I Replace me to our Original Position(そして元の位置に戻す)

ある日のこと…
律子「んーっ!やよいの方はどう?」
一つ伸びをした律子。その隣には…
やよい「もう少しですっ…これをこっちにやって終わりっ!と」
笑顔で汗を腕で拭ったやよいがいた。
律子「ふう、やっと片付いたわね…」
やよい「大変でしたー」
律子「これだけあったのね…移動だけでも一苦労だったわ」
やよい「これが律子さんと私の歴史なんですよね」
律子「そうなるわ。あの場所に置いておいても良かったけれど、ここは心機一転ってね」
そこに並べられているのは衣装やら小道具やらの数々。
やよい「でも私たちだけで一部屋って、本当に良かったんですか?」
律子「ええ、ちゃんと分けられるようにしてもらったから大丈夫よ」
二人だけの衣裳部屋を一部屋もらったのである。
やよい「何だか凄い感じがしますっ」
律子「これもみんなやよいの力があってこそよ」
やよい「そんなことないですっ!律子さんの力はあってこそですっ」
律子「二人で頑張ったから、こうして物も増やせたのね」
やよい「はいっ」
律子「でももうみんな私たちに負けないほどのトップアイドルだから、私たちもまたやらないとね」
やよい「そうですね、新しい気持ちで行きましょう!」
律子「やよい、今まで…待たせちゃったわね」
やよい「そんなこと…でも、嬉しいです。こうしてまた本格的に一緒にできるようになって…」
律子「今まで続けてきたやよいに負けないように、私も頑張らなくちゃ」
やよい「じゃあじゃあ私はそれ以上に頑張りますっ」
律子「やよいがそれ以上に頑張ったら私が大変になっちゃうわよ」
やよい「あっ…そうでした、えへへー」
律子「ふう…じゃあちょっと休憩してからちょっとだけだけどどうかしら?」
やよい「そうですね。ちょっとだけでも久し振りにやっちゃいましょー」
………
律子「1・2・345!」
やよい「2・2・3456!」
律子「3・23・4・5!」
やよい「4・2・3・4!」
数字に合わせて二人のシューズと床との摩擦音が聞こえている。
律子「やよいどうしたの?足が遅れてるけど」
やよい「あう…でも律子さんだって腕の動き違っちゃってますっ」
律子「う…ちょっと身体が鈍ってるわね…これは…」
やよい「それでも凄いですっ。んっ!と…プロデューサーもしてたのに殆ど間違ってないです」
律子「振付師の先生から…よっ!と…習ったりで訓練はしてたもの」
やよい「そうだったんですか!やっぱり律子さんは偉いですー」
律子「そう言われると照れるわね…」
〜♪
踊っていた曲が終わったようだ。
律子「ふう…前はこんなに息が上がらなかったのに…ちょっとやっぱり身体が鈍ってるのね…」
やよい「でもほとんどちゃんと踊れてたですっ」
律子「それにしてもこの曲も久し振りね」
やよい「最初の頃はこの曲とかで色んな場所に行っちゃいました」
律子「その頃に扱かれて…やっぱり身体に染み付いちゃってるっていうのかしら」
やよい「振りが自然と出ちゃいますっ」
律子「他の人が歌っていてもそうなっちゃうわよね」
やよい「律子さんもそうなんですか?」
律子「やよいも?」
やよい「はいっ。この前家でテレビで歌ってた真さんとかの曲で、つい振りが出ちゃって」
律子「これも職業病っていうものなのかしら…よし、次はどの曲でやりたい?」
やよい「そうですね…律子さんってこの曲は大丈夫ですか?」
律子「この曲?ちょっと待って」
軽くステップを踏み始めた律子。
律子「こっち側のパートでいいのよね?」
やよい「律子さんが好きな方で大丈夫です。私はどっちも踊れますっ」
律子「え?そうなの?」
やよい「はいっ。真美とだとこっちでしたし、雪歩さんとだとそっちでした。あとトリオの真ん中でも大丈夫ですっ」
律子「そういえばイベントとかで雪歩とか響とかともこの曲やってたわね…」
やよい「いつか律子さんとまた踊りたいなって思ってました。だからどこでも大丈夫なように両方憶えたんです」
律子「やよい…」
ぎゅうっ
律子はやよいの身体を抱き締めた。
律子「やよいって…やっぱり頑張り屋さんね」
やよい「律子さん…」
律子「こんな私のために…見えない所で頑張ってくれてて…」
やよい「だって…律子さんのためだからこそ…頑張りたいって思ったんです」
ぎゅっ
やよいも律子の身体を抱きしめ返した。
やよい「いつまたユニットとして活動できるようになっても、恥ずかしくないようにしなきゃって」
律子「もう…やよいったら…」
やよい「これからまたずっと…律子さんの隣で踊れるって考えただけで、心がブワワーってなっちゃいます」
律子「プッ…フフフ、そうなのね」
やよい「あー、律子さん笑いましたねー」
律子「久し振りにそういうやよいの言葉聞いたから…ゴメンねやよい」
やよい「うー…」
律子「ほらほら、そろそろ離れて次の曲やりましょ」
やよい「律子さんが先に私のこと抱きしめてきたんじゃないですかー」
律子「そうだったかしら?えっと…」
やよい「もー、律子さーん!」
律子「フフッ…」
チュッ
律子はやよいの頬へとそっと口付けた。
律子「これからもまたよろしくね、やよい」
チュッ
やよいも身体を伸ばして律子の頬へと口付けた。
やよい「はいっ。よろしくお願いしますっ」
ギュっ
二人は今一度、互いの気持ちを確かめ合うかのように腕の力を強めてから離れた。
律子「よし、続きやりましょ。それで私はどっちがいいかしら?」
やよい「律子さんが先に選んでください」
律子「それならそっち側を貰うわね」
やよい「私がこっち側ですね。あ…律子さん、いつものいいですか?」
律子「ええ、これが無いとやっぱり…ね」
やよい「いっきまーっす!ハイターッチ!」
パシンッ
律子・やよい『イエイッ!!』
高らかと鳴るハイタッチの音。
律子「よしっ、やりましょ。音楽行くわね」
やよい「うー、やるぞーっ!」
ピッ
♪〜
その音楽を合図に二人の弛まない足音がまた練習場へと響き始めた…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
律子とやよい、律子の誕生日SSの続きにあたる作品になります。
やよいも律子が隣にいない間、自分なりに何ができるかを考えていたと思います。
自分だからこそ力になれること、これこそ律子には最高のプレゼントだったのかもしれません。
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2012・10・31WED
飛神宮子
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