♪〜 |
あずさの携帯電話にメールの着信を告げる音が鳴り響いた。 |
あずさ | 「プロデューサーさんからね♪」 |
あずさはそのメールを見た瞬間、事務所へと向かう方向を変えていった… |
……… |
そして事務所に入るなり… |
あずさ | 「律子さんは居らっしゃいますか〜?」 |
律子 | 「どうしました?あずささん」 |
あずさ | 「良かったです…その…」 |
律子 | 「その表情は…来たんですね?」 |
あずさ | 「来ちゃいました〜」 |
律子 | 「どれどれ?ヒントはどんな感じですか?って言いたいところなんですけど…」 |
あずさ | 「はい…?」 |
律子 | 「実はもうあずささんの行き先は、私の中では二つに絞られてるんです」 |
あずさ | 「そうなんですか〜」 |
律子 | 「それでどんなヒントですか?」 |
あずさ | 「それが…こんな感じなんです〜」 |
|
あずさはヒントとなるメールを律子へと見せた。 |
律子 | 「予想通りだったわ。これは決まりだけど…75って何のことかしら?」 |
あずさ | 「ちなみに、どこなんですか?」 |
律子 | 「京都か広島だったんです。鯉と世界遺産からして恐らく広島で間違いないとは思うんですけど…」 |
あずさ | 「75…何でしょう?」 |
律子 | 「ちょっとこれは分からないと気持ち悪いですね」 |
あずさ | 「うーん…よくわかりませんね〜」 |
律子 | 「広島なのは間違いないと思うので、時間を見て小鳥さんのところへ行ってきてください」 |
あずさ | 「はーい」 |
律子 | 「75というと、何か関係ある数字なのかしら…」 |
あずさ | 「時間とかは関係ないでしょうか」 |
律子 | 「75分とかサッカーとかと違いますし、角度にしても中途半端ですし」 |
あずさ | 「75というと…25が3つですね」 |
律子 | 「そうなんですけどこの中途半端な感じが…何か聞き覚えのある数字には違いないんですけど」 |
そこに… |
ガチャっ |
春香 | 「おはようございまーす!」 |
一人の少女が入ってきた。 |
律子 | 「あらおはよう春香」 |
あずさ | 「おはよう、春香ちゃん」 |
春香 | 「おはようございます、あずささん、律子さん」 |
律子 | 「今日はレッスンかしら?」 |
春香 | 「違いますよぉ、今日は…ってあれ?プロデューサーさんは?」 |
律子 | 「プロデューサーはあずささんの誕生日の目的地に行ったわよ」 |
春香 | 「あー、今日だったんだあ。それじゃあこれは…まあ後ででいっかな」 |
律子 | 「何を持ってきたの?」 |
春香 | 「この前急な雨降りでプロデューサーさんに折り畳み傘借りたから返そうって」 |
律子 | 「あら、それくらいなら置いといても構わないでしょ?」 |
春香 | 「でもやっぱりちゃんと自分の手で返したいじゃないですか」 |
律子 | 「それはそうね」 |
春香 | 「あ、春香ちゃーん」 |
小鳥 | 「何ですかー?小鳥さーん」 |
春香 | 「今度のイベントの詳しい企画書が届いてるからこっちに来てもらえるー?」 |
小鳥 | 「あ、はーい。今行きますー」 |
春香は小鳥の元へと向かった。 |
律子 | 「それにしてもこの75ねえ…」 |
あずさ | 「何なのでしょう〜?」 |
そこに春香が戻ってきた。 |
春香 | 「はー、結構長丁場のイベントになりそうだー」 |
律子 | 「おかえり。どんなイベントかしら?」 |
春香 | 「えっと家族で楽しむイベントの司会で、最初から最後まで3時間以上ずっと立ちっぱなしですよぉ」 |
あずさ | 「どんなことするんです〜?」 |
春香 | 「基本的には進行です。一緒に歌ったり踊ったりするコーナーとかビンゴ大会もあるみたいです」 |
律子 | 「へえ、結構楽しそうな感じね…ん?ビンゴ?」 |
春香 | 「ど、どうしたんですか?律子さん突然…」 |
律子 | 「ビンゴって75よね…それの75だったのね!」 |
春香 | 「え?え?」 |
あずさ | 「そうだったんですか〜」 |
律子 | 「これで胸のつかえが取れたわ」 |
あずさ | 「私もです。ちょっと音無さんの所へ行って来ます〜」 |
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小鳥のデスクへと移動したあずさ。 |
小鳥 | 「あずささん、急にどうしたんですか?」 |
あずさ | 「音無さん…先ほどプロデューサーから来たメールの答えなんですけど…」 |
小鳥 | 「プロデューサーさん?…あ、今日だったんですね」 |
あずさ | 「はい」 |
小鳥 | 「それで答えは?」 |
あずさ | 「答えは広島…ですか?」 |
小鳥 | 「………」 |
小鳥は無言になって… |
カチャカチャ ガチャンッ |
机の鍵が掛かっている引き出しを開けてそこから一枚の封筒を取り出した。 |
小鳥 | 「はい、あずささん」 |
その封筒が貴音へと渡された。 |
小鳥 | 「プロデューサーさんが待ってます。明日行ってきてください」 |
あずさ | 「…はい」 |
小鳥 | 「ちょっと待っててくださいね」 |
PiPiPi♪… |
小鳥はとある場所へと電話をかけ始めた。 |
Trrrrrr…Trrrrrr… |
小鳥 | 「もしもし、765プロダクション事務の音無です……はい……では明日品川駅新幹線改札口に10時15分でお願いします」 |
カチャンッ |
小鳥は受話器を戻した。 |
小鳥 | 「明日10時に品川駅に着くくらいで行きますから、準備を…あ、やっぱり時間が心配なので迎えに行きますね」 |
あずさ | 「持ち物はあの紙に書いてあった通りで良いのでしょうか?」 |
小鳥 | 「はい。楽しんできてください、あずささん」 |
……… |
翌日の品川駅改札口… |
小鳥 | 「水木さんですね、私は765プロ事務の音無です」 |
美波 | 「はいっ、956プロダクションの新田美波です」 |
そこには茶髪の女性が一人、あずさの到着を待っていた。 |
小鳥 | 「今日はうちの三浦をよろしくお願いします」 |
あずさ | 「よろしくお願いします、新田さん」 |
美波 | 「よろしくお願いします、三浦さん」 |
あずさ | 「んー…でも何か堅い感じしちゃうから、美波さん…でもいいかしら?」 |
美波 | 「あ、はい。それなら私は…」 |
あずさ | 「私のことはあずさって呼んでもらいたいわ〜」 |
美波 | 「はい、あずささん」 |
小鳥 | 「それでは新田さん、2日間よろしくお願いします。あずささん、行ってらっしゃい」 |
あずさ | 「行ってきます〜、音無さん」 |
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新幹線の車内、二人は隣同士に座っていた。その美波の視線の先には… |
あずさ | 「美波…さん?」 |
美波 | 「あ、はい。すみませんです」 |
あずさ | 「どうされたんですか、私の方を見てましたね?」 |
美波 | 「あの…失礼になっちゃうんでやっぱり…」 |
あずさ | 「はい〜?」 |
美波 | 「えっと…あの、胸がその…」 |
あずさ | 「そういうことでしたか〜」 |
美波 | 「魅せ方というのが気になったんです。私もそういう売り方をちょっとされ気味で…」 |
あずさ | 「フフフ、美波さんそういうのはプロデューサーに任せていた方がいいんです」 |
美波 | 「えっ…?」 |
あずさ | 「プロデューサーは自身にとって一番最初のファンなんです。だから魅せ方も一番考えてくれる人…ですよ」 |
美波 | 「一番最初の…」 |
あずさ | 「私も最初からこの身体を魅せる売り方をされましたけど、それも一生懸命どうしたらいいか考えてくれた結果ですから〜」 |
美波 | 「私らしさを出してもらう形にすればいいんですね」 |
あずさ | 「その気持ちを忘れなければ世界はまた少し広がりますよ、フフフ」 |
美波 | 「ありがとうございます」 |
あずさの微笑みに美波もつられるように笑顔へと変わっていた… |
HAPPY BIRTHDAY!! Azusa MIURA.