ここはある日のライブハウス… |
響 | 「えーっ!?今日の対バンの人がまだ来てないって本当か!?」 |
そのライブハウスの開演2時間前の響の楽屋である。 |
P | 「そうらしい。ライブハウスの人とか事務所の人が電話掛けてるんだけど連絡が付かないって話だ」 |
響 | 「どうするんだよ、自分一人でやらなくちゃなのか?」 |
P | 「いや、ちょっと連絡待ちなんだけどな、それがダメな…」 |
♪〜 |
そんな中、プロデューサーの電話が鳴る。 |
P | 「はいもしもし」 |
まなみ | 『………』 |
P | 「あ、はい。大丈夫ですか?それでそちらのどなたが…」 |
まなみ | 『………』 |
P | 「曲は…はい、分かりました。それならある程度はこちらで用意できますので…はい」 |
まなみ | 『………』 |
P | 「衣装は持ってきていただけますか、はい…15分ですね」 |
まなみ | 『………』 |
P | 「とりあえず来てもらって…はい、では開演までに連絡付かなかったら出演お願いします」 |
Pi♪ |
P | 「よし、とりあえずは何とかなるぞ」 |
響 | 「本当か、プロデューサー」 |
P | 「連絡付かないとって聞いたから、とりあえず876プロに応援頼んだんだ」 |
響 | 「それで誰が来るんだ?」 |
P | 「向こうも空いていたのが水谷さんだけだったらしいぞ」 |
響 | 「エリーゼか…大丈夫か?そっちの曲ってうちにストックあったか?」 |
P | 「仕方ないからうちの曲メインでやってもらうことになってる」 |
響 | 「大丈夫なのか?」 |
P | 「まあ向こうの曲も多少のストックは手元にあるから、来たらそれも含めて決めてもらうことにした」 |
響 | 「分かったぞ。MCは相手が誰でもなんくるないさー」 |
P | 「スマンな、こういうトラブルに巻き込んじゃってさ」 |
響 | 「大丈夫大丈夫さ、こういうライブハウスは慣れっこだから」 |
P | 「お、そうなのか。じゃあお手並み拝見させてもらおうかな」 |
響 | 「フフフ、自分の素晴らしい進行に驚くがいいさ」 |
|
20分後… |
コンコン |
響の楽屋をノックする音。 |
P | 「はーい」 |
まなみ | 「○○さん、こちらですか?」 |
P | 「岡本さんですか?」 |
まなみ | 「はい、うちの水谷をお連れしました」 |
P | 「あ、鍵は開いているので入ってください」 |
ガチャっ |
女性に続いて一人の少女が入ってきた。 |
まなみ | 「こんにちは、○○さん」 |
P | 「岡本さん、今日は本当に急なお願いですみません」 |
まなみ | 「○○さんのたってのお願いでしたし、こちらとしてもうちの子がアピールできる機会が増えますから」 |
P | 「ありがとうございます」 |
響 | 「おお、エリーゼ久し振りだなー」 |
絵理 | 「響さんお久し振りです」 |
響 | 「今日は対バンの人が…もう無理だろうなあ…だから頼むぞ」 |
絵理 | 「よろしくお願いします…」 |
響 | 「プロデューサー、こっちはこっちで相談してるから、そっちはそっちで話し合ってくれさ」 |
P | 「了解、ちょっと頼んだぞ」 |
まなみ | 「………」 |
P | 「………」 |
響 | 「うーん、あっちがそっちのソファ使っちゃったから、そっちの椅子に行こっか」 |
絵理 | 「はい…」 |
ソファで話し合いを始めたプロデューサー達をよそに、響と絵理はメイク用椅子の方に座った。 |
響 | 「でも今回はエリーゼも災難だったなー」 |
絵理 | 「事務所には衣装合わせでいたけど…まなみさんに急に言われて…」 |
響 | 「そういえばどうしてうちの事務所じゃなくてエリーゼの事務所だったんだろ?」 |
絵理 | 「よく分からないけど、そっちのプロデューサーがいないと場所が分からないから?」 |
響 | 「あー、そうだった。今日に限って律子もピヨ子も出てたんだっけ…」 |
絵理 | 「ピヨ子…?」 |
響 | 「ああ、小鳥のことだぞ」 |
絵理 | 「小鳥…音無さん…?」 |
響 | 「ん?知ってるのか?」 |
絵理 | 「前に少しお世話になったから?」 |
響 | 「なるほどなー」 |
絵理 | 「それで今日は…」 |
響 | 「ああ、そうだな。プロデューサー、エリーゼは自分の前にやるんだよなー?」 |
P | 「え?あ、対バンの人と同じ順番だからなー。曲の数は今決めてるぞー」 |
響 | 「了解ー!エリーゼは自分の前にやってもらうことになってるさ」 |
絵理 | 「響さんの前…わたしでいい…?」 |
響 | 「エリーゼなら充分すぎるくらい充分さ」 |
絵理 | 「そう言われると…照れる…」 |
響 | 「自分がまず紹介してから、出てもらって何曲か歌ってもらう形になるかな」 |
絵理 | 「はい…」 |
響 | 「それで歌い終わったら、自分と一緒に軽くトークしてから捌けてもらうことになるぞ」 |
絵理 | 「どんなことをトークする…?」 |
響 | 「うーん、どうしようかなー…」 |
絵理 | 「わたしのこと…響さんはあまり知らない…?」 |
響 | 「そうだよなあ…自分そんなに876プロと関わりは持ってないしなー」 |
絵理 | 「それなら近況くらい…?」 |
響 | 「それが一番だなー。ま、アドリブになるかもしれないけど覚悟しといてほしいさ」 |
絵理 | 「ん…」 |
響 | 「あ、そうだ。自分のラスト前にもう一回出てきてほしいな」 |
絵理 | 「もう一回…?」 |
響 | 「締めはやっぱり二人でやりたいしさ。○○○は歌えるか?」 |
絵理 | 「それなら…はい」 |
響 | 「そういえばエリーゼの歌をこうして聴くのは初めてだなー」 |
絵理 | 「そうなる…?ちょっと緊張する…」 |
響 | 「そんなに緊張しなくてもいいさ。人数だって200人より少ないくらいだぞ」 |
絵理 | 「人前に出るのはそんなに得意じゃないから…」 |
響 | 「エリーゼはもっと自分に自信を持ったほうがいいぞ」 |
絵理 | 「…でも、昔からだから…」 |
響 | 「ま、それは人それぞれだもんなあ」 |
絵理 | 「今日は響さんの全てを勉強したい…」 |
響 | 「自分ので勉強になるなら存分に見てて」 |
絵理 | 「はい…」 |
P | 「あ、二人ともとりあえず決まったこと話したいんだけどいいか?」 |
響・絵理 | 「いいぞー!」 「はい…」 |
多少音響のトラブルはあったものの、大きなトラブルは無くライブは無事に終了して… |
響 | 「エリーゼ!今日は最高の歌声をサンキューさ!」 |
絵理 | 「響さん、今日は凄く勉強になりました…」 |
エンドトークにて、ステージでガッチリと抱きしめあう二人の姿があったという… |