桜も散り、葉の色が一層緑になってきた頃のこと… |
律子 | 「ふ〜〜〜〜…」 |
やよい | 「ほへ〜〜〜…」 |
P | 「ん〜〜〜〜…」 |
やよいと律子はプロデューサーと共にリゾートスパへと来ていた。 |
律子 | 「私たちだけ本当にいいのかしら?」 |
P | 「ああ、ご褒美だからいいんだよ。3枚連続で初登場1位が取れたんだから」 |
やよい | 「本当に嬉しいですっ」 |
P | 「これもまあファンの人たちがあってこそのものだけどな」 |
律子 | 「そうよね、まさか3曲も連続で1位を取れるなんて思わなかったわ」 |
P | 「タイアップもあったとはいえ、特に今回は激戦の週を勝ち抜いたわけだからなあ」 |
やよい | 「うあー、何だか凄いことしちゃったんですね」 |
律子 | 「やよいの歌声の元気さが今回の曲にはぴったりだったわね」 |
やよい | 「そんなことないです。律子さんの綺麗さがあってこそです」 |
P | 「俺はどっちもだと思うけどな」 |
律子 | 「そうよね、でも今回のシングルはカップリングも凄い受けてるんでしょ?」 |
P | 「そうなんだ。あのCMに使われてから問い合わせが多くてな」 |
やよい | 「でもでもあのCMももう長いですよね」 |
P | 「あの社長がかなり気に入っててくれてな。次のCMももう予定に入ってるぞ」 |
やよい | 「ほんとですかっ!?」 |
P | 「ああ、今度打ち合わせしてくるからさ」 |
やよい | 「また何か貰えると嬉しいなあ」 |
律子 | 「やよい、そんなことじゃダメよ」 |
やよい | 「はーい、ごめんなさーい」 |
P | 「(本当にこの二人はいいコンビだな)」 |
律子 | 「そういえばプロデューサー」 |
P | 「ん?何だ?律子」 |
律子 | 「今日は一日フリーなのよね?」 |
P | 「ああ、そうだけど?」 |
律子 | 「こんなところだけじゃ勿体ないじゃない、ねえやよい」 |
やよい | 「そうですよー、プロデューサーも一緒にー」 |
P | 「えー、俺はいいよ。二人で楽しんできな」 |
律子 | 「まったく…どこかの老人ですかって。行くわよ、ほら」 |
ザバッ ザバンッ ギュウッ ギュムッ |
浸かっているスパから上がってプロデューサーを引き上げようとする二人。 |
P | 「うわっ…引っ張らなくても分かったから」 |
ザバンッ |
と、渋々スパから上がったプロデューサーであった。 |
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その日の最後に… |
やよい | 「律子さん…本当に行くんですかぁ…?」 |
律子 | 「どうしたの?やよい」 |
やよい | 「ちょ、ちょっと怖いです…」 |
律子 | 「やよいって…高いところ苦手だった?」 |
やよい | 「はい…律子さん」 |
P | 「どうする?やめるか?」 |
やよい | 「でも…せっかくここまで来たから」 |
P | 「ん?そういえばここって…」 |
何かを思いついたプロデューサー。 |
P | 「律子、3人で一緒じゃダメか?」 |
律子 | 「え?私はいいけど…3人で滑れるの?」 |
P | 「ああ、ここにはアレがあるんだ」 |
と、プロデューサーが指さしたのは… |
律子 | 「へえ…なるほどね」 |
やよい | 「プロデューサー、私はいいですから2人で滑ってもいいですよぉ…」 |
P | 「いや、ここは3人じゃなきゃ意味がないんだ」 |
やよい | 「えっ…」 |
P | 「俺たちは3人で秋のま〜ちだろ?」 |
やよい | 「…はいっ」 |
P | 「だからな、一緒にあれで滑ろうな」 |
やよい | 「あの…プロデューサー、一ついいですか?」 |
P | 「何だ?やよい」 |
やよい | 「滑ってる間、手を握ってて欲しいです」 |
P | 「ああ、それくらいなら全然構わないさ」 |
ギュッ |
やよいの左手がプロデューサーの右手へと握られた。 |
律子 | 「………」 |
何やら物欲しそうに、そんなやよいとプロデューサーを見る律子。 |
P | 「何だよ、律子」 |
律子 | 「やよいばっかり…」 |
そのまま律子はそっぽを向いてしまった。 |
P | 「律子もほら、行くぞ」 |
ギュッ |
律子の右手がプロデューサーの左手へと握られた |
律子 | 「プ、プロデューサーっ!?」 |
P | 「律子だって俺の大切なアイドルだからな」 |
律子 | 「………ありがと」 |
P | 「よし、二人とも行くぞ」 |
やよい・律子 | 「はいっ」 「うん…」 |
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律子 | 「やよい、大丈夫?」 |
やよい | 「もう滑るって決めたから、もう大丈夫です」 |
3人は小さなゴムボートへと乗り込んでいる。 |
P | 「二人ともいいな?よし、じゃあ行くぞ」 |
律子・やよい | 「はい」 「は〜い」 |
ぎゅっ ぎゅぅっ |
二人ともプロデューサーの体温に顔を少し赤らめながら、その腕へと抱きついていた。 |
P | 「係員さん、お願いします」 |
2人が抱きついたのを見計らって… |
係員 | 『いきますよー、それっ!』 |
シューーーーーーー |
係員さんが押し出して、そのゴムボートは発進した。 |
律子・やよい | 「んー、気持ちいいわっ!」 「本当ですー!凄いスピードですー!」 |
シューーーーーーー ザバァァァンッ |
P | 「はあ…凄かったな、なかなか」 |
律子 | 「良かったわね、なかなかスピード出てたし」 |
やよい | 「すっごい水しぶきでした!」 |
P | 「あ…律子、やよい、そろそろ帰り時間だけどもういいか?」 |
律子 | 「そうね」 「はいっ」 |
P | 「じゃあコレ返したら、スパに一回寄って帰ろう」 |
律子 | 「そうね、これで明日からも頑張りますか」 |
やよい | 「はいっ!あ、プロデューサー、律子さん」 |
律子・P | 「ええ、そうね」 「ああ、そうだな」 |
やよい | 「行きまーす!ハイ、ターッチ!」 |
パシンっ |
三人 | 『イエイっ!』 |
三色の音と声の帯が空へと鳴り響いた… |