ここは年の瀬の昼の765プロダクション… |
小鳥 | 「さて…プロデューサーさんは何がいいです?」 |
P | 「そうですね…これなんか欲しいですけど…」 |
小鳥 | 「あー、私が狙ってたのに…」 |
P | 「そう言うなら小鳥さんにあげますって」 |
小鳥 | 「へ?いいんですか?」 |
P | 「その代わりに…小鳥さんの家に行ったら使わせてくださいね」 |
小鳥 | 「それなら…いいですよ」 |
さて…アイドルたち全員にオフを取らせて、二人が何をしているかと言えば… |
P | 「しかし社長も全部俺たちに回してくれるとは…」 |
小鳥 | 「こういうのは回り物って言いますけど…」 |
P | 「このお歳暮なんか、社長が喜びそうなんだけどなあ」 |
そう、765プロに来たお歳暮の選別を行なっていたのである。 |
小鳥 | 「社長も見るのが面倒になったんじゃないかしら」 |
P | 「そうかもしれませんね」 |
小鳥 | 「社長に回すべきものと事務所に残すべきものは社長室に残して、あとは貰って行きましょ」 |
P | 「でもそれにしても、さすがの量ですね…」 |
小鳥 | 「確かに…贈ったのも結構ありますけど受け取るのも多くなりました」 |
P | 「去年はもっと少なかったでしたっけ?」 |
小鳥 | 「そうですね。これもプロデューサーさんの努力の賜物かもしれませんね」 |
P | 「そ、そう言われると照れますよ」 |
小鳥 | 「でも、本当ですよ。ここまで765プロが大きくなったのもプロデューサーさんの力があってこそですから」 |
P | 「うーん…その言葉はありがたく受け取っておきますね」 |
小鳥 | 「でも…本当に毎日アイドルに山のようにプレゼントも来るようになりましたし…」 |
P | 「みんな持ち帰るのも大変そうですからね」 |
小鳥 | 「加えてこのお歳暮の量ですもの…整理するのも一苦労ね」 |
P | 「同感です。あ、これは…どうしましょう?」 |
小鳥 | 「んー…事務所の冷蔵庫に入れておいたら誰かが食べるんじゃないかしら」 |
P | 「確かに亜美たちが目敏く見付けて食べそうですね」 |
小鳥 | 「じゃあこれは冷蔵庫にっと、こっちはどうします?」 |
P | 「これは…うーん、難しいですね。お菓子じゃない生ものって…」 |
小鳥 | 「早めに食べちゃいましょ。どっちかの家に持ち帰ることにして」 |
P | 「それなら俺の家にしときます?」 |
小鳥 | 「そうね…今夜にでも一緒に鍋にしましょ」 |
P | 「いいですね、この時期なら」 |
小鳥 | 「これも決定っと」 |
……… |
小鳥 | 「ふう…粗方整理がついたわ」 |
P | 「本当に凄い量が来るものなんだなって」 |
小鳥 | 「これは数日分ですけど、まだこれからも来ますからね」 |
P | 「うへぇ…」 |
小鳥 | 「これ…車に全部積めますか?」 |
P | 「たぶん、いっぺんに大丈夫だとは思いますけど…」 |
小鳥 | 「ダメなら何日かに分けて持って行きましょ」 |
P | 「それもそうですね」 |
小鳥 | 「それじゃあ休憩しましょう」 |
P | 「はい。あ、この包装紙の山はどうしましょうか?」 |
小鳥 | 「それは業者さんに持って行ってもらうんで、縛ってもらえますか?」 |
P | 「分かりました。紐は倉庫のやつでいいんですよね?」 |
小鳥 | 「はい、プロデューサーさんが縛っている間に、お茶淹れてきます」 |
P | 「あ、ありがとうございます」 |
|
P | 「さて…今日はどうします?」 |
小鳥 | 「そうですね…プロデューサーさんの方は予定はあります?」 |
P | 「俺は特には。久々に定時上がりが出来そうです」 |
小鳥 | 「そういえば最近は忙しくて、定時上がりも久しぶりですね」 |
P | 「確かに…どちらかが出来ない時も多かったですし」 |
小鳥 | 「今日は久々に街の方へ行きません?」 |
P | 「んー…クリスマスの街を歩くのも悪くは無いですね」 |
小鳥 | 「プロデューサーさん」 |
P | 「はい?」 |
小鳥 | 「実は…」 |
P | 「…あんまり高い物はダメですよ?」 |
小鳥 | 「やっぱりダメですか…?」 |
P | 「小鳥さんは俺の給料知ってますよね?ただでさえ今月は出費が多いんですから」 |
小鳥 | 「うう…そんなことなら通販でアレ、買うんじゃなかったわ」 |
P | 「また何か買ったんですか?」 |
小鳥 | 「むー…プロデューサーさんに綺麗な私を見てもらいたかったから…」 |
P | 「そんなことしなくたって、小鳥さんは綺麗ですってば」 |
小鳥 | 「…真顔でそんな恥ずかしくなること言わないでください」 |
P | 「事実を言ったまでですよ。アイドル達に負けてませんって」 |
小鳥 | 「で、でも…皆みたいに若くないですから」 |
P | 「そんなに俺の言葉が信用できないですか?」 |
小鳥 | 「え?そ、そんなことは…」 |
P | 「まったく…」 |
チュッ |
プロデューサーは小鳥の唇へと唇を重ねた。 |
小鳥 | 「え、ええっ!?」 |
P | 「小鳥さんは心配し過ぎですって。俺の唇が保証の印です」 |
小鳥 | 「…そんな恥ずかしいこと、突然しないでください」 |
P | 「でもこういうことでもしないと、信用してくれそうになかったし」 |
小鳥 | 「も、もう…」 |
小鳥の顔は仄かに紅く染まっていた。 |
P | 「こんな可愛くて、綺麗で、愛らしい人…他の人には渡しませんから」 |
小鳥 | 「……ありがとう、プロデューサーさん」 |
P | 「さて、お歳暮の処理も終わりましたし…そろそろ帰りますか?」 |
小鳥 | 「そうですね…ってもうこんな時間ですか」 |
時計は既に午後4時半を差していた。 |
P | 「じゃあ俺は社長室に社長行きのヤツを置いてきます」 |
小鳥 | 「分かりました。私は紐とかゴミの処理に行って来ますね」 |
P | 「あとは積み込みか…小鳥さんがやってる間にそっちもしてきます」 |
小鳥 | 「重たい物も多いんで、台車出してください。場所は分かります?」 |
P | 「えっと、階段の下でしたよね?」 |
小鳥 | 「はい、ホコリが気になるなら雑巾で拭いてから使ってください」 |
P | 「了解です」 |
小鳥 | 「どれくらいで終わりそうですか?」 |
P | 「そうですね…定時になるくらいには、たぶん終わるかな」 |
小鳥 | 「それなら私もその時間に合わせますね、早くやっちゃいましょ」 |
二人は少し微笑みながら残りの作業へと入っていた… |