Stars in Heaven after Scattered Rain(通り雨のち満天の星)

美希18歳になる年の夏…
美希「ハニー!終わったのー!」
ここはとあるドラマ収録現場。
「ご苦労様。これであとは挨拶すれば終わりだぞ」
美希「ねえこの撮影が終わったらしばらくオフだよね?」
「ああ。約束のご褒美もちゃんと用意してあるからな」
美希「わーいなの!じゃあ早く挨拶に行こっ」
「ちょっと待ってくれよ…って引っ張るなって!」
美希「早く早くっ!」
「(よほど楽しみなんだな…)」
美希「ん?どうしたの?ハニー」
「いや何でもないさ、行こうか…」
………
ここはとある小さな南の島の別荘…
美希「んーっ!着いちゃったね!」
「1ヶ月以内なら好きなだけいいと、社長との約束だ」
美希「でもすぐ飽きちゃうかもしれないよ」
「飽きさせないように努力するさ。でもな、そのカバンの中身を終わらせるまでは飽きても帰さないぞ」
美希「えーっ、そうなの?」
「社長との交換条件がそうなんだからしょうがないだろ?美希もそれを条件に飲んだんだろ?」
美希「そうだけど…うー、南の島まで来て宿題なんてやだー」
そう、美希のカバンの中にはバカンスの道具の他に高校の宿題も入っていたのである。
「それを早く終わらせれば、その分だけ長く過ごせるんだからな」
美希「むー…」
「俺がマンツーマンで指導するからさ」
美希「何だか家庭教師みたいだね」
「まあそうなるよな」
美希「でも家庭教師の先生と生徒…いけない関係になる話ってあるよね?」
「…まあそっち系のビデオとかマンガとかではよくある…って何を言わせるんだよ」
美希「ハニーを誘惑しちゃおうかな、あはっ」
「俺がそんな作戦でコロッと行くとでも思ってるのか?」
美希「だってハニーはむっつりスケベさんだもん」
「あのなあ…そんなこと言ってないでさっさとやるぞ」
美希「…うう…はーい」
美希は渋々テーブルに問題集やらノートやらを出した。
美希「あっ、でも水着になってもいい?」
「おい、美希っ!」
美希「だって暑いんだもん。もしかしてハニー、ミキにメロメロになった?」
ニヤニヤしながらプロデューサー佐の方を見る美希。
「は、早く!水着でもいいから始めるぞ!」
美希「あー、ハニーったら照れてるの」
「そりゃ照れるに決まってるだろ?トップアイドルにそんなことされるなんてだな…」
美希「ハニー、着替えも見る?」
「…そっち行ってるから早く着替えてくれ!」
美希「はーい」
………
机に向かうこと3時間…
「ここはこの数式でだな…」
美希「うー…ん?あー、もしかしてこう?」
「そうそう、今日はあとその章が終わったら終わりにするか」
美希「え?いいの?」
「何だ、もっとやりたそうだな」
美希「んーん、でもけっこう終わったなーって」
「美希はカンと飲み込みは意外と良いって、長年やっていて分かってるからな」
美希「ハニーの教え方が上手いからなの」
「そうか?」
美希「うん。でも…やってる間ずっとここ見てたよね?」
と、美希は水着の胸を指した。
「そんなこと言ったってだな、男としてはそういうのが目の前にあったらだな…」
美希「本当にハニーってスケベだよ」
「男なら誰でもそうなるって…」
美希「でもミキ、ハニーならいいけどね」
「ほ、ほらそんなこと言ってないで終わらせるぞ」
美希「そだね」
………
数日後の全ての宿題を終えた日…
ザザーン
ここはその別荘のプライベートビーチ。
美希「夜でもまだ水が温かいんだね」
「この辺はそうだろうな。むしろ昼より空気が少し涼しくて泳ぎやすいくらいだろう」
美希「もうすぐ一日が終わっちゃうんだ…」
「まだ時間はいっぱいあるさ。それにあれだけあった宿題ももう全部終わったんだしさ」
美希「そうだよね…」
チュッ
美希は砂浜に座っていたプロデューサーにそっとキスをした。
「美希…」
美希「ねえハニー」
「ん?」
美希「どうしてミキを選んだの?」
「どうしてって?」
美希「だって、ミキこんな子だよ。わがままで、寝ぼすけさんで、良い所なんてあるの?」
「美希がそう思っているならいい。でも俺は真剣に自分の信念を曲げずに情熱を燃やすところ、それに惹かれたんだ」
美希「…そ、そんなに真剣に思われてたんだ…」
「だから1年経ってもずっと美希のこと見ていたいと思った」
美希「ハニー…」
「なあ…美希」
美希「何?ハニー」
「いつから俺のこと、その『ハニー』って言ってるっけ?」
美希「んー…この髪の色に戻ってからだよ」
「もうさ、そのハニーって言い方…やめてくれるか?」
美希「えっ………」
美希は愕然とした顔になった…
美希「どうして…ミキのハニーじゃなくなっちゃうの?」
「いいや、そうじゃない…」
美希「じゃあどうして!」
「これからは…下の名前で呼んで欲しいんだ」
美希「えっ…」
「俺と…同じ苗字になろう」
美希「………」
「ずっと考えていたんだ。でも好きという感情はもう抑えられ…ってどうしたんだ?美希」
美希の双眸からは海以外の水が零れ出していた。
美希「○○さん…ずるいよ…」
「…美希…」
美希「ミキ…ミキ、さっきの言葉ですっごく悲しくなったんだよ!」
「…それは悪かったって思う」
美希「それなのに…それなのにすぐ後にこんなに嬉しくさせるなんてっ…!」
ドンッ
美希は砂浜のプロデューサーを押し倒した。
美希「ミキ…迷惑かけちゃうかもだよ」
「そんなの構わない」
美希「ミキの親だってどう言うか分からないよ」
「そんなの乗り越えてみせる」
美希「ミキ…ミキ…」
ぎゅうっ
美希は砂浜のプロデューサーを抱きしめた。
美希「ミキを○○さんのお嫁さんに」
チュッ
美希「して…」
砂浜を照らす月と満点の星、それ全てが二人の…そして一つの愛の祝福の明かりへと変わっていた…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
あなたへの想い、実は先月から4ヶ月連続になっています。あずさに続いては美希。
美希の場合は元よりPを好きでしたから、それよりさらに上に行かないとという点がポイントです。
このシリーズも残すは2人、次は…誰でしょうね?
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2011・10・31TUE
飛神宮子
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