Tacit Raw Stone(潜在的な原石)

ここはある日の事務所…
小鳥「雪歩ちゃんは貴音ちゃんとお仕事、伊織ちゃんは…あらあら、美希ちゃんとね…フフフ」
小鳥がホワイトボードで仕事の確認をしていた。
小鳥「今日お休みなのは…えっと?あら?みんな仕事があるのかしら…ひーふーみーよー…」
と指差し人数を確認し始めた。
小鳥「じゅう、じゅういち、じゅうに…一人だけオフじゃなくて何も無くてお休みだけど…誰かしら?」
もう一度最初から確認していく。
小鳥「千早ちゃんは亜美ちゃん真美ちゃんあずささんと一緒、春香ちゃんと響ちゃんと律子さんとやよいちゃんはオフ…」
パンっ
ようやく理解したのか手を合わせた。ただ、後ろに既にその人が来ていることは気が付いていなかった。
「酷いじゃないですか、ボクのこと忘れるなんて」
小鳥「ふわあっ!」
「うわあっ!?びっくりしたぁ」
小鳥「ゴメンなさい真ちゃん、急に後ろから声掛けられたからビックリしちゃって」
「こっちこそすみません、小鳥さん驚かせちゃって」
小鳥「いいのよ、おはよう真ちゃん」
「おはようございます、小鳥さん」
小鳥「それで私に何か用?」
「あ、はい。買い物に付き合って欲しくって…」
小鳥「そうねえ…律子さんがお仕事に来て、仕事行くみんなが仕事に行ったらいいかしら」
「やーりぃ!」
小鳥「買い物する場所は決まってるの?」
「んー…買い物する物は決まってるんですけど…他の人におススメとか聞きたくって…」
小鳥「でもそれだと私が普段行く場所になっちゃうわよ?」
「それでいいんです」
小鳥「まずはみんな送り出さないとね」
「はいっ!」
………
ここは小鳥の車の中…
小鳥「それで何を買いたいの?」
「あの…そのですね、この前の日曜の番組は見てました?」
小鳥「日曜の…雪歩ちゃんと出ていた番組?」
「はい…それです」
小鳥「あれは雪歩ちゃん凄かったわねえ…」
「雪歩の勢いに押されちゃって、いつもの雪歩じゃなかったですよアレは」
小鳥「そうよねえ、雪歩ちゃんは真ちゃんのことになると見境無いところもあるから」
「勢いに負けちゃって、ついあんなの着させられましたけど…」
小鳥「それでああいう服を…じゃなさそうね」
「ボクに求められている物は分かるんです。でも…」
小鳥「そうね…ファンには応えなくちゃいけない…でも、本当に好きなのは違う…大変よね」
「小鳥さん…ボクの言いたい事、分かってもらえます?」
小鳥「私はそういう立場になったことが無いけど…言いたいことは分かったわ」
「それじゃあ…」
小鳥「お姉さんが連れて行ってあげるわ」
「ありがとうございます!」
小鳥「フフフ…」
「ど、どうしたんですか?小鳥さん」
小鳥「ううん、やっぱり真ちゃんも女の子なんだなって思ったの」
「え?それってどういう…」
小鳥「こういうことで喜ぶの、女の子だからよ」
「そう言われると何だか照れるなあ…」
小鳥「でも最近は少しずつ女の子してきてるわ」
「そうですか?」
小鳥「また大きくなったでしょ?」
「大きくって…うわあっ!うう…確かに少しだけ大きくはなりましたけど…」
小鳥「それも女性に向かっている点の一つなの。男性を惹きつけるための物だもの」
「小鳥さんもそれでプロデューサーのこと惹きつけちゃったんですね」
小鳥「もう、真ちゃんったら…」
「ヘヘっ、小鳥さん恥ずかしがってる…」
小鳥「お姉さんにそういうことは言わないの!」
「はーい」
小鳥「もうすぐ高速に入るから、休憩したくなったら言ってね」
「分かりましたっ」
………
ここは関東某所のアウトレットモール…
「小鳥さん、これ…似合ってますか?」
小鳥「んー…同じスカートならもう少し赤っぽい方が私は好みね」
「赤いの赤いの…じゃあこっちの赤のチェックだとどうです?」
小鳥「そうそう、ちょっと試着室で合わせてみたら?」
「はい、でもやっぱりアウトレット品ってこともあってリーズナブルですね」
小鳥「前に伊織ちゃんも連れてきたこともあるわ」
「ええっ!?そうなんですか?」
小鳥「ちょうど色々あってね、ほら試着室はそっちだわ」
「ちょっと行ってきます」
 
「小鳥さん、小鳥さん」
試着室の中から声と手を出して手招く真
小鳥「どうしたの?真ちゃん」
「ちょっと見てもらえます?」
小鳥「いいわよ、開けて大丈夫?」
「いいですよ、ボクが開けますね」
バッ
試着室のカーテンを開けた真。
小鳥「なるほど…」
「ど、どうですか?」
小鳥「うーん…下の方が若干重たいかしら…ちょっと待ってて」
小鳥は何やら少し向こうの売り場から服を探し始めた。
小鳥「これ…ああ、これの方がいいわ」
そして上着を一枚持って戻ってきた。
小鳥「これをその上に着てみて」
「これですか?はい…」
小鳥「そうそうこれよこれ。そして…はいこれ」
「これって…伊達メガネですか?」
小鳥「そうよそれを付けて鏡を見て」
「うわあ、これはもう…」
小鳥「清純で少し文系っぽい女の子でしょ?」
「まるでボクじゃないみたいですよ」
小鳥「真ちゃんって素材が良いから、割とこういうのが似合うわ」
「もう少し…ボク頑張ってみようかな」
小鳥「努力は大切よ。挑戦しようって気持ちが大事。少しずつでもいいから近付いたらいいのよ」
「はいっ!」
小鳥「じゃあ次はあっちのショップで可愛い系でも挑戦してみる?」
「で、でもお金がそんなに…」
小鳥「…経費で落とせるかしら…」
小鳥は電話口で律子にこっ酷く怒られながらも、真とともに交渉して何とか5割以上を経費にしてもらったとのことらしい…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
実に2作目以来の真と小鳥さんのSSです。
そしてこの作品も微妙にアニメの要素が入っていたり、そんな感じです。
えっと…真がメインのSSは今年これが最後…です。
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2011・10・31TUE
飛神宮子
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