Southland a Deux(二人だけの南国)

ここは沖縄県のとある野外会場…
「今日はみんなありがとうございましたーっ!」
パチパチパチパチパチパチ
会場に集まった人から万感の拍手が一人の少女へと贈られた。
「また絶対に来るぞー!」
集まった人へと大きく手を振りながら会場脇へと捌けていった。
 
ステージ脇にて…
「今日はありがとうございましたっ!」
スタッフ『こちらこそ、これだけの盛り上がりは凱旋イベントを企画して良かったよ』
「久しぶりの沖縄はやっぱり最高だったさ」
スタッフ『昨日の夕方はラジオと合わせて県域局は全局出たんだっけ?もう知らない人はいないだろうねえ』
「うん。向こうで学校を早引きして昼に出てきてからすぐに飛行機でだったから忙しかったなー」
「お、おつかれ響」
「プロデューサー、今日の自分はどうだった?」
「最後のミス、浮ついてたからだろ?」
「アハハっやっぱりバレてたんだ」
スタッフ『ええっ、いいパフォーマンスだったと思いますけど我那覇さん』
「この後オフだからって、まだ仕事中なんだからな」
「うー、反省するさ」
スタッフ『まあまあその辺でいいじゃないですか』
「ちゃんとこういうところは言っておかないとですから。でも無事晴れて良かったですね」
スタッフ『台風もシーズン終わりましたし、穏やかな気候の時期ですからね』
「うちの我那覇はどうでしたか?」
スタッフ『やっぱりトップアイドルということはありますよ。こっちが気持ちいいくらいになる感じでした』
「彼女にとっては地元でもありますからね。空気が合うって言ってましたよ」
スタッフ『そうですね、観客のみなさんとも波長があったみたいでしたよ』
「うんうん。ファンの人の盛り上がりとはまた違った感じで、それがまた良かったんさ」
「だよな。地元から出たトップアイドルが凱旋…だもんな」
「そ、そう言われると何だか照れるぞ」
スタッフ『今回は県外の販売に制限を掛けさせましたから。できるだけ地元の人に見てもらいたかったですし』
「ありがとうございます。おかげでノビノビとできた…んだよな?」
「そうさー。でも知り合いも結構来てたし、その前でやるって少し恥ずかしかったけどね」
スタッフ『ハハハ、そうかい。よし、それじゃ話はこれくらいにして打ち上げまではどうします?』
「あ、あの例の物はどうします?」
スタッフ『そうだね、打ち上げ会場で開けますか』
「そっちの方がいいですかね」
「ん?何のこと?プロデューサー」
「響の誕生日ケーキだよ。どうする?今ここで用意することも…できるんですよね?」
スタッフ『ああ。10分くらいあれば持ってこれるかな』
「んー、ちょっと休んでから来たいから後ででもいいぞ」
「それじゃあうちの我那覇もそう言ってますし…」
スタッフ『了解。じゃあ打ち上げ会場には直接来るんですね?』
「はい。その方向でお願いします。分からなくなったら連絡入れますので」
スタッフ『じゃあ18:00に○○○で…』
………
打ち上げも終わって…
「今回は本当にうちの我那覇をありがとうございました」
スタッフ『また来てなー。こっちはいつでも準備するさ、トップアイドルのためならさ』
「ありがとうございます。次にまたこういう機会があれば、またご一緒しましょう」
スタッフ『そうだね、次は色々な島巡りってのもどうかい?』
「自分それなんかやってみたいぞ。今回は石垣とか八重山とか行けなかったからさー」
スタッフ『お、我那覇さんも乗り気だねえ。検討しておこう』
「観光のキャンペンガールとしてもう一度は来たいところだな響」
「うん。プロデューサー、スケジュール管理頼むぞ」
「分かってるって。次からはまだしばらく向こうだけどな」
「うえー、寒いところに帰るのかー」
スタッフ『じゃあこっちにずっといるかい?我那覇さん』
「自分は地元こっちだし、家族もいるしそうした…」
と、それを遮るように…
「1日いくら掛かってるかは分かってるよね?響ちゃん」
「う…そうだった。やっぱり自分は帰らなくちゃダメだ」
スタッフ『ん?どうしたんだい?1日いくらって…』
「自分の飼ってるペット、専門のとこに預かってもらってるんだった…」
スタッフ『そりゃしかたないね。ま、じゃあそういうことでまた次の機会にお願いしますね』
「はい、では失礼します。今日はありがとうございました」
「ありがとうだぞー」
二人は店から出てその日の宿にしたホテルへと向かった。
………
ホテルに戻って…
「今日は何にも買わなくて良かったのか?」
一緒のベッドの上で隣同士で座っている二人。
「だって明日は一日中フリーだぞ。大体誕生日は明後日なんだから明日の方がいいな」
「それならいいさ」
「でもさ…一緒に泊まるのは今日だけだからな…」
「実家は一日だけで良かったのか?」
「うん。だってさ…」
チュッ
響はプロデューサーの頬にそっとキスをした。
「プロデューサーともこっちでこうやって、ゆっくり一緒に過ごしたかったし。それに…」
ぎゅっ
響はさらにプロデューサーを抱きしめた。
「昨日は疲れてて…何もできなかったからさ」
「ちょ、ちょっと響、胸当たってるって」
「何だ?いっつもスケベそうに見てるのに、これは恥ずかしいのか?」
「いや、恥ずかしいんじゃなくて気持ちいいっていうか…じゃなくて!」
「当ててるに決まってるぞ。その、どうだ?自分って…」
「…前から思ってたけど、背が小さい割にはスリーサイズはいいなって…思ってる」
「身長は今となってはやよいの次だからな」
「亜美も真美も成長したもんなー」
「な、なあプロデューサー」
「どうした?響」
「自分さ…自分にもさ…みんなと同じように…うん、して欲しいんだ」
「…分かってる。覚悟はできてるんだな?」
「うん。ほら…」
ハラリ
響はバスローブを肩から下ろした。その下には何もつけてはいなかった。
「プロデューサー…自分のこと…この地元で味わってよ」
「…ああ。どんな料理も勝てない一番の沖縄料理、いただかせてもらうぞ」
沖縄の夜の下、沖縄娘の響きがその大きさを増していった…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
誕生日SSシリーズ、響編です。
凱旋…響にとっては一時は許されなかったこと。数少ない機会だからこそ、プロデューサーと一緒が良いと。
遠く離れたからこそ誰にも邪魔されない自分だけの時間、そしてプロデューサー。きっとそれと実家を量りにかけたのでしょうね。
Happy Birthday!! Hibiki GANAHA.
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2011・10・10NAT/MON
飛神宮子
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