Swell the Sail(帆を膨らませる)

♪〜
亜美の携帯電話にメールの着信を告げる音が鳴り響いた。
亜美「あ、兄ちゃんからだ」
亜美はそのメールを見た瞬間、事務所へと一目散に駆け出していった…
………
そして事務所に入るなり…
亜美「誰かいるーっ?!」
律子「あら?どうしたの?亜美」
亜美「あー、律っちゃんいたんだ」
律子「その急ぎようは…来たのね?」
亜美「そうなんだけど…今回は確か律っちゃんも禁止なんだよね?」
律子「ええ。ところでどんなヒントだったの?」
亜美「それがね…」
(1)ツバメ
(2)11月
(3)蜂
亜美はヒントとなるメールを律子へと見せた。
律子「これは…ああ、これはこれで、あれはそれで、それがあれのことかしら。答えが分かれば簡単だけど…今回も一癖あるわねえ」
亜美「うーん、誰か今他にいない?」
律子「何人かそっちにいるでしょ?」
亜美「あ、ほんとだー。ちょっち行ってくるね」
律子「フフフ、もう自分が行く場所は予想できたわ…」
律子は不敵な笑みを浮かべていた。
 
そこは休憩用のソファ。そこに何人かが顔を突き合わせて考え込んでいた。
「この単語3つに当てはまる県って…何だろう?ボクにはさっぱりだよ」
貴音「わたくしも全く想像がききません」
亜美「えー、これじゃあ亜美どこにも行けなくなっちゃうよー」
千早「この11月って何かしら?普通は日付で書くはずだから、月だけ書くのはありえないわよね」
真と貴音、千早がそこにはいた。
亜美「ねえねえ律っちゃーん、何かヒントちょうだーい」
律子「ダーメ、まずはそのヒントだけで考えなさい」
亜美「ちぇー」
「律子ー、このツバメってさー」
律子「ノーコメント。ただ知っての通り東京のチームでも、やよいが行ったんだから新潟の燕市じゃないわよ」
貴音「蜂といえば…蜂蜜…しかし名産地などありましたでしょうか?」
千早「国内で名産地は…私も喉のために食べますがあまり聞きません」
「本当にこのツバメって何だろう?」
亜美「そういえば不倫とかで『若いツバメ』って聞くよねー」
貴音「それは関係ないと思われますが…」
「そうだよ。だってどこかって関係ないじゃんか亜美」
亜美「うーん、ちょっち律っちゃんのとこ行ってくるー」
 
律子の所に来た亜美。その律子はイヤホンで何やら聞いている。
亜美「あれ?律っちゃん、何聴いてんの?」
律子「雪歩と真美のラジオよ。そっちでもやってるわ」
亜美「律っちゃん、亜美も聴きたいよー」
律子「それなら今イヤホン外して聴こえるようにするわね」
カチャッ
パソコンにつないでいたイヤホンのジャックを外して音量を大きくした。
亜美「あー、本当だ。律っちゃんは真美の方のヒントはどう思ってる?真美の方も行き先は知ってるっしょ?」
律子「うーん、真美の方が簡単かしら。あ、2番目のヒントは亜美の1番目のヒントと同じ感じね。但し真美のほうはもう替わっちゃって無いわよ」
亜美「え?それって何?」
律子「それは教えられないわ。おそらくいずれ流れるから聴いてなさい」
 
「あ、雪歩と真美のラジオの時間だったんだ」
亜美「うん、これ聴きながら考えようよ」
「それで律子何か言ってなかった?」
亜美「あー、真美の2番目のヒントが亜美の1番目のヒントと同じ感じなんだって。でも真美の方はもう無いんだって」
千早「それでその言葉って何かしら?」
亜美「それは聞き逃したんだけど…」
雪歩『…聞き逃した方にもう1回ヒントの言葉です。1つ目は89、2つ目は青葉、3つ目は七夕ですぅ…』
貴音「青葉…ですね」
「青葉とツバメってことだよね。それで青葉はもう無いって…何だろう?」
千早「今はもう替わっちゃって無いってことは、今は別のものに替わったってことね」
亜美「青葉って何かの名前かな?」
「何か昔見たことある名前な気がするけど…何かの本でさ」
亜美「思い出してー、まこちん……」
 
考え始めて1時間と少し…
「あ、思い出した!乗り物だよ。子供の頃から男の子が好きなのってそういうのだし」
貴音「乗り物…名前が変わる…そうなると…列車でしょうか?」
亜美「それだー!あおばって何か電車とかの名前で無かったかな?」
貴音「そうなるとつばめはもしや…先日ラーメン探訪の時にお世話になった九州の新幹線のことでは…」
千早「それですね…となると、九州でも走っているのは…」
律子「あー、そこまで出たなら合ってるから私が言うわー。福岡と佐賀と熊本と鹿児島よー」
亜美「この4つに絞られたね。あとはこの11月ってきっと何かがある月だよね」
貴音「11月に九州で行われるものということですね…」
亜美「うーん、またちょっち律っちゃんとこ行ってくるー」
律子は机の鍵を開けていた。そこに…
亜美「あれ?律っちゃーん、鍵を開けたってことはもしかして真美のはさっきのが正解だったの?」
亜美がやってきた。
律子「フフフ、そういうことよ。早く亜美も正解を当てなさい」
亜美「うー、あと1つこれがっていうのが無いんだよー」
律子「それじゃあ私からヒントね。みんな持っている携帯電話出してみなさい。誰か一人くらいはそこに関係するのを使ってるかもしれないわ」
亜美「えっ…?じゃあちょっとみんなの携帯持ってくるね」
そして自分のも含めて4人分持ってきた亜美。
亜美「ねえねえ律っちゃん、こん中にヒントになるのあるの?」
律子「どれどれ…あーこれとこれね。それが最後のヒントよ」
律子は2つの携帯電話を選んだ。
亜美「これ?これって…どこがヒントなんだろう?」
律子「あとは考えなさい。他のと違いがあるわよ」
 
亜美「この2つの携帯がヒントだって」
千早「これは…その2つは○フト○ンクの携帯電話ね」
「え?九州に関係…あーっ!」
亜美「まこちんどったの?」
「福岡のプロ野球チームってことかー!」
律子「はい、ご名答ー!」
と、突然律子の方から声が掛かった。
亜美「何かヒント2つ無駄になっちったね」
千早「私たちには難しかったから…仕方ないわ」
律子「ちょっと待ってね」
PiPiPi♪…
律子はとある場所へと電話をかけ始めた。
Trrrrrr…Trrrrrr…
律子「もしもし、765プロダクション事務の秋月です……はい……では明日品川駅新幹線改札口に8時でお願いします」
カチャンッ
律子は受話器を戻した。
律子「明日8時前に品川駅に着くくらいで行くから、ちゃんと準備しておくのよ」
亜美「持ち物はあの紙に書いてあったのでいいんだよね?」
律子「ええ。楽しんできて、亜美」
………
翌日の品川駅改札口…
律子「上田さんですね、私は765プロプロデューサー兼事務の秋月です」
鈴帆「ども、ウチは…じゃなくて私は844プロダクションの上田鈴帆!」
そこには茶髪でショートカットが少し癖っ毛の女の子が一人、亜美の到着を待っていた。
律子「今日はうちの双海をよろしくお願いします」
亜美「よろしくお願いしまーす、上田さん」
鈴帆「そんな堅苦しくなくていいばい、双海しゃん」
亜美「でも亜美の方が年下っしょ?」
鈴帆「え?双海しゃん何歳とね?」
亜美「亜美は13歳だよん」
鈴帆「そか。でもウチ…でもういいっちゃね。ウチの方がこの世界まだ短いと?…ウチにとっては先輩けん」
亜美「それなら、亜美のことは亜美でいいよん」
鈴帆「それでよかか、亜美しゃん。それならウチのことは鈴帆でええけん」
亜美「うんっ、すずぴょんっ!」
鈴帆「す、すずぴょん!?」
亜美「あ…亜美、年上の人でもあだ名かお姉ちゃんって呼ぶから…ゆきぴょんと最後がおなじだったから…ね」
鈴帆「ウチは…亜美しゃんがそれでよかなら、それでよかとよ」
律子「それでは上田さん、2日間よろしくお願いします。亜美、行ってらっしゃい」
亜美「行ってくるよー、律っちゃんっ!」
 
新幹線の車内、二人は隣同士に座っていた。
鈴帆「やーっぱりのぞみは速かけんねー」
亜美「そういえばすずぴょんの喋ってるのって方言?」
鈴帆「あー、やっぱり言われる思ってたけんね。ウチの言葉気になると?」
亜美「ううん、亜美のとこにも方言使うアイドルがいるから気にならないよ」
鈴帆「それなら良かったばい」
亜美「そういえばすずぴょんって、遊園地で何かショーやってなかった?」
鈴帆「もしかして、○○遊園地のイベント見に来てくれたと?」
亜美「何か面白いイベントがあるってパパが知り合いに券もらったから行ったんだー」
鈴帆「どうしてウチを憶えててくれたんと?」
亜美「着ぐるみ着てたっしょ?それに言葉にも特徴があったからねー」
鈴帆「ウチ、着ぐるみ大好きけん。あの配役もウチの希望だったばい」
亜美「今回の番組でも着るの?」
鈴帆「もちろんばい!亜美しゃんの分もあるけんよ?」
亜美「んー、ちょっとだったら亜美も着てもいいよん」
鈴帆「それはよか話ばい!わっはっは!」
鈴帆の満面の笑顔に亜美も思わず笑顔になっていたという…
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あとがき
飛神宮子です。
2013年誕生日SSシリーズ、亜美は福岡になりました。
一緒に行くことになったアイドルは、福岡出身といえば九州弁バリバリの上田鈴帆。
ヒントですが(1)は上の文章のまま。(2)は大相撲の11月場所といえばここですね。そして(3)はアビスパ福岡の由来とマスコットです。
HAPPY BIRTHDAY!! Ami FUTAMI.
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2013・05・22WED
飛神宮子
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