ここは5月始めの… |
伊織 | 「はーい、みんなのアイドル伊織ちゃんよ♪」 |
伊織は三○デパートを背景にカメラに収まっている。 |
伊織 | 「プロデューサー、ちゃんと映ってるわよね?」 |
P | 「撮れてるぞ、伊織」 |
伊織 | 「今日はやっぱり混んでるわね…連休だとはいえどこから溢れ出てくるのかしら」 |
P | 「そんなこと言ったって、誕生日がゴールデンウィーク中なんだからさ」 |
伊織 | 「分かってるわよ。今日は私の誕生日なの、画面の向こうのみんなはちゃんと祝ってくれたわよね?」 |
画面に向かってウィンクする伊織。 |
伊織 | 「さて、今日・明日と旅行なんだけれども…プロデューサー、相方はどこ行ったの?」 |
P | 「え?あれ?あ…あんなところに居た」 |
プロデューサーが反対側のライオン像に頭を載せて器用に寝ている少女を見つけた。 |
美希 | 「むにゃむにゃむにゃ…もう五月蝿いのぉ…」 |
伊織 | 「ちょ、ちょっと…プロデューサー、とっ捕まえてきなさい」 |
P | 「伊織がそっちに行けばいいんじゃないか?その映像も撮っておくぞ」 |
伊織 | 「もう…面倒ね」 |
ツカツカツカツカツカ |
美希の寝ているライオン像に向けて歩いていく伊織。 |
ゆさゆさゆさゆさ |
伊織 | 「ほら美希、起きなさい!もう撮影始まってるのよ!」 |
美希 | 「え?むにゃ…んーっ!もー、折角寝てたのに…」 |
伊織 | 「寝てる場合じゃないでしょ?どうしてこんな所で寝てられるのよ!」 |
美希 | 「だって、待ち時間が長かったんだもん…」 |
伊織 | 「はい、私と一緒に旅に付き合ってくれるのは…」 |
美希 | 「んー…美味しそうな…おにぎりなの…」 |
伊織 | 「ほら、ちゃんと自己紹介しなさい!」 |
美希 | 「ん、ミキは星井美希なの」 |
伊織 | 「もう、どうして私は美希となのよプロデューサー」 |
P | 「そんなこと言ったってな、希望のトップ3に書いたのは伊織だろ?」 |
伊織 | 「そうだけど…よりにもよって選ばれるなんて…」 |
P | 「何だ?別の人選べばよかったじゃないか」 |
伊織 | 「う…」 |
P | 「さて、もうこの話はこれでお終いな」 |
伊織 | 「分かったわよ。私たちはこの銀座や新橋、汐留やお台場を巡ることになってるわ」 |
美希 | 「プロデューサーさん、まずはどこに行くの?」 |
P | 「ノープラン。この辺はむしろ伊織の牙城じゃないか?」 |
伊織 | 「え?急にそんなこと言われても困るわよ」 |
P | 「でも知っている店はあるんじゃないか?」 |
伊織 | 「少しはまあ…あるけど」 |
美希 | 「デコちゃんについていけば大丈夫なの」 |
伊織 | 「だからデコちゃん言わないでって言ってるでしょ!」 |
P | 「ホテルはお台場だから。あと予算はこれくらいな」 |
プロデューサーはカメラからは見えないように手で数字を示した。 |
伊織 | 「え…そんなに出てるの?」 |
P | 「各人行く場所に関わらずに基本的に同じ金額出てるんだ。伊織は移動費が無い分だけ多めに取れたんだ」 |
美希 | 「それなら多少高いところでも大丈夫なの」 |
伊織 | 「そうね…それならいい店知ってるわ。行きましょ」 |
P | 「じゃあ案内してくれ。でも予算は明日まで含むからな、それは考えてな」 |
伊織 | 「分かったわ」 |
美希 | 「デコちゃん、案内よろしくなの!」 |
伊織 | 「だからそのデコちゃん言うのやめて!」 |
P | 「やれやれ…」 |
……… |
ここは夜の帳が落ち始めたお台場のホテル… |
伊織 | 「綺麗な夜景ね…」 |
美希 | 「んー、プロデューサーさんもいいとこ選んだの」 |
二人は窓際側のベッドに隣り合って座っている。 |
伊織 | 「こう見ると…本当に東京は眠らない街ね…光が溢れてるわ…」 |
美希 | 「何か雪歩みたいな表現してるの、デコちゃん」 |
伊織 | 「だから何回言わせるのよ…もう…」 |
美希 | 「だってデコちゃんは…」 |
チュッ |
美希は伊織のとある場所に口付けをした。 |
伊織 | 「んっ…」 |
美希 | 「デコちゃんでしょ?」 |
伊織 | 「もう…そういうことされたら…」 |
チュッ |
伊織も美希のとある場所に口付けをした。 |
美希 | 「ひゃっ…」 |
伊織 | 「どうしてかしら…悪い気がしないわ…」 |
美希 | 「伊織…」 |
伊織 | 「やっと、私の名前を言ってくれたわね…」 |
美希 | 「何だろ、何だか伊織が凄く愛おしくなってきたの…」 |
伊織 | 「美希…」 |
美希 | 「だって伊織って…凄く可愛いもん…」 |
伊織 | 「そう…?」 |
美希 | 「うん。ミキには無い物…伊織は凄くいっぱい持ってるの」 |
伊織 | 「ありがと…そう言ってくれると何だか嬉しいわ…」 |
美希 | 「そういえば伊織、何でミキのこと選んだの?」 |
伊織 | 「何でって?」 |
美希 | 「伊織と行くって決まったの見た時、ミキ驚いたんだよ。ミキを選ぶ人なんていないって思ってたもん」 |
伊織 | 「そんなこと無いわよ。だって…」 |
バタンッ |
伊織は美希をベッドへと押し倒した。 |
チュウッ |
そして唇に口付け… |
伊織 | 「美希って、私と同い年でしょ?」 |
美希 | 「うん、そうだよね」 |
伊織 | 「だから美希をもっと知りたくて…美希と一度はこういう時間を過ごしてみたかったの。希望はやよいの次だったわ」 |
美希 | 「そうだったんだ…でもミキも伊織とだったら…いいかなって思ってたよ」 |
伊織 | 「ねえ、美希…」 |
美希 | 「どうしたの?伊織」 |
伊織 | 「美希のこと、もっと…全部知りたいから…」 |
美希 | 「ミキのこと…?」 |
伊織 | 「それに美希には、私の本当を知ってほしいって…思うの」 |
美希 | 「伊織のことをミキが…?」 |
バッ |
伊織は美希に馬乗りのまま、風呂上がりに着ていたガウンの前を開けた。 |
伊織 | 「美希には、私の全部を知ってほしいから…私の全部を見て…」 |
美希 | 「伊織…そういう意味だったんだ」 |
伊織 | 「み、美希がこういうの嫌なら、今日はもうやめるから」 |
美希 | 「ううん…」 |
バッ |
美希もガウンの前を開けた。 |
美希 | 「今日はミキのこと、ちゃんと知って…伊織」 |
伊織 | 「ええ…」 |
チュウッ |
伊織がどこかを吸い付けたのを合図に、二人は互いのことを知り過ぎるくらい勉強していったという… |
HAPPY BIRTHDAY!! Iori MINASE.