季節は立夏を過ぎ、暑さが増してきた頃のこと… |
律子 | 「どうして私なのよ…プロデューサー」 |
P | 「そんなの聞かれても知らないよ、向こうがとにかく律子でって言ってきたんだから」 |
律子 | 「はあ…他にも適任が居そうなのにねえ…」 |
P | 「とりあえず今日は下見だけだから、そう文句は言うなって」 |
律子 | 「分かってますよお(まあ興味が無かったわけでもないけど…)」 |
P | 「でも確かにむしろ春香とかに来そうな話なのにな」 |
律子 | 「そうですよ…ってプロデューサー、それはどういう意味ですか?」 |
P | 「いや、春香みたいな花嫁なら可愛いなと思ってさ」 |
律子 | 「…普通女の子が居る横でそういうこと言います?」 |
P | 「え?あ、いや、律子のそういうのも見てみたいけどな」 |
律子 | 「もう遅いです」 |
助手席ですっかり向こうを向いてしまった律子。 |
P | 「スマンっ!確かに今のは俺が悪かった」 |
律子 | 「まったく…プロデューサーってデリカシーの欠片も無いんだから…」 |
P | 「でもなあ、律子はどんなのを着ることになるんだろうな」 |
律子 | 「まあ私としては別にどんなのでも構わないけど」 |
P | 「ま、とりあえずは行ってみてからのお楽しみってとこかな」 |
律子 | 「そうね。あ、あとどれくらいなの?」 |
P | 「あと15分くらいで着くぞ」 |
律子 | 「15分ね…了解」 |
……… |
律子 | 「あ、ここかしら?」 |
P | 「そうだな…大広間って話だからここだな」 |
律子 | 「でも、小さいけどこういうとこを貸し切ってでもやるなんて凄いわね」 |
P | 「確かにな。あ、担当の人が来たぞ」 |
担当A | 「どうも、今回は話を受けていただきまして本当にありがとうございます」 |
P | 「こちらこそ、今回はうちの秋月をよろしくお願いします」 |
律子 | 「秋月です。今回はよろしくお願いします」 |
担当A | 「こちらこそ今回はよろしくお願いしますね。では場所を変えましょうか、立ち話もあれですし」 |
P | 「そうですね、ではどちらに?」 |
担当A | 「ドレスのこともありますので、今ちょっと準備中ですが会場の方でやりましょうか」 |
P | 「分かりました。じゃあ行きましょう」 |
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担当A | 「頂いたプロフィールからサイズを確認いたしましたが、あれで宜しいのでしょうか?」 |
P | 「はい、間違ってはいないかと。だよな?律子」 |
律子 | 「大丈夫よ、この前測ったばかりのでしょ?」 |
P | 「ああ、それだけど」 |
律子 | 「それなら間違いないわよ」 |
P | 「大丈夫だそうです」 |
担当A | 「はい。それでは、秋月さんの方に当日着用するドレスの方を、確認のために着用していただきたいのですが」 |
律子 | 「分かりました」 |
担当A | 「それでは、秋月さんはそちらに居る小林に何でも話を聞いてください」 |
担当B | 「秋月さん、担当の小林です。よろしくお願いします」 |
律子 | 「秋月です、よろしくお願いします」 |
担当B | 「では、衣裳部屋に案内いたしますのでこちらへどうぞ」 |
律子 | 「分かりました。それじゃプロデューサー、行ってきます」 |
P | 「ああ、行ってこい」 |
と、律子は連れられて別室へと向かって行った |
担当A | 「さて、当日の詳細ですが…」 |
P | 「………」 |
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1時間後… |
担当A | 「このような感じになりますが、よろしいでしょうか?」 |
P | 「はい。なるほど、秋月を選ばれた理由がよく分かりました」 |
担当A | 「秋月さんは、まだまだ魅力が出てくる方だと私は思いますよ」 |
P | 「そ、そうですかね…」 |
担当A | 「私はそう思いますが…」 |
と、そこに… |
律子 | 「プロデューサー」 |
P | 「お、律子戻っ…たのっ!?」 |
律子の方を見たプロデューサー。 |
P | 「律子…だよな?」 |
律子 | 「プロデューサー、担当しているアイドルも分からないんですか?まったく」 |
P | 「いや、髪形とか変わってるじゃないか」 |
律子 | 「だって、あの髪型じゃヴェールが被りにくいじゃない」 |
P | 「それもそうか。でもな…綺麗だぞ、本当に」 |
律子 | 「なっ…プ、プロデューサー…恥ずかしいこと言わないでよ」 |
担当A | 「あのー…まだお話しすることがあったんですが…」 |
P | 「あ、すいません。でも最近はこういう色もできたんですね」 |
担当A | 「はい。やはりさまざまな色が求められてきてまして」 |
律子 | 「これはでも本当に素材もいいですし、素敵ですね」 |
担当A | 「ありがとうございます。そう言ってもらえるとこちらとしても嬉しいですね」 |
P | 「で、そういえばどうしたんだ?律子」 |
律子 | 「だって一度くらいは見せておいた方がいいでしょ?」 |
P | 「それもそうか」 |
律子 | 「じゃ、着替えてくるわね」 |
P | 「ん、了解」 |
律子はそのまま別室へと戻っていった。 |
担当A | 「さて、後は細かい話になりますが…」 |
P | 「………」 |
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30分後… |
律子 | 「プロデューサー、ただいま」 |
P | 「おかえり、あとは律子も関わっている部分の話だから」 |
律子 | 「そうなの?OK。何かしら?」 |
担当A | 「あ、ではお話いたします…」 |
……… |
ここは帰りの車の中… |
P | 「いやなあ…でも今日は良い物が見れたな、本当に」 |
律子 | 「何のことかしら?」 |
P | 「ああいう感じになるのか…って思ってさ」 |
律子 | 「そりゃ誰だってああいう風になれるわよ」 |
P | 「でもま、元の素材がいいからな。いつもよりさらに綺麗になってたぞ」 |
律子 | 「…ありがと」 |
P | 「ん?何か言ったのか?」 |
律子 | 「な、何でもないわよ何でも」 |
P | 「まあいいけどさ。あ、そうだ!どっか寄ってく必要はある?」 |
律子 | 「あ、えっと…それならあの店に寄ってくれる?」 |
P | 「ん、了解」 |
二人を乗せた車は、その店へと進路を変えて行った… |