Tender Lies(優しい嘘)

小鳥「みんな…ありがとう…」
ここは朝の事務所。
事務所のアイドルや社長からのプレゼントに涙ながらに応える小鳥、しかし…
小鳥「あれ?プロデューサーさんは…?」
春香「今日は打ち合わせって言ってましたよ」
小鳥「そうなの…」
亜美「ピヨちゃーん、なーに落ち込んでるのー?」
真美「そーだよ、主役がそんなんじゃダメだよー」
小鳥「そ、そうね…プロデューサーさんには悪いけど…」
「そうこなくっちゃ、小鳥さん」
律子「でも薄情よね、プロデューサーも」
伊織「そうよね、まったく不甲斐ないんだから」
小鳥「むー、私の彼をそんな風に言うなんて…」
律子「ちょっとからかっただけですってば、ねえ伊織」
伊織「もちろんよ、真だってそうでしょ?」
「うん。だって小鳥さんって、意外とからかいがいがあるから」
春香「でも…何の打ち合わせなんでしょうか?」
小鳥「え?誰も聞いてないのかしら?」
律子「やよいは聞いてる?」
やよい「ううん、聞いてないですよ律子さん」
「雪歩はどう?」
雪歩「わ、私も何も聞いてないよ、真ちゃん」
あずさ「私もです〜、美希ちゃんはどうかしら?」
美希「え?ミキもなーんにも聞いてないけど?」
伊織「あの様子じゃ亜美たちも聞いてなさそうよね…」
小鳥「うーん…でもまあしょうがないわね、とりあえずパーティーにしましょ」
律子「そうですね、あの薄情プロデューサーにはあとでじっくり灸を据えておかないと…」
春香「小鳥さん、ケーキですよ!ケーキ!」
小鳥「まあ、これは春香ちゃんのお手製かしら?」
春香「はい!スポンジからぜーんぶ手作りですよ!」
亜美「ピヨちゃーん、ローソクは何本いるー?」
小鳥「そうね…って亜美ちゃん、ちょっといらっしゃい」
亜美「わー!ピヨちゃんが怒ったーっ!」
むにゅっ むにっ
亜美の両頬をつねる小鳥。
小鳥「女の子に年齢は聞いちゃダメよ。ね、亜美ちゃん」
口は笑っても目は笑っていない小鳥なのであった。
亜美「うー、ゴメンナヒャイ!ゴメンナヒャイ!」
伊織「…小鳥って怒らすと怖いのね…」
「こ、小鳥さん…でもローソクが無いのも寂しいですよ」
小鳥「そうね、それなら9月だから9本立ててくれる?」
「分かりました、雪歩のとこだっけ?ローソクは」
雪歩「うん、真ちゃんも一緒に立てよう」
ぷすっ ぷすっ ぷすっ…
春香の作ったケーキへとローソクが挿されていく。
やよい「えーっと…社長っ、ライターってないですか?」
社長「おお、そうだったなやよい君。今隣の部屋から持ってくるぞ」
ポッ ポッ ポッ…
そして点されていく炎…
伊織「準備はオッケーね。それじゃああずさに千早、頼んだわよ」
千早「あずささん、音は採れてますか?」
あずさ「はい〜、千早ちゃんも大丈夫ね?」
千早「はい。それじゃあ、一、二、三、はいっ」
あずさ
千早
『♪Happy Birthday To You… Happy Birthday To You…
  Happy Birthday Dear Kotori… Happy Birthday To You…』
二人の合唱が事務所へと響き渡った。
全員『『『『『おめでとー(ございまーす)!!!!』』』』』
小鳥「ありがとう、みんな。本当に幸せよ…」
美希「ほら小鳥、ローソクを吹き消すの!」
小鳥「そうね。フーーーーーーーー」
パチパチパチパチパチパチ
真美「さて、ピヨちゃんの誕生日パーティーを始めよーっ!」
………
パーティーも終わりに差し掛かってきた頃…
Trrrrr… Trrrrr…
Pi♪
『もしもし!ゴメン!小鳥さん』
小鳥「プロデューサーさん…」
『怒ってます…よね?』
小鳥「ちょっと…ね」
『本当にごめんなさい、それで今どこですか?』
小鳥「事務所に居ますよ、パーティーも終わりましたからね」
『分かりました、今から迎えに行きますから待ってて下さい』
小鳥「え?迎えに?わ、分かりました」
『あと15分くらいで着くと思うんで』
Pi♪
小鳥「ふう…」
春香「小鳥さんっ、今の電話は誰から…って聞かなくても…」
小鳥の表情からは先ほどまでの影が消えていた。
小鳥「え?春香ちゃん、何か言ってたかしら?」
春香「何でもないです、何でもっ!」
律子「さあ、小鳥さん。今日の事務所の仕事は私たちに任せてプロデューサーさんと過ごしてきてください」
小鳥「え?えっ…ええっ!?ど、どういうことなの?律子さん」
社長「小鳥君、今日は二人だけで過ごしてきたまえ」
小鳥「社長まで!?」
「今日はみんな一日オフなんですよ、ほら」
真が指した先にあるホワイトボードに書かれていた予定が綺麗さっぱり消え去っていた。
小鳥「さっきまで色々と書いてなかったかしら?」
「見間違いですよきっと、小鳥さん」
小鳥「むー…何だかみんなに遊ばれてる気がする…けどいいわ、今日だけは…ね」
律子「ほらほら、着替えてきてください」
小鳥「そうね、律子さん。行ってくるわ…くれぐれも今日はみんな頼んだわよ」
全員『『『『『はーいっ!』』』』』
小鳥「あ、最後に一言いいかしら?」
雪歩「何でしょうか?小鳥さん…」
小鳥「今日はみんな本当にありがとう…それから…」
小鳥はみんなの方を改めて向き直して一言…
小鳥「この765プロで働いていることを幸せに思います」
 
さて、この後のプロデューサーとの様子ですが…
ここはプロデューサーの運転する車の中。
『小鳥さん、みんなとのパーティーはどうでした?』
小鳥『どうって…やっぱりプロデューサーさんが居ないと寂しくて…』
『やっぱり…でも打ち合わせでこうするって決めたんで…』
小鳥『むー…何だかずるいです。でも…』
『でも?』
小鳥『こうして二人だけの時間を貰えたのが、一番のプレゼントです』
『じゃあ今日は一日、小鳥さんのために何でもしてあげますよ』
律子「…聞いてるだけでこっ恥ずかしい内容ね、これは」
「いいの?律子、小鳥さんのカバンに勝手に盗聴器なんて付けて」
律子「当然よ、これは仕事を一日空けさせた報いなの」
春香「うわ…律子さん、凄いこと話しちゃってるこれ」
律子「え?何?どんなこと……うわあ…これは必聴ものね」
社長「君たち、仕事も頼むよ…はあ…」
社長は一つため息をついていた…
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あとがき
ども、飛神宮子です。
火曜なのに火曜ネタじゃないのは久々…と言うより小鳥さんBSSです。
実はこれ、予定とは方向性が大幅にずれていたりします…が、気にしないでください。
とにかく…Happiyo Birthday!!Kotori Otonashi!!
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2008・09・09TUE
飛神宮子
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