Summerweight Eating(夏向きの食べ物)

梅雨も明け、暑さが本番になってきた頃のこと…
小鳥「プロデューサーさん」
「何ですか?小鳥さん」
小鳥「今日って何の日か知ってます?」
「今日って…あずささんの誕生日ですよね?」
小鳥「はい。あずささんから昨日伝言を預かってますよ」
「え?何ですか?」
小鳥「『明日の約束、楽しみにしてますから』ですって」
「…あ、そうか。誕生日に食事しようって約束してたんだ」
小鳥「へえ…あずささんと…」
何やら、じとーっとプロデューサーを見ている小鳥。
「別に疾(やま)しいことなんてありませんってば」
小鳥「それなら私も一緒でいいですね?」
「…かまいませんよ、それでその本人は今どこなんでしょう?」
小鳥「そういえば今日はまだ来てな…」
そこに…
あずさ「おはようございます〜」
「おはようございます、あずささん」
小鳥「あずささん、おはようございます」
あずさ「プロデューサーさん、音無さんに昨日伝言して行ったんですが」
「さっき聞きました。約束って昼御飯でもいいんですよね?」
あずさ「はい、夕方には事務所でパーティーですからね〜」
「確かにそういえば…」
あずさ「だからお昼前に間に合うように来ました」
小鳥「ちなみに家を出たのは何時だったかしら?」
あずさ「ええと確か…8時半だったと思います」
小鳥「今が11時だから、2時間半…あずささんの家ってそんな遠かったかしら?」
あずさ「あの〜、山手線を一周しちゃいました」
「まあ、それなら仕方ないですけど…」
小鳥「プロデューサーさん、これからはあずささんにGPSでも仕込んでおきます?」
「そうした方がいいかもしれませんね…本当に」
あずさ「それで今日は何を食べさせてもらえるんでしょうか?」
「そうですね…」
小鳥「プロデューサーさん、今日は何の日か知ってます?」
「え?だからあずささんの誕生日ですよね?」
小鳥「それだけじゃないんです、実は…」
小鳥はプロデューサーへとカレンダーを見せた。
「…3人分か…」
小鳥「大丈夫です。私、良い店知ってますから」
あずさ「音無さん、何のことですか?」
小鳥「行けば分かります、期待しててください」
あずさ「良く分からないけど、分かりました」
………
目的の店の行列にて…
あずさ「んー、良い匂いです」
小鳥「この炭火に落ちたタレの焦げた香り、良い薫りね」
「でも、やっぱり今日は混んでますね」
小鳥「それはそうですよ、今日は土用の丑の日ですから」
そう、3人が来ているのは鰻屋さんだ。
あずさ「ああ、そういうことだったんですね」
「本当にこの店なら大丈夫なんですね?小鳥さん」
小鳥「ここは丼だけですから、大丈夫。お姉さんを信頼してください」
「分かりました。うーん、これだとあとどれくらいですかね?」
あずさ「あと5分くらいじゃないかしら〜?」
「さすがにこの匂いを嗅がされると、お腹が空いてきますね」
あずさ「はい〜」
小鳥「ここは薫りだけじゃなくて、本当に味も絶品なの」
「そこまで小鳥さんに言われると、期待がどんどん膨らんで来ましたよ」
あずさ「私もです、早く食べたいわ〜」
小鳥「プロデューサーさん、よだれ出てる」
「あ、本当だ」
あずさ「フフフ…プロデューサーさん、子供みたいだわ〜」
「何だかそう言われると恥ずかしいですって」
小鳥「ほら、あと少しですからきちんと並びましょ」
 
その店内にて…
店員『うな丼3つ、お待ち!』
3人の前へとうな丼が置かれた。
「それでは…」
3人「「「いただきまーす!」」」
めいめいにうな丼を一口食べる三人。
「んぐっ…これは柔らかくて美味い…」
あずさ「んっ…この味、とても美味しいわ〜…」
小鳥「んくっ…この薫り、やっぱり炭火は違うわね」
「本当にこの値段でこの美味しさですか?」
小鳥「はい、私も前に来た時にびっくりしたわ」
あずさ「これだけ美味しいもの、本当に奢ってもらって良かったのかしら?」
「いいんですって、約束なんですから」
小鳥「そう言えば、どうしてこんな約束になったんです?」
「あー、えっと…この前の番組のとあるコーナーを、クリアできるかで賭けをしたんです」
あずさ「それで、私が無事にクリアしたんですー」
小鳥「なるほど…そういうことね」
あずさ「おかげでこんな美味しい物を食べることができました」
「まさか今日が土用の丑の日だったなんて…」
小鳥「プロデューサーさんには飛んだ出費になっちゃったわね」
「そうですよ小鳥さん。でも今は体力的にも厳しかったし、ちょうど良かったかも」
あずさ「この時期は確かに大変ですから〜」
「よし、うな丼パワーで今月も乗り切るぞっと」
 
そして店を出た3人。
「ふー、でも美味しかったなあ」
あずさ「本当に今日はありがとうございました〜」
小鳥「プロデューサーさん、ちょっといいですか?」
「はい?何ですか?小鳥さん」
小鳥「明日は完全オフですよね?」
「そうですけど…」
小鳥「それなら今日の夜、飲みません?まだ紹介したことがない店があるんですけど…」
「うーん…そうですね、行きましょう。でも、割り勘ですよ」
小鳥「ボーナスも出ましたし、そうしましょうか」
あずさ「プロデューサーさんと音無さん、フフフ…本当に仲が良いですね〜」
事務所への帰り道、あずさに大人な冷やかしを受け続けていた2人だった…
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あとがき
飛神宮子です。
誕生日SSというわけではありませんが、土用の丑の日と重なったので何となくです。
自然と方向性ができて、自然に書けたという感じです。
と言うか…まだこっちは梅雨明けしてませんけどね(苦笑)
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2009・07・19SUN
飛神宮子
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