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伊織の携帯電話にメールの着信を告げる音が鳴り響いた。 |
伊織 | 「プロデューサーからね」 |
伊織はそのメールを見た瞬間、事務所へと車を向かわせるように命じた… |
……… |
そして事務所に入るなり… |
伊織 | 「律子は居るかしら?」 |
律子 | 「どうしたの?伊織」 |
伊織 | 「いたのね、そのこれが来たのよ」 |
律子 | 「来たって…あれね?」 |
伊織 | 「そうよ…」 |
律子 | 「どれどれ?ヒントはどんな感じかしら」 |
伊織 | 「それが全く分からないのよ」 |
(1)あず○んが大王 (2)去年行った人がいる (3)ABC |
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伊織はヒントとなるメールを律子へと見せた。 |
律子 | 「ABCとか言われてもねえ…」 |
伊織 | 「これ本当になんなのかしら?」 |
律子 | 「これは最後のヒントの調整って感じがするわ」 |
伊織 | 「それなら2番目が一番のヒントになりそうよね」 |
律子 | 「去年行った人がいるってことは…ある程度の場所は消えそうね」 |
伊織 | 「でも名古屋と新潟はもう消えたのよね」 |
律子 | 「ええ。春香とやよいがもう行ったから…あと東京都内も無いとかいう話よ」 |
伊織 | 「それだと、あとはどこかしら?」 |
律子 | 「新潟と東京と名古屋以外だとそうねえ…」 |
伊織 | 「あとはこの1番目のヒントね」 |
律子 | 「これって…あの4コマ漫画ね」 |
伊織 | 「マンガなの?」 |
律子 | 「ええ、結構前にアニメにもなったけど知ってるかしら?」 |
伊織 | 「そういうのは見てないから知らないわ」 |
律子 | 「それもそうよね…えっと、そこらへんに置いてなかったかしら?」 |
伊織 | 「え?」 |
律子 | 「確かマンガが置いてあるところに誰かが置いていったのが…」 |
律子は休憩用ソファの本棚へと向かった。 |
律子 | 「あー、まーた増えてるわ」 |
伊織 | 「そういえばそれって誰の本なのよ」 |
律子 | 「みんな適当に持ってきたいらないのを置いていくのよ」 |
伊織 | 「そうなの、どうりでいつも増えていっているわけだわ」 |
律子 | 「えっと…あったあった。これは…あずささんが読んでいたみたいね」 |
伊織 | 「どうして分かるのよ」 |
律子 | 「これ、あずささんの栞だもの」 |
伊織 | 「あら、本当ね。でも今の移動中は別の本読んでたわよ」 |
律子 | 「それくらいたくさん持ってるからね」 |
伊織 | 「まあそうよね」 |
律子 | 「えっとどれどれ…」 |
手に取ったその漫画を読み入る律子。 |
律子 | 「ふーん、なるほど…そういうことね」 |
伊織 | 「何か分かったの?」 |
律子 | 「ええ、納得できたわ。去年は春香の旅先だったところね」 |
伊織 | 「春香が行ったのって、神戸と大阪よね」 |
律子 | 「そうよ、その後者よ」 |
伊織 | 「大阪?どうして分かったの?」 |
律子 | 「それはね…とりあえず小鳥さんのところに行って帰ってきたら説明してあげるわ」 |
伊織 | 「…よく分からないけど分かったわ」 |
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小鳥のデスクへと移動した伊織。 |
小鳥 | 「あら?伊織ちゃん、どうしたの?」 |
伊織 | 「小鳥…さっきプロデューサーから来たメールの答えなんだけど…」 |
小鳥 | 「プロデューサーさん?…今日なのね」 |
伊織 | 「ええ」 |
小鳥 | 「それで答えは?」 |
伊織 | 「答えは大阪…よね?」 |
小鳥 | 「………」 |
小鳥は無言になって… |
カチャカチャ ガチャンッ |
机の鍵が掛かっている引き出しを開けてそこから一枚の封筒を取り出した。 |
小鳥 | 「はい、伊織ちゃん」 |
その封筒が伊織へと渡された。 |
小鳥 | 「プロデューサーさん、待ってるわ。明日行ってらっしゃい」 |
伊織 | 「…ええ、行ってくるわ」 |
小鳥 | 「ちょっと待ってね」 |
PiPiPi♪… |
小鳥はとある場所へと電話をかけ始めた。 |
Trrrrrr…Trrrrrr… |
小鳥 | 「もしもし、765プロダクション事務の音無です……はい……では明日品川駅新幹線改札口に10時15分でお願いします」 |
カチャンッ |
小鳥は受話器を戻した。 |
小鳥 | 「明日10時に品川駅に着くくらいで行くから、ちゃんと準備しておいてね」 |
伊織 | 「持ち物はあの紙に書いてあった通りで良いのね?」 |
小鳥 | 「ええ。楽しんできて、伊織ちゃん」 |
……… |
翌日の品川駅改札口… |
小鳥 | 「椎名さんですね、私は765プロ事務の音無です」 |
椎名法子(法子) | 「はいっ、910プロダクションの椎名法子です!」 |
そこにはポニーテールの女の子が一人、伊織の到着を待っていた。 |
小鳥 | 「今日はうちの水瀬をよろしくお願いしますね」 |
伊織 | 「よろしくお願いするわ、椎名さんで良かったかしら?」 |
法子 | 「そんな椎名さんだなんて…あたしの方が年下なのに」 |
伊織 | 「あら、そうだったの?」 |
法子 | 「あたしは13歳ですっ!」 |
伊織 | 「そうなのね、それじゃあ…下の名前は何て言ったかしら?」 |
法子 | 「法子ですっ、椎名法子です」 |
伊織 | 「それなら法子でいいかしら?私、基本的に呼び捨てになっちゃうけど…それでもかまわないかしら?」 |
法子 | 「はいっ、水瀬さん」 |
小鳥 | 「それでは椎名さん、2日間よろしくお願いします。伊織ちゃん、行ってらっしゃい」 |
伊織 | 「行ってくるわ、小鳥」 |
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新幹線の車内、二人は隣同士に座っていた。 |
法子 | 「わー、グリーン席って初めてだよっ♪」 |
伊織 | 「私と一緒の移動で良かったわね。確かやよいは指定席って聞いたから」 |
法子 | 「高槻さん…ですよね?あ、椿ちゃんが一緒だった人かな」 |
伊織 | 「あら、やよいと一緒に行ったのは法子と一緒の事務所の人だったのね」 |
法子 | 「はいっ♪」 |
伊織 | 「なるほどね…ってそういえばさっきから何を持っているの?」 |
法子 | 「これですか?大阪までお腹が空くと思って…」 |
そう言いながら法子は袋からドーナツを取り出した。 |
伊織 | 「ドーナツ?」 |
法子 | 「はいっ♪あたしドーナツには目がなくって、今日の朝ここに来る前にこのお店に寄ってから来たのっ」 |
伊織 | 「このお店…聞いたことが無いわね。新しいお店かしら?」 |
法子 | 「確か2011年にオープンしたばっかりってこの前テレビでやっててっ」 |
伊織 | 「そうなの…私も一ついいかしら?」 |
法子 | 「いっぱいありますから、お一つどうぞっ!」 |
法子は一つ伊織に手渡した。 |
はむっ |
渡されたドーナツにパクつく伊織。 |
伊織 | 「これは…面白い食感で…美味しいわ…」 |
法子 | 「じゃああたしも…」 |
あむっ |
法子も袋から一つ取り出して食べ始めた。 |
法子 | 「美味しい〜!この味は自分で作るのじゃ出せないよ〜」 |
伊織 | 「あら、あなた自分でも作るの?」 |
法子 | 「ドーナツ作りだけは自信がありますっ」 |
伊織 | 「そういえば、この前のバレンタインに何か番組に出てたかしら?」 |
法子 | 「そうですっ」 |
伊織 | 「調理時間の間にドーナツ食べていたのって…法子?」 |
法子 | 「観ててくれていたってことですか?」 |
伊織 | 「ええ、ちょっと休憩時間にやっていたから…フフフ、そうなのね…」 |
すっかり打ち解けた二人は大阪までの時間もドーナツを食べながらあっという間だったそうな… |
HAPPY BIRTHDAY!! Iori MINASE.