ここはある日の765プロの練習スタジオ… |
真 | 「ほら、また脚が下がってるぞ」 |
愛 | 「そ、そんなこと言われてももう疲れてぇ…」 |
真 | 「これ1回やったら休憩にするから頑張って」 |
愛 | 「は、はいぃぃ…」 |
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真 | 「もうだらしないぞ愛」 |
愛 | 「こんな厳しいなんて思ってなかったんですっ…」 |
元気に受け答えしているようで、バテバテになっている愛。 |
愛 | 「本当に真さんについていくだけで精一杯です」 |
真 | 「そうだなあ…どこか動きが甘いのかな?」 |
愛 | 「そうですか?」 |
真 | 「うん、無駄な動きが多いのかもしれないな…ほら」 |
ぎゅむっ |
真は壁に手を付いて立っていた愛の右脚を持ち上げた。 |
愛 | 「うあんっ!」 |
真 | 「あ、だ、大丈夫?」 |
愛 | 「はい、ちょ、ちょっとバランスが取れなくなっちゃいそうだったんです」 |
真 | 「ほら、やっぱりそうだ」 |
愛 | 「へ?」 |
真 | 「バランスが取れないってことは、身体の軸がちょっと傾いてるんじゃないかな」 |
愛 | 「そうですか?」 |
真 | 「ちょっと片足で立ってみて」 |
愛 | 「え?あ、はい…こうですか?」 |
愛は抱えられていなかった足で立った。 |
真 | 「はい、それで目を瞑って」 |
愛 | 「目ですか?」 |
愛は言われるがままに目を閉じた。 |
真 | 「30秒、そのままだよ」 |
愛 | 「はい…………あれ?あれ?どうして…グラグラしてきてえええっ!?」 |
真 | 「まだ半分しか経ってないよ」 |
愛 | 「そんなこと言われて…うわわあっ…!」 |
真 | 「おっと!」 |
どんっ |
真は愛の身体を押さえ切れずにそのまま… |
真 | 「うわあっ!」 |
どさんっ |
愛が真に覆いかぶさる形で倒れた。 |
愛 | 「ま、真さん、すみませんっ!」 |
真 | 「ご、ゴメン、押さえられなくて」 |
愛 | 「そんなあ、アタシが悪いんですから。すぐ起きますね…その、恥ずかしいですっ」 |
真 | 「あ、う、うん。この体勢はちょっとね…」 |
愛は真の横へとその身体を転がした。 |
愛 | 「うう…あんなにバランスが取れてないなんて…」 |
真 | 「そんなもんだよ。ほら、床に寝てると髪汚れちゃうよ」 |
真は愛の頭の下に腕を差し出した。 |
愛 | 「え、いいんですか?」 |
真 | 「いいんだよ、ほら」 |
愛 | 「はい、じゃあ…」 |
ぽふっ |
愛は真の腕に頭を載せた。 |
愛 | 「フフフ、何かこうしてもらうって照れちゃいますねっ」 |
真 | 「うーん、ボクもちょっと恥ずかしいけどね。でもこういう体勢になっちゃたしさ」 |
愛 | 「でも何だか慣れてる感じがします」 |
真 | 「う…そう言われると否定できないかも…」 |
愛 | 「そうなんですか?」 |
真 | 「そういう役回りって言うのかな、うちの事務所を見れば分かるよね?」 |
愛 | 「何となく…わかる気がします」 |
真 | 「雪歩とか美希とか、あとたまにせがまれて他の人にもやったりしてるなあ」 |
愛 | 「やっぱり少し鍛えてるんですね」 |
真 | 「あ、分かる?」 |
愛 | 「ちょっと他の人の腕枕と違う感じがします」 |
真 | 「もともとトレーニングとか運動は好きだったからさ」 |
愛 | 「そうですよね、涼さんからも絵理さんからも聞いてます」 |
真 | 「だからちょっと筋肉が多いかもね、女の子としては恥ずかしいけど」 |
愛 | 「そんなことないですっ、かっこいい真さんを司ってるんですから」 |
真 | 「かっこいい…かあ…」 |
愛 | 「あ、でも…こんなこと言っていいのか分からないですけど…」 |
真 | 「ん?」 |
愛 | 「こういうの気にするところって、何だか可愛いですっ」 |
真 | 「う…い、言ってくるじゃないか愛も」 |
愛 | 「す、すみませんっ!」 |
真 | 「いや、いいんだけどさ」 |
愛 | 「でも、真さんってそう見えてやっぱり女性って感じがします」 |
真 | 「そうかな?」 |
愛 | 「涼さんとは違う薫りっていうんですか?それを感じます」 |
真 | 「ああ、そっか。身近に男の子がいるんだよね、愛のとこは」 |
愛 | 「それに…」 |
真 | 「それに?」 |
つんっ |
真 | 「ひゃあんっ!?あ、愛っ!!」 |
愛は何やらつついたようだ。 |
愛 | 「アハッ、この感触、涼さんにはありませんから」 |
真 | 「それはそうだろうけど…さあ」 |
愛 | 「でも涼さんより身体が鍛えられてる感じはしますっ」 |
真 | 「スポーツは大好きだしさ、そうなるかもしれないな」 |
愛 | 「今日だってこっちに来る時に自分の事務所に寄った時も、だらしなくしてましたよ」 |
真 | 「ああ、今度は涼も鍛えてくれって言われてたんだよなあ…」 |
愛 | 「そうなんですか?」 |
真 | 「もう少し男の子らしくしてくれってさ。でも女の子のボクに頼むって本当は変だよね…」 |
愛 | 「あ、そういえば涼さんは別のこと言われてた気がします」 |
真 | 「え?」 |
愛 | 「真さんのこと、女の子らしくしてって。確か社長がそう言ってました」 |
真 | 「うう…ドラマでそういう配役で一度やったけど…」 |
愛 | 「涼さん、楽しみにしてましたよ。今度はドラマじゃなくて現実で真さんとこういうことできるって」 |
真 | 「ああ、分かった。それについてはよろしく言っておいて」 |
愛 | 「はーい」 |
真 | 「よーし、そろそろ続きやるよ?」 |
愛 | 「はいっ」 |
愛は笑顔で先に起き上がって、真の腕を優しく引っ張っていた… |