Syntony a Trois(三人だけの同調)

そして10回目…
二人『あーいこーで、しょっ!』
亜美の出したグーに対して真美の出したのもグー。
亜美「んー、勝負付かないねー」
真美「どうする亜美?」
亜美「こーなったらもう、兄ちゃんに決めてもらおうよ」
真美「そだね。兄ちゃん、どうする?」
「ここまであいこが続いたならしょうがないだろ。二人のやつで良いんじゃないか」
亜美「そっかー、そだね。兄ちゃんと二人っきりになれないのは残念だけど」
真美「うんうん。決まんなかったんだから仕方ないよね」
「よし、じゃあ先方に連絡してくるから待っててな」
………
そしてその誕生日前日…
二人『こんにちはー!』
ここは某県のとあるリゾート施設。
亜美「このリポートを担当する双海亜美と…」
真美「双海真美だよ!真美たちは今、○○県△△市にある○○○アクアリゾートの前にいるよ」
亜美「まずはこの施設の場所だよ。JR○○線☆☆駅からバスに乗って15分くらいで着くよー」
真美「車なら、☆☆道の▽▽インターを降りたら看板を目印にすれば20分くらいだよ」
亜美「今日はこの新しくできた施設の魅力をたっぷり紹介するねー」
真美「ここでもう一人、紹介だよ。この○○○アクアリゾートの副館長の□□さん、今日はよろしくお願いしまーす」
副館長「双海亜美さん、真美さんようこそ○○○アクアリゾートへ。副館長の□□です」
亜美「………」
………
二人は中に入って今日泊まるリゾート内のホテルの部屋で水着に着替えてから、撮影用の部屋へとやってきた。
亜美「この腕輪でこのホテルの部屋の鍵とか、支払いとか全部できちゃうのかー」
そう言う亜美は黄色地に赤いストライプが入ったビキニ姿だ。
副館長「はい。部屋から直接プールリゾートに出るとなると、鍵とか貴重品がどうしても邪魔になってしまいますので」
そんな副館長も既に水着姿である。
真美「でもこのホテルの部屋から直接プールの方に出られるって便利だね」
一方の真美は、水色地に虹のラインが斜めに入ったワンピースである。
副館長「ありがとうございます。はい、部屋からはあの滑り台で安全に飛び込めるようになっています。それでは見ててください」
パカッ シューーーーーーーー
そう言いながら副館長が窓の横にある穴から勢いよく滑り降りて行った。
亜美「うわわわー、筒の中をお姉さんが滑り降りてったー!」
ドポーン
そしてそのままプールへと入って行った。
副館長「亜美さーん、真美さーん、気持ちいいですよー」
真美「じゃあどっちから行く?」
亜美「んじゃ亜美から行くよー」
真美「了解っ!真美もすぐ行くからね」
亜美「□□さん行っきまーす!」
パカッ シューーーーーーーー
そう言いながら亜美も勢いよく滑り降りて行った。
亜美「うわあーー、これ面白いー!」
ザパーン
亜美も副館長に続いて飛び込んで行った。
亜美「真美ー!気ー持ちいいよー!早く来て来てー!」
真美「亜美ー!じゃあ真美も行くよっ!」
パカッ シューーーーーーーー
そう言いながら真美も勢いよく滑り降りて行った。
真美「わわわっ!凄い気持ちいいっ!」
ジャバーン
真美もプールの方へと勢いよく飛びこんでいった。
亜美「これ凄いねー真美」
真美「うん。ここまで遊べる施設なんて初めてだよ」
副館長「基本的に当リゾートでは、行く時と帰る時以外は水着で過ごしてもらうことがコンセプトになっております」
真美「普通だったらプールの前で着替えして、終わってまた着替えしてって大変だよ」
亜美「それが無いって、楽だよねー。それに貴重品はしっかりロックされた部屋に置いとけるし、そこも心配なくていいなー」
副館長「お客様には全ての心配ごとをせずに楽しんでいただきたいと思っております」
真美「海水浴とかだったら、グループで来ても誰か一人はそんな心配しなくちゃだもんね」
副館長「その心配が無い分、この腕輪の管理だけはしっかりとお客様にお願いしております」
亜美「そだねー。これ失くしたら部屋にも入れなくなっちゃうもん」
真美「この点だけはこれから来るみんなも気をつけてっ」
副館長「では、これからこのプールリゾートのご紹介をいたします…」
………
副館長「こちらが、今回世界最長と認定されましたウォータースライダーです」
真美「長ーーーい!全長は何mくらいだろ?お姉さん、どれくらいですか?」
副館長「***mになります。敷地が広く取れた分、長さも高さも大きくすることができたんです」
真美「うわあ凄い長いなあ…それじゃあ亜美に実演してもらうね。亜美ー!」
 
亜美「はーい!亜美だよー!」
真美『そっちから見るとどんな感じー?』
亜美「こっから見ると、すっごい高いのがよくわかるよー!」
真美『真美が手を振ってるの分かるー?』
亜美「何となく動いてるのが分かるくらいかなー!」
真美『ってことは、本当に高いんだね』
亜美「うん、じゃあこれから行くねー。このアトラクションは二人乗りだから、今日はこの待ってた人と一緒にこの浮き輪に乗って行くよー!」
真美『待ってるよー、亜美』
亜美「じゃあお願いしまーす……うわわわわ…ワーーーーーーーー!」
亜美の楽しそうな叫び声がその施設中にこだました。
………
そして時刻はもう夜。夜のイベントも紹介が終わり…
真美「この施設って朝のイベントもあるんですよね?」
副館長「はい。お泊まり頂いた方へのスペシャルサービスとして、朝のプールでも楽しいイベントをご用意しております」
亜美「それも楽しみだね、真美」
真美「うんうん。その紹介はまた後ほどだよ。でも今日一日楽しかったね、亜美」
亜美「そだねー、このリゾートは一日じゃ遊びきれないよー」
真美「それに朝のイベントもあるとなるとやっぱり泊まって楽しみたいよ」
亜美「明日の朝も楽しんじゃおねー」
真美「お姉さん、今日はありがとうございました。明日もお願いします」
亜美「よろしくお願いしまーす」
副館長「今日はおつかれさまでした。明日もよろしくお願いします、亜美さん、真美さん」
真美「それじゃあテレビの前のみなさん、いったんここでお別れだよ」
亜美「次は朝のイベントのとこでねー」
二人は笑顔で手を振った。
スタッフ「はいオッケー!今日の撮影はここまでー、みんなお疲れさまー!」
パチパチパチパチ
周りのスタッフから拍手が零れた。
スタッフ「おつかれさま、亜美さん、真美さん、それに副館長の□□さん」
亜美「面白くって、時間が過ぎるのあっという間だったよーディレクターさん」
真美「そうだね。こんなに広いだなんて思わなかったもん」
副館長「私なんかこんなに出て良かったのでしょうか…」
スタッフ「いいのよいいの、副館長の魅力で余計にお客さんが増えると思うわ」
副館長「ありがとうございます…とても恥ずかしくて…」
真美「お姉さん、そんな恥ずかしがることなんかないよ。とっても素敵だもん」
副館長「え?あ、ありがとう真美さん…」
「おつかれさま、亜美、真美。今日はありがとうございました、□□さん」
副館長「いえいえ、こちらこそ楽しかったです。二人とも本当に良い子さんですね」
「うちの子がご迷惑をお掛けしないかが撮影中ずっと気がかりでしたよ。でも力になれたようで良かったです」
副館長「フフフ…二人とも良い笑顔で、こっちもおかげで笑顔になれました」
真美「本当に今日はありがとね、お姉さん」
亜美「あー、楽しかったけどちょっち疲れたよー兄ちゃん」
「よし、じゃあここでケーキを貰ってから部屋で休もうな」
スタッフ「そうでしたね、二人のプロデューサーさん。それなら今からここに持ってきますので、待っててもらえますか?」
「ありがとうございます」
………
スタッフとケーキを食べ終えて…
スタッフ「それでは明日の朝の撮影もよろしくお願いします」
「はい、今日はおつかれさまでした」
亜美「明日の朝の撮影も楽しみだねー」
真美「うんっ、明日も頑張ろ亜美」
亜美「そだねー真美」
「じゃあ今日はこれで失礼します」
スタッフ「はい、ではまた明日…」
三人は宿泊する部屋へと向かって行った。
 
そしてその宿泊する部屋。その部屋にはプロデューサーと亜美と真美だけしかいない。
真美「ねえねえ兄ちゃん、何で兄ちゃんまで水着なの?」
「何でって、このリゾートは水着が原則だからだよ」
亜美「兄ちゃん、他のお客さん見てて鼻の下伸びてたよねー」
「う…見てたのか?亜美」
真美「そだよね。□□さんも凝視してた気がする」
「い、いや二人とも見てたら視界に入ってただけだって」
真美「ねえ兄ちゃん、どっちの水着姿が魅力的だった?」
「どっちのって…そんなの選べないって」
亜美「選べないのー?」
真美「こんな水着姿の女の子が二人も迫ってるんだよ」
「そ、そう言われたってな…」
亜美「兄ちゃんが選ばないなら…真美、例のやついくよー」
真美「うんっ。兄ちゃんをどっちがメロメロにするか勝負だね」
「えっ!?」
ぽふっ ぽふんっ ぎゅっ ぎゅうっ
亜美と真美はプロデューサーが座っているベッドの両側に座って、その腕に胸を押し当てた
「亜美っ!?真美っ!?」
亜美「どっちが兄ちゃんにとって魅力的ー?」
「どっちも…って答えはダメそうだな」
真美「ダメだよ。それは兄ちゃん逃げてるもん」
「…分かったよ…でも女の子がこういうことしちゃダメじゃないか」
真美「そんなこと…どうして兄ちゃんが言えるの?」
亜美「そーだよねー。みんなはるるんとか千早お姉ちゃんとかから聞いたんだよー」
「…え?」
真美「兄ちゃんがこういう遠くの仕事を誕生日に入れてる理由、聞いちゃったんだ」
亜美「でもね、兄ちゃんならいいなって思ってるんだー」
「う…そういうことなのか…」
亜美「兄ちゃん、亜美と真美って双子だけどちょっとずつ違うんだよん」
真美「今日は兄ちゃんに全て見せてあげるから…真美と亜美のこと…比べてみてよ」
「二人ともいいのか?」
亜美「うん。だって亜美も真美も、兄ちゃんの誕生日プレゼント楽しみにしてたんだー」
真美「そうだよ。真美と亜美は、今日兄ちゃんに全部あげるって決めてたんだ」
「亜美…真美…本当にいいんだな…?」
二人『うん…』
二人の声はまるで重なることを最初から決めていたかのように、重なり合っていた。
亜美「だから」
真美「兄ちゃん」
二人『今日は亜美(真美)のこと兄ちゃん色に染めて…』
チュッ チュッ
プロデューサーの頬へと唇を触れる亜美と真美。三人の鼓動がこれから一つに同調していく…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
亜美真美編はこうなりました。二人の場合はきっと積極的になるんじゃないかなと思います。
そうそう、この『三人だけ』は造語です。フランス語でdeux(2)の次なのでこれでいいのかなと。
Happy Birthday!! Ami FUTAMI & Mami FUTAMI.
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2011・05・18WED
飛神宮子
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