Many Sure Fruiter Pieces(幾片もの確かな実)

ここはある日の…
Ding dong♪
絵理「お客さん…?」
そこに留守番をしていた少女が一人。
絵理「はーい…」
小鳥『765プロの音無です、例の物をお届けにあがりました』
絵理「音無さん…?あっ…」
ガチャガチャっ ガチャっ
その少女は事務所の鍵を開けて招き入れた。
絵理「どうぞ」
小鳥「こんにちは…あ、絵理ちゃんね」
絵理「音無さん…お久しぶりです」
小鳥「あら?事務所の方は?」
絵理「今日はみんな出払って…わたしが留守番してて」
小鳥「そうだったの…じゃあ私が来ることについては聞いて…ないかしら?」
絵理「それは書いてあったから」
そう言いながら絵理はホワイトボードを指した。
小鳥「それなら良かったわ。それでこれ、愛ちゃんにお願いね」
絵理「ありがとうございます…いつもすみません」
小鳥「いいのよ、本当は宅配便でも良かったけどすぐに届けたかったから」
絵理「今回は…誰のですか?」
小鳥「今回は千早ちゃんと真美ちゃん、あとは春香ちゃんと響ちゃんのと…貴音ちゃんとあずささんのね」
絵理「それなら早速読んでみる…?」
小鳥「どれからがいいかしら?」
絵理「千早さんと真美ちゃんのからにしようかな…」
小鳥「はい、これね」
絵理「何だか表紙の千早さん、恥ずかしそう」
小鳥が届けに来た物、それは765プロのアイドルの新作写真集である。
小鳥「そういえばだいぶ冷やかされてたって言ってたわ」
絵理「でも…この笑顔は素敵」
表紙から順にパラパラとページをめくっていく。
絵理「このページの真美ちゃん…ちょっと雰囲気が違う」
小鳥「カメラマンさんにセクシーにしてって言われてやったらしいわ」
絵理「ちょっとでも…男の子が喜びそう…」
小鳥「フフフ、それはアイドルとしては覚悟しないといけないわね」
絵理「わたしもいずれこういう写真が…撮られるのかな…」
小鳥「絵理ちゃんはまだ?」
絵理「わたしはまだ…身体も自信無いから…」
小鳥「そんなことないわよ。薄くて綺麗な色の肌をしてるわ」
絵理「えっ…」
小鳥「だからもっと自分に自信を持って」
絵理「…はい…」
小鳥「でもこれは真美ちゃん…純情な男の子くらいなら墜ちちゃうわね」
絵理「次のページの千早さんも…」
小鳥「プロデューサーさん、これを許すって…良かったのかしら」
絵理「プロデューサーさん、男の人だから…自分の好きな感じで…」
小鳥「そうね…あの人も男だもの」
絵理「わたしもエッチな感じで…見られてるのかな」
小鳥「でもそう思ってくれてる人は、絵理ちゃんのそういう魅力に気が付いている人ってことよ」
絵理「…はい」
小鳥「じゃあ次は…春香ちゃんと響ちゃんのね」
小鳥は2冊目を手渡した。
絵理「これは…沖縄ですか?」
小鳥「そうよ、先月に撮りに行ったヤツね」
絵理「海が綺麗…私もちょっと行ってみたい…」
小鳥「もう今の時期だと暑くなってるから、もう少し後の方がいいかもしれないわね」
絵理「そうですか…これって全部水着…」
小鳥「何着か持って行ったの、確か全部水着だったかしら」
絵理「これだけのページ数なのに全部水着…」
小鳥「プロデューサーさんも気合が入ってたわね」
絵理「プロデューサーさんって…そんなにエッチなんですか?」
小鳥「…ええ、いつも大変よ」
絵理「…フフ、ごちそうさまです?」
小鳥「でもさすが気合入ってるだけ、凄いでしょ?」
絵理「はい…元気さの中に可愛さと大人っぽさと…それとやっぱり…」
小鳥「長くアイドルを見てると、やっぱりそういうところを引き出すのが上手くなってるわ」
絵理「このページは一見普通だけど…何だか自然で…」
小鳥「もうアイドルとの付き合いも長いものね」
絵理「わたしも頑張って続けていけば…」
小鳥「今は頑張って、いずれはそういう関係を築いていけるわ」
絵理「その次は…あ、外れてる…」
小鳥「え?そんなページが…これ、入れちゃったのね…」
絵理「サービスページ…?」
小鳥「よく二人がこれOKしたわね」
絵理「でも春香さんも響さんもらしさが出てる」
小鳥「確かに普段事務所でもよく見る光景だけど…これもビーチの魔法かしら」
絵理「フフ、そうですね…」
小鳥「写真だけじゃなくて今回確か…あ、あったわ」
小鳥は紙袋から何やら取り出した。
絵理「DVD?」
小鳥「今回の写真集のDVD版よ。確か全場面が収録されているはずだから…」
絵理「この場面も収録されている…?」
小鳥「ちょっと見てみましょ…ってどうやって再生しようかしら…」
絵理「わたしのパソコンがここにあるから…」
小鳥「DVDの再生は大丈夫?」
絵理「はい…」
小鳥「じゃあそれで一緒に見ましょう…」
 
DVDを見る二人…
小鳥「これ発売して良かったのかしら…」
絵理「ちょっと微妙に見えてた…?」
小鳥「絵理ちゃんもそう思う?」
絵理「少し肌色が多く見えてて…」
小鳥「発売もうすぐだから、さすがに内容は変わらないわ…」
絵理「でも男の子ためのサービスカット?」
小鳥「そういうことにしないと、二人もきっとそれで割り切ったのかしら」
絵理「アイドルって大変…」
小鳥「もう、絵理ちゃんもアイドルでしょう?」
絵理「…わたしにもこういう仕事…来るのかな」
小鳥「きっと近いうちにちゃんと来るわよ。絵理ちゃんは自分で思っている以上に魅力的なんだから」
こくんっ
絵理は一つ、ただ自信を持って頷いたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
小鳥と絵理、この組み合わせは2度目になりますね。
今度は前とは逆に876プロの事務所の方に小鳥さん。
やっぱり絵理って自分にそこまで自信が無い女の子かなって思います。
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2012・07・31TUE
飛神宮子
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