とある日のこと… |
響 | 「もしもし、プロデューサーか?」 |
P | 『何だ?珍しいな、響の方から掛けてくるなんてな』 |
響 | 「プロデューサーは今日暇か?」 |
P | 『餌の買い出しはお断りだからな』 |
響 | 「げっ…やっぱり」 |
P | 『こんな日に突然響から掛けてくるなんて、そんなことだろうと思ったよ』 |
響 | 「プロデューサーって担当アイドルに冷たいんだ」 |
P | 『しょうがないだろ、今は現場なんだからさ』 |
響 | 「ん?今日は何も無いって言ってた気がするんだけどさー」 |
P | 『伊織と雪歩の仕事の日程が向こうの都合で急に早まってな。俺は今控室だけど』 |
響 | 「そうかー、それなら仕方無いさ」 |
P | 『…あ、今メモはできるか?』 |
響 | 「できるけど、どうしたんだ?」 |
P | 『今から言う電話番号に掛けてみてくれないか?たぶんその人なら大丈夫だから』 |
響 | 「んー、了解」 |
P | 『0*0、****、****だ』 |
響 | 「で、これは誰の電話番号なんさ?」 |
P | 『声を聴けば分かるから。じゃ、そろそろ二人が休憩で戻って来るから切るぞ』 |
響 | 「ありがと、じゃ次の土曜日なー」 |
Pi♪ |
電話を切った響。 |
響 | 「しっかし、これ誰なんさ?ま、掛けてみるとするか」 |
ピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッピッ |
Trrrrr… Trrrrr… |
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さて、ここはその番号の主が住むマンション… |
♪〜 |
彼女の携帯電話から、見慣れぬ番号からの着信を告げるメロディが鳴り響く。 |
小鳥 | 「あら?誰かしら…うーん、見たこと無い番号ね」 |
番号を見て不思議がっているようだ。 |
小鳥 | 「でも鳴らし続けているってことは、さすがに怪しい人じゃなさそうね」 |
電話は切れずにまだ鳴り続けている。 |
小鳥 | 「ま、とりあえず出てみましょ」 |
Pi♪ |
小鳥 | 「はい、もしもし」 |
響 | 『もしもし』 |
小鳥 | 「えっと、その声って…誰かしら?聞いたことはある気がするけど…」 |
響 | 『ん?もしかしてその声は…ぴよ子か?』 |
小鳥 | 「あら?もしかして響ちゃん?」 |
響 | 『そうさ。これってぴよ子の番号だったのかー、登録しとかないとなー』 |
小鳥 | 「そういえば私も響ちゃんの番号は聞いてなかったわね」 |
響 | 『プロデューサーに番号聞いたんだけど、誰かは教えてくれなかったんだ』 |
小鳥 | 「それで、どうして私の番号を聞いたのかしら?」 |
響 | 『あー、そうだったそうだった。ぴよ子ー、買い出しに付き合ってくれないか?』 |
小鳥 | 「え?どういうこと?」 |
響 | 『まあ話せば長くなるんだけどさ。………』 |
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響 | 『………そういうことなんだ』 |
小鳥 | 「だから私に掛けてきたのね」 |
響 | 『それでどうなんだ?ダメなら諦めるさ』 |
小鳥 | 「確かにプロデューサーさんが仕事なら…仕方ないわね」 |
響 | 『ありがとな、ぴよ子』 |
小鳥 | 「それで私はどこに行けばいいかしら?」 |
響 | 『自分の家の近くの駅に来てくれればそれでいいさ』 |
小鳥 | 「了解、すぐ行くわね」 |
響 | 『…って、自分の家って分かるのか?』 |
小鳥 | 「住所リストはあるのよ。それに、カーナビもあるから大丈夫よ」 |
響 | 『だったらどれくらいで来れるんだ?』 |
小鳥 | 「そうね…着くどれくらい前に連絡が欲しいの?」 |
響 | 『うーん、10分あれば着くから15分前くらいに頼む』 |
小鳥 | 「分かったわ。それじゃあ今から行くわね」 |
響 | 『うん。待ってるぞ』 |
Pi♪ |
小鳥 | 「…まったく、プロデューサーさんったら。後で何かしてもらわなくっちゃ」 |
小鳥はどことなく笑顔になって出かける準備を始めた。 |
……… |
小鳥 | 「ん?アレね」 |
パーパー♪ |
響の家の近くの駅まで来た小鳥は、気付いてもらうためのクラクションを鳴らした。 |
小鳥 | 「あ、気付いたみたい」 |
カチャッ |
助手席の鍵を開ける小鳥。 |
バッ バタンッ |
響は停車した車に駆け寄り、ドアを開けて中へと入った。 |
小鳥 | 「お待たせ、響ちゃん」 |
響 | 「ううん、全然待ってないぞぴよ子」 |
小鳥 | 「とりあえずシートベルトを締めてもらえる?」 |
響 | 「ああ、これだな」 |
カチャンッ |
響 | 「今日は折角のオフだったのにゴメンな、ぴよ子」 |
小鳥 | 「いいのよ。こういうサポートも事務員の役目だもの」 |
響 | 「でもこんな個人的な用事だぞ。それでもいいのか?」 |
小鳥 | 「それでもいいの。私も確かに暇だったから」 |
響 | 「何か悪いな…」 |
小鳥 | 「そういえば響ちゃん、プロデューサーさんにはこういうことで悪いって思ったことはある?」 |
響 | 「え?あっ…」 |
小鳥 | 「みんな男手と言ったらプロデューサーさんだものね」 |
響 | 「うん。でも何一つ文句も言ってこないよなあ」 |
小鳥 | 「みんなに心配かけまいとか、支えられるのは裏方の自分だからとか思ってるのよ」 |
響 | 「そっか、そうだったんだな…って何でぴよ子が知ってるんだ?」 |
小鳥 | 「彼が愚痴を言えるのは私の前くらいなの。でも、好きな人のことだから…ね」 |
響 | 「…ごちそうさまだぞ」 |
小鳥 | 「こんなことを話しててもアレだし、まずはどこに行けばいいのかしら?」 |
響 | 「ああ、そうだったな。道案内するから頼むぞ」 |
小鳥 | 「それでどれくらい回るのかしら?」 |
響 | 「えっと…肉屋とスーパーとホームセンターとペットショップだな」 |
小鳥 | 「分かったわ。まずはどれからにする?」 |
響 | 「んー、先にホームセンターだな。肉と卵はさすがに後でいいや」 |
小鳥 | 「そうね。じゃあ行くわよ」 |
響 | 「頼んだぞ、ぴよ子」 |
その日から響のプロデューサーへの態度に若干の変化が見られたという… |