう」 |
貴音 | 「はい…」 |
……… |
貴音 | 「大変美味しゅうございました。では、四条貴音のラーメン探訪、今週も素晴らしい出会いがありました。来週も次の出会いを求めて…」 |
スタッフ | 『はい、オッケーでーす!四条さん、十時さんおつかれさまでしたー!』 |
貴音 | 「ありがとうございました…」 |
愛梨 | 「ありがとうございましたっ」 |
貴音 | 「愛梨、やはり辛そうですね」 |
愛梨 | 「やっぱり2回はちょっときついですね」 |
貴音 | 「それならわたくしがお手伝いいたしましょう」 |
愛梨 | 「えっ、あんなに食べたのに大丈夫ですか?」 |
貴音 | 「麺ならばまだ私のお腹には余裕がありますので」 |
愛梨 | 「ありがとうございます。それならお言葉に甘えさせてもらいますね」 |
愛梨には焼きそば2回分はやはり辛い量であったようだ。 |
貴音 | 「では…」 |
そう言うと貴音は残った半分以上を自分の食べ終わっていた皿へと持って行った。 |
貴音 | 「それでこれから愛梨の実家へと行くことになりますが」 |
愛梨 | 「はい。ママもパパも楽しみに待ってます」 |
貴音 | 「去年のわたくしが出た機会はご覧になりましたか?」 |
愛梨 | 「去年ですか?あ、事前に見せてもらいました。956プロの藤原さんのですよね?」 |
貴音 | 「はい…そちらの家は陶芸をされていることもありまして、和風の良いお家でした」 |
愛梨 | 「藤原さんの作品、私の事務所でも誰だったかが貰ってきてたかなぁ」 |
貴音 | 「それで愛梨の家は大丈夫でしょうか?」 |
愛梨 | 「え?何がですか?」 |
貴音 | 「わたくし、あの番組でかなり食が進んでしまいましたので…」 |
愛梨 | 「たぶん大丈夫だと思うけど…どうかな?」 |
貴音 | 「このような場所の食事はきっと美味しいでしょうから、わたくしまた…」 |
愛梨 | 「いっぱい作るとは言ってたのでたぶん大丈夫ですっ」 |
貴音 | 「それなら安心しました。では、この後はどちらに行かれるのです?」 |
愛梨 | 「この後は私の母校に寄ってから実家ですっ。先生元気にしてるかな?」 |
貴音 | 「愛梨がどのような場所で育ったのか、見るのが楽しみです」 |
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その日の夜… |
貴音 | 「夜も更けてまいりましたね」 |
愛梨 | 「はい…貴音さんどうでした?私の実家のご飯は口に合いましたかっ?」 |
貴音 | 「大変美味しくいただきました。とても幸せな味がいたしましたよ」 |
愛梨 | 「良かったぁ…」 |
二人がどういう状況かというと… |
愛梨 | 「あ、布団は大丈夫ですか?」 |
貴音 | 「はい、しかしやはりこの時間ともなると寒いですね」 |
愛梨 | 「今の時期は一番寒いと言われている大寒でしたから」 |
貴音 | 「布団の中は温もりで温かく…」 |
愛梨 | 「湯たんぽの加減はどうですか?」 |
貴音 | 「ちょうど良い温もりをわたくしに届けて下さっております」 |
愛梨 | 「よかったぁ」 |
貴音 | 「ただ湯たんぽが無くとも…」 |
すすす ぺたんっ |
愛梨 | 「ひゃんっ!」 |
貴音は自分の布団から手を伸ばし、隣の布団で横になっていた愛梨の肌へと触れた。 |
貴音 | 「愛梨の身体は温かいです」 |
愛梨 | 「やっぱりそうですか?」 |
貴音 | 「ええ…。それにしても、家に入ってすぐにあそこまで脱がれたのはそれでですか」 |
愛梨 | 「そうなんです。私暑がりなのでつい脱ぎたくなっちゃう癖があって…」 |
貴音 | 「それはいかがなのでしょうか…カメラさんも驚かれていましたよ」 |
愛梨 | 「つい…実家だからって開放的になっちゃったのもあったのかなぁ」 |
貴音 | 「わたくしが止めていなかったらと思うと…」 |
愛梨 | 「すみません。何とか誤魔化せて良かったです」 |
貴音 | 「ただ本当に愛梨の身体は、湯たんぽよりも温まれそうです」 |
愛梨 | 「貴音さん、こっち入ります?」 |
貴音 | 「そうですね…しかし…」 |
愛梨 | 「えっと…ちょっと待っててください」 |
と、愛梨は布団から一旦出て何やら探しに部屋を出た。 |
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数分後… |
愛梨 | 「貴音さん、敷布団だけ繋げちゃいましょう」 |
貴音 | 「それは…」 |
愛梨 | 「二回り大きいサイズの掛け布団、出してもらいました」 |
貴音 | 「なるほど…分かりました」 |
貴音は掛け布団を部屋の端へと寄せて敷布団をくっ付けた。 |
ぼふんっ |
愛梨は持ってきた布団をそこに被せた。 |
愛梨 | 「これなら一緒に入れますよね?」 |
貴音 | 「はい…」 |
愛梨 | 「じゃあそろそろ休みましょっ」 |
ススススス ススススス |
布団へと潜っていく二人の身体。 |
貴音 | 「少し冷えてしまっておりますね」 |
愛梨 | 「貴音さんの身体、温かいですっ」 |
貴音 | 「愛梨の身体も徐々に温まってまいりましたよ」 |
愛梨 | 「フフっ、良かったですっ」 |
貴音 | 「フフフっそうですね…」 |
二人はその後すぐにまどろみ始め、仲良く朝までぐっすりだったそうである… |
HAPPY BIRTHDAY!! Takane SHIJOU.