ここはとある日の765プロダクション… |
やよい | 「えっ…対談ですか?」 |
P | 「どうだ、やってみるか?」 |
やよい | 「で、でも私なんか…自信ないかも」 |
P | 「ちなみに相手なんだが…誰だと思う?」 |
やよい | 「プロデューサーがそう言うってことは、私も知ってる人なんですね」 |
P | 「ああ。876プロの子だぞ」 |
やよい | 「んー…プロデューサーは私で大丈夫だと思うんですか?」 |
P | 「自信を持てよ、先輩なんだからさ」 |
やよい | 「うー、そうですねっ」 |
P | 「お、やる気になったな」 |
やよい | 「はいっ。あの、相手って誰かなって?」 |
P | 「水谷…絵理だな。分かるよな?あの高校生の子だけど」 |
やよい | 「…ちょっと苦手かも…」 |
P | 「ん?どうしてだ?」 |
やよい | 「不思議な感じがしてて、物静かだから…かな?」 |
P | 「確かにそういうところはあるかもなあ」 |
やよい | 「でもでも、だからちょっとやってみたいかもです」 |
P | 「やよいならそう言ってくれると思ったよ」 |
やよい | 「それで、その対談っていつですか?」 |
P | 「3月の…やよいが春休み入ってからくらいだな。その時期なら大丈夫だろ?」 |
やよい | 「はい。3連休の時以外なら大丈夫なはずです」 |
P | 「平日だからそれについては問題無いな。あとは…話題とかも考えないとだな」 |
やよい | 「そうですね…どんなことを話したらいいんですか?」 |
P | 「一応いくつかお題の例はもらっているけどさ、見てみる?」 |
やよい | 「はいっ…うーん、難しい言葉ばっかりですー」 |
P | 「一つ一つ説明してあげるから、ちょっともう一度貸して」 |
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P | 「どうだ?分かっただろ?」 |
やよい | 「プロデューサー、この番組の司会って誰でしたっけ?実は番組の名前も聞いたこと無いから…」 |
P | 「え?誰って…最初からいないぞ」 |
やよい | 「本当ですか!?」 |
P | 「ああ。俺は何回か見たことがあるけど、そのままの姿を撮りたいという番組だからな」 |
やよい | 「うー…大丈夫かなあ…」 |
P | 「ま、やってみるに越したことは無いだろう」 |
やよい | 「…そうですね、頑張ってみますプロデューサー」 |
……… |
そして当日… |
やよい | 「うあー、緊張してきましたあ」 |
P | 「そんなことはないだろ?ここはやよいにとってはホームグラウンドだろ?」 |
そう、収録場所はやよいの家の縁側となったのだ。 |
やよい | 「でも…長い時間って今まで無かったですから」 |
P | 「そうか?今まで収録とかあったじゃないか」 |
やよい | 「でもでもそれは殆ど律子さんと一緒だったから、私だけって無かったかなあって」 |
P | 「そうだったか…だけどやよいなら大丈夫だぞ」 |
やよい | 「うー…」 |
P | 「そんなに心配なのか?」 |
やよい | 「はい…だからちょっと心細いです」 |
P | 「しょうがないな…やよい!」 |
やよい | 「プ、プロデューサー!?」 |
チュッ |
プロデューサーはやよいの唇へと一つ口付けをした。 |
P | 「これで頑張ってこい」 |
やよい | 「…はいっ!」 |
……… |
絵理 | 「よろしくお願いします、やよいさん…」 |
やよい | 「こちらこそよろしくお願いしまーす、絵理さん」 |
絵理 | 「ここって…やよいさんの家ですよね?」 |
やよい | 「はいっ。何だか絵理さんを招待して良かったのかなって」 |
絵理 | 「こういう家…初めて?でも何だか素敵…」 |
やよい | 「そう言ってもらえて良かったです」 |
絵理 | 「温かくて…こういうのって少し羨ましいかな…」 |
やよい | 「でもでもうち、貧乏ですから…」 |
絵理 | 「そんな…」 |
やよい | 「兄弟が多くて大変だけど、毎日がとても楽しいです」 |
絵理 | 「家族が多いって…いいな…」 |
やよい | 「うーん、でもちょっと騒がしいですけどね」 |
絵理 | 「フフフ…やよいさんって何だかお姉さんって感じ…」 |
やよい | 「そ、そうですか?」 |
ぱくっ |
照れ隠しにお菓子として用意されていた牡丹餅を一口で食べるやよい。 |
やよい | 「んっ!んんっ!」 |
急いで食べた所為か喉に詰まらせてしまったようだ。 |
絵理 | 「や、やよいさん大丈夫ですか?!お、お茶です」 |
と、お茶を手渡す絵理。
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やよい | 「ごくっ…ごくっ…ごくっ…ぷはあっ、助かりましたあ」 |
絵理 | 「やよいさんったら…フフっ」 |
やよい | 「ゴメンなさい絵理さん…エヘヘっ」 |
絵理 | 「えっと…それで、やよいさんがアイドルになった切欠って…お家のことでですか?」 |
やよい | 「それもありますけど、元気だけが取り柄だった自分を、折角だからこういう世界で伸ばしてみようって思ったんです」 |
絵理 | 「凄い…ですね。わたしなんか誘われてもそんなの無理…かな?」 |
やよい | 「そんなことないです。今の絵理さんは凄く輝いてます」 |
絵理 | 「えっ…そう言われると恥ずかしい?」 |
やよい | 「だって絵理さんも私と同じ立派なアイドルじゃないですか」 |
絵理 | 「…はい。トップアイドルのやよいさんにそう言ってもらえるなんて…」 |
やよい | 「私なんかまだまだです。律子さんに引っ張ってもらってるばっかりですから」 |
絵理 | 「でも、やよいさんも律子さんに引けを取らない?アイドルです。わたしにはそう思えます」 |
やよい | 「律子さんって私にとっては大事なお姉ちゃんみたいな存在なんです」 |
絵理 | 「そうなんですか…」 |
やよい | 「じゃあ絵理さんはどうしてこの世界に入ったんですか?」 |
絵理 | 「引きこもりだった自分を…変えたかった?から…」 |
やよい | 「えっ…!?」 |
絵理 | 「わたし、インターネットの中でしか自分のこと出せなかったんです」 |
やよい | 「インターネットの中?」 |
絵理 | 「はい…でも、そんな閉じられた中でだけやっていてもダメだって…折角こういう機会が貰えたから…」 |
やよい | 「私にはよく分からない世界の話ですけど、大変だったっていうのは何となく分かる気がします」 |
絵理 | 「なのでこの世界に誘っていただいた方々には感謝しています」 |
やよい | 「私もです。今こんなことをしているなんて、思ってもみませんでしたから」 |
絵理 | 「ところでやよいさんはアイドルをやっていて…どんな大変なことがありました?」 |
やよい | 「うーん、色々あったけど殆ど忘れちゃったって感じです」 |
絵理 | 「どうして…?」 |
やよい | 「みんな最後は楽しい想い出に変わっちゃったから…かな?あ、でもレッスンは辛かったですけどね」 |
絵理 | 「フフフ、そうですよね」 |
不思議なそれでいてまったりとした二人の対談。その回の視聴率が良かったというのはまた別の話である… |