Smile a Deux(二人だけの笑顔)

ここはとある地方都市のライブステージ…
春香「みんなー!ありがとー!」
最高の笑顔とともに捌けていく春香。
春香「ふう…」
「お疲れさま、春香。どうだった?」
春香「もう、最っ高の盛り上がりでしたっプロデューサーさん」
パチパチパチパチパチ
そこに拍手をしながら近づいてくる一人の男性が…
スタッフ「うん、やっぱり天海さんを呼んで良かったよ」
「あ、○○さん。今回はうちの天海をゲストに呼んでいただいてありがとうございます。」
スタッフ「いやいや、これだけの盛り上がり。最高じゃないか」
春香「ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいですっ」
スタッフ「むしろ礼を言うのはこっちの方だ。こんな地方都市に呼べるなんて思ってもなかったんだ」
春香「普段来れないファンの人のために、自分の全部が出せるようにしちゃいました」
「こういう地方公演だと、いつも来れないような人が来てくれるからいいよな」
スタッフ「お、そういうことなのか」
「はい。だからこういうライブも、うちの事務所では大切にしていきたいなと思っているんです」
スタッフ「しかしやっぱりパフォーマンスが凄いね、765プロはさすがだよ」
「ありがとうございます」
スタッフ「でも自分の誕生日ケーキまで自分で作るなんて、どれだけ体力あるんだい?天海さんは」
春香「お菓子作りは大得意ですから。それより調理場を用意して下さってありがとうございました」
スタッフ「いいってことよ。でも美味しそうだったね」
春香「自分で作ったのですけど、会場のみなさんで祝ってもらって嬉しかったですっ」
「あれ出てくるの、本当は打ち上げの予定だったもんな」
スタッフ「せっかくこれだけ会場で祝ってくれる観客がいるんだから、こっちの方が良いかなってな」
春香「でもその分、良い想い出になっちゃいました」
スタッフ「うん、そうなってくれればこっちとしても嬉しいさ。じゃあそろそろ楽屋で休んでいてもらおうかい」
春香「分かりました、今日はありがとうございました」
「次は打ち上げですよね?」
スタッフ「ああ、そうなるな。直で入るかい?」
「会場は予定と代わってないですよね?」
スタッフ「ああ、昨日渡した通りの場所でやるぞ」
「ちょっとシャワーとか浴びさせてくるんで、時間までにはそっちに行きますよ」
スタッフ「おう、待ってるからな」
………
打ち上げが終わって…
スタッフ「今日は本当に良いステージをありがとう、天海さん」
春香「こちらこそ盛り上がりも最っ高でしたっ、ありがとうございます」
スタッフ「これからもまた765プロの子を呼んでもいいかね?」
「日付さえ合えば歓迎します。ぜひ、うちのアイドルを使ってください」
スタッフ「そう言ってくれると嬉しいね。こっちからもぜひお願いするさ」
「はい。次はもっと増やしてもらってもいいですから」
スタッフ「ハハハっ、でもそれはこっちもギャラとかがあるから、また考えとくよ」
「…検討をお願いしますね。いい子揃えて待ってますから」
春香「そんな…プロデューサーさん、どこかのいかがわしい店じゃないんですからぁ」
「ゴメンゴメン、春香」
スタッフ「でも了解、また呼べるように努力するさ」
「ありがとうございます」
スタッフ「それで今日はこっちに泊まって行くんだね?」
春香「はい。プロデューサーさんが今日はこっちでゆっくり休んでって言ってくれたんです」
スタッフ「ま、ここはいいところだからゆっくりしていってよ」
「今日は誕生日でしたし、家でゆっくりさせてあげられなかった分こっちでゆっくりさせようかって」
スタッフ「そうだよな、粋な計らいじゃないかキミ」
春香「学校もまだ春休みなんで、明日はこっちでゆっくり色々見て行っちゃいます」
スタッフ「それなら何かあったら連絡してくれよ。さっき他の人達とメルアド交換とかしてたみたいだけど」
春香「はいっ。一緒にやった方達と何人か交換しちゃいました」
スタッフ「天海さん以外はほとんど地元の子だから、聞いてみるといいよ」
「そうですね、今日はもう遅いんで明日にでも色々聞いてみちゃいます」
スタッフ「うん。じゃあ今日はごゆっくり、また今度ね」
春香「はーい」
「今日はありがとうございました」
二人は今回の担当者を見送った後、タクシーへと乗って宿へと向かった。
………
ここはその地方都市の中心に近いながら、少し落ち着いた場所にある旅館…
「ふう…しっかし、今日のは一段と盛り上がったな」
春香「プロデューサーさんの決めた曲順がバッチリでした」
二人は座イスに座って隣同士に座っていた。
「あのくらいのハコだと、あの順で行けるかなと思ってたからさ」
春香「いつものファンだけじゃなくて、他の地元のアーティストのファンも少しは私に引き込めちゃったかなって」
「対バンがいるとそういうのがあるから良いよなあ」
春香「でもプロデューサーさんは今日の私のステージどうでした?」
「3曲目のミスが無ければ完璧だったな」
春香「あう…そうですよね。どうして私、何も無い所で転んじゃうんだろ…」
「でもそれが盛り上げに一役買ったじゃないか。今日のステージは…」
チュッ
左頬にそっとキスをするプロデューサー。
「合格だぞ」
春香「プロデューサーさん…」
「さて、そろそろもう一風呂浴びて寝るか」
春香「あの、プロデューサーさん…」
「ん?」
春香「私、合格点…貰えましたよね?」
「ああ…」
春香「貴音さんや千早ちゃんみたいにご褒美…もらえますか?」
「ご褒美って?」
春香「だから、その…」
「ちゃんと言わなくちゃ分からないよ、春香」
プロデューサーは分かっていながらも、とぼけ始めた。
「じゃあさっさとお風呂入って寝ちゃおうかな」
春香「プロデューサーさんっ!」
ギュッ ぽふっ
春香はプロデューサーの左腕を掴んで、その左手を自らの左胸に押し当てた。
「は、春香っ!?」
プロデューサーは浴衣だけを通して手の平にそれを感じた。
春香「こんなにもう…私の身体、熱いんですっ…」
「…確かに感じるよ」
春香「私のこと…今日だけプロデューサーさんだけのアイドルにしてください…」
「いいんだな?戻れないぞ」
コクンっ
春香は一つ恥ずかしそうな、しかし笑顔で頷いた。春香の特別な夜が今、始まろうとしている…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
2011年誕生日SSの4本目は春香。春香は焦らしがいのある女の子ですね。
でも春香ならここぞというところではこうやって押し切るんじゃないかなと思います。
Happy Birthday!! Haruka AMAMI.
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2011・03・31THU
飛神宮子
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