Thrilling Sight(胸躍る光景)

段々と空も冷え始めた頃のこと…
あずさ「はあ…どうしましょう…」
貴音「いかがしました?あずさ」
あずさ「あら、貴音ちゃん。何でも無いわよ」
貴音「そんな風にはお見受けしませんが…」
あずさ「やっぱりそう見えるのね…」
貴音「どうされました?何やら深刻そうな顔をされています」
あずさ「…うーん、貴音ちゃんにならお願いしてもいいかしら」
貴音「い、いかがされたのですか?」
あずさ「かなり急なことなの」
貴音「急なこと…」
あずさ「その…私の今度のライブに一緒に出てくれないかしら?」
貴音「…わたくしがですか?」
あずさ「プロデューサーさんが言うには、代役を頼まれたらしいの」
貴音「代役…ですか?」
あずさ「どこか分からないのだけどライブでブッキングが急遽キャンセルされたらしくて〜、それで765プロに白羽の矢が立ったらしいのよ〜」
貴音「はあ…それでどうしてあずさが?」
あずさ「その日が空いていたのが何人か居たんです〜、それでその話が来た時にちょうどプロデューサーの近くに居て…」
貴音「なるほど…そのようなことがあったのですか」
あずさ「それでプロデューサーさんに言われて断りきれなくて…」
貴音「ようやく理解いたしました。それで心細いと」
あずさ「そうなのよ〜」
貴音「それでしたらプロデューサーとご相談となりますが…」
あずさ「貴音ちゃんいいのかしら?」
貴音「わたくしの予定は問題無いのでしょう?」
あずさ「そうみたい、少なくとも私が聞いた限りは問題無かったはずだから」
貴音「それならば…千早に言わせるにあずさの歌声もお綺麗だと聞きましたので」
あずさ「そんなことないわ〜」
貴音「まず早急にプロデューサーと話し合いの場を持たないと…」
あずさ「そうね、ちょっと呼びだしちゃおうかしら」
………
Trrrr… Trrrr…
ちょうど休憩室に居たプロデューサーの携帯が着信を告げた。
Pi♪
「もしもし、あずささんですか?」
あずさ『はい〜、今どちらに居られます〜?』
「今は休憩室ですけど…どうしました?」
あずさ『ちょっと事務室の方に戻ってきていただけませんか?』
「分かりました。ちょっと待っててくださいね」
 
そして事務室にて…
「それで貴音とですか」
あずさ「はい〜。プロデューサーさんは一人で充分と言ってくださいましたけど、心細くて〜」
貴音「あなた様、よろしいでしょうか?」
「ああ、俺としては全くもって構わないぞ」
貴音「それならばお受けしましょう」
あずさ「嬉しいわ〜、お願いね貴音ちゃん」
貴音「それでなのですが…日程などはどのようになっておりますか?」
「待ってな、今ちょっと確かめるから」
ガサガサガサ
机の上にある書類を探るプロデューサー。
「再来週の日曜日だな。家の予定とかは大丈夫か?」
貴音「その日ならば問題ありません」
「分かった、先方にはそのように伝えておくから。よし、それじゃ選曲と衣装合わせだな」
あずさ「それって私たちが決めてもいいんですか?」
「そうだな…衣装くらいは決めてもらってもいいかな」
貴音「それならば…曲のコンセプトだけお聞きして衣裳部屋の方に向かいましょうか」
あずさ「そうね。プロデューサーさん、どんな感じにするんですか〜?」
「そうですね、一応クリスマス近くになるのでそんな曲にしようかなと」
貴音「なるほど…それならばあの衣装の出番でしょう」
あずさ「えー、どの衣装かしら?」
貴音「それでは失礼します、衣裳部屋でその衣装を見てまいりますので」
「了解。あ、部屋の中の衣裳の位置は小鳥さんに聞いてくれ」
貴音「分かりました」
 
ここは衣裳部屋…
貴音「小鳥嬢、季節物の衣装はどちらに?」
小鳥「季節もの…冬のよね?」
貴音「もちろんです…もう時期が時期ですので」
小鳥「それならこっちよ。その衣装ケースに分かれて掛けてあるわ」
貴音「ありがとうございます」
チチチチチ
チャックを開けて出てきたのは…
あずさ「まあ、これですか」
貴音「やはりクリスマスと言えばこちらでしょう」
そこには、ホーリーナイトドレスが入っていた。
貴音「こちらがあずさの物で、わたくしのは…これですか」
あずさ「貴音ちゃんのってあったんですか〜」
貴音「こちらに3人で移籍した際に、元々こちらに居られた美希以外の2人分を作っていただきましたので」
あずさ「でも貴音ちゃんにこういう赤色の衣装ってとっても似合うわね〜」
貴音「そう…でしょうか?」
小鳥「銀色の髪に綺麗に合ってるわよ」
貴音「そんな…小鳥嬢まで…」
少しだけ頬を染める貴音。
小鳥「ちょっと着てみたらどう?」
あずさ「先に着ちゃってもいいのかしら?」
小鳥「プロデューサーさんにも先に見せといた方がいいでしょ?」
貴音「それも一理…確かに」
小鳥「それならほら、善は急げ…ね!」
貴音「こ、小鳥嬢!そんなに押さなくてもいいではないですか…」
 
さてさて着替えて事務室へと戻ってきた2人。
貴音「あなた様、こんな衣装でいかがでしょうか?」
「お、戻ってき…」
2人の衣装姿を見て時が止まったプロデューサー。
あずさ「あら〜、どうかしましたか?」
「いや、あまりにもイメージ通り過ぎて唖然としただけです」
貴音「やはりあなた様が考えていたのもこの衣装でしたか」
「ああ、まったくもってな」
貴音「それではこの衣装でわたくし達はどのような曲を?」
「ああ、それなんだが時間との兼ね合いでこんな感じになった」
あずさ「この5曲ですか、冬らしい曲が並びましたね〜」
「クリスマスですしレッスン時間もそんな取れませんから」
貴音「確かに2人で歌わなくてはいけない曲は、一度は合わせないと…」
「2人ともこの後は大丈夫?」
あずさ「私は特に問題無いです〜」
貴音「わたくしも急な仕事が入らなければ」
「じゃあさっそくレッスンだな。それを着替えてレッスン室に移動して欲しい」
あずさ「どのレッスンですか?」
「今日のところは歌詞合わせですね。なのでキーボードがある方のレッスン室で」
貴音・あずさ『はい』
2人の目はライブに向けて少し輝きを増していた。
ライブ?大好評だったようですよ、特に胸の辺りが…
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あとがき
ども、飛神宮子です。
ちょっと踏み外してあずさと貴音に。時期的にグラビアはちょっとと思いまして…。
もう今年も残すところ2か月…ですね。1年が過ぎるのは本当に早いものです。
あ、このタイトルに他意はありません。あるわけないじゃないですかー(棒読み)
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2009・11・07SAT
飛神宮子
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