It is Remembrance that Settle Finally for IDOL(思い出のけじめ)

ここは年も末の事務所…
律子「やよいー、そっちの部屋は終わった?」
やよい「はいー、あとはこのゴミを捨ててくるだけですー」
律子「気を付けて行ってきてねー」
やよい「はーい!」
律子「プロデューサー、手を止めて何してるんですかもう」
「いや、年明けの仕事の整理してたら今年やってきた色んな仕事の資料も出てきてさ」
律子「あとはプロデューサーだけですよ、片付け終わってないの」
「そんなこと言ったってな、みんなの活躍はそう簡単に捨てられないさ」
律子「確かに簡単に処分されるのは気が引けるけど…」
やよい「ただいまですー!」
律子「おかえりやよい、もう見てよこのプロデューサーの机」
やよい「うわあプロデューサーのとこだけ凄いことになってますー」
律子「しょうがないわねもう…私たちも手伝うわよ」
「え…いいのか?」
やよい「プロデューサーが終わらないと大掃除が終わらないです」
律子「そうよ。ただでさえ大掃除に来たのが私たちだけなのに」
世間では仕事納めの日。小鳥は前日に仕事を終えて今日は有給で居ない。
「他のみんなは…そりゃ来ないか。よりによって一番来そうなのが、トップアイドルのお前たちだもんな…」
律子「そんなこと言ってないで、とりあえず過去のやつはこっちにどんどん回して」
「ああ、分かった…っと!」
ドンッ
律子の前の机へと段ボール箱が置かれた。
やよい「こ、こんなにあるんですか?」
「ああ。意外と手元に残ってたんだ」
律子「じゃあ分からない物は適宜聞くから、プロデューサーはそっちをやってて」
「了解」
律子「やよいはそっちの椅子持ってきてここに座って」
やよい「はーい」
律子「えっとまずこれは…私たちの3月のライブのね」
やよい「この時って何かありませんでしたっけ?」
律子「これ…ああっ!やよいが…」
やよい「私が…あ!私と律子さんが喧嘩しちゃったんですよね」
律子「あれは…ゴメンね。私が日付をちゃんと見ていたら良かったのに…」
やよい「私こそちゃんと言えば良かったのに、気づいて貰えなかったからって意固地になっちゃって…」
律子「でもそれも全部プロデューサーが悪いんだから」
「ああ…あれは俺も悪かったって思ってるよ」
律子「でも無事に大成功で良かったわ」
やよい「はいっ」
律子「それじゃあこれは…どう分類すればいいの?プロデューサー」
「目を通したらそっちのユニット毎のファイルに分けて収めてくれ」
律子「分かったわ」
やよい「他にもこんないっぱいあるんですね」
そのファイルにはもうたくさんの書類が挟まっていた。
律子「これだけ人数が居るんだもの、そうなるわね。それで次のこれは…あの全員でのライブツアーね」
やよい「メインだった時は大変でしたー」
律子「曲以外にも覚えることが沢山だったもの」
やよい「本番は大成功で良かったですよね」
律子「あれだけ亜美たちに無茶振りされたじゃない」
やよい「律子さんと一緒じゃなければ成功しなかったかなーって」
律子「そんなことないわ。私だってやよいがいて心強かったわ」
やよい「あの本番のフォローが無かったらって、あれは恥ずかしかったです…」
律子「あの足のもつれ方は可愛かったわよ」
やよい「律子さん、そういうこと言わないでくださいー」
律子「あの回は足のステップが複雑だった曲が多かったから仕方無かったわ」
やよい「急に律子さんにぶつかっちゃって…しかもその勢いで押し倒しちゃうなんて」
律子「あの後ちょっと大変だったわよね」
やよい「はい…」
「善永さんに頼んで何とか事なきを得たけどなあ…」
律子「でも、あれって…プロデューサー、ライブDVDとかBlu-layに入れないでって言ったのに…」
「あれはなあ…あの曲じゃなかったら入れなかったんだけど…」
やよい「あの回だけでやった曲が続いちゃったから、仕方ないですよー」
律子「カメラさんも映像で収めてるなんて、あの回は本当に…」
やよい「もう律子さん…でも…」
チュッ
やよいは律子の頬にそっと口付けをした。
やよい「終わったことですから私は気にしてないですよ」
律子「そうよね…」
チュッ
律子もやよいの頬にそっと口付けをした。
「お前たちな、人前では絶対にやるなよ。あの時の問題が再燃するんだからな」
律子・やよい「分かってますよ」 「はーい」
律子「じゃあこれは…あ、これはユニットを跨ぐわね」
「あ、ライブツアーはこっちのファイルで別にしてくれ」
律子「分かったわ」
………
律子「最後のは…」
やよい「えっと…」
二人とも書類を見た瞬間に顔を紅く染めた。
律子「プロデューサーったら…来れないって言われてたから来てくれるなんて…」
やよい「律子さんってドラマの撮影だったんですよね?」
律子「ええ。やよいの時は…あの子供向け番組だったわよね?」
やよい「はい。でも後のことで半分くらい上の空だった気がします」
律子「私の場合最初から来る予定が無かったから、帰ってからの予定だったけど…」
やよい「でも律子さんに比べたら私なんて…」
律子「そうじゃないわよ、やよい。それ以上にプロデューサーにとっては大切なアイドルを…だもの」
やよい「誕生日が来た人がみんな変わっていったのが驚きましたー」
律子「プロデューサー、本当によく小鳥さんが許しましたね?」
「あれは小鳥さんが誕生日の時に話は聞かせてもらったよ」
律子「それで…その…どうだったんですか?私たちって」
「そんな…恥ずかしいこと言わせるなって律子…」
やよい「で、でも聞いてみたいですー…」
「や、やよいまで…」
律子「ほら、女の子にこんなこと言わせてるんだから、答えてよ…プロデューサー」
「そ、そうだな…やよいは拙い感じで…律子は…どこで覚えたんだあんなの…」
律子「そ、それは雑誌とかで読んで…その…」
やよい「わ、私は一生懸命やっただけですよー…」
「でもどっちも…いや、みんな違った感じだけど…それぞれの女の子が出てたぞ…」
律子・やよい『プロデューサー…』
「二人とも可愛くて…トップアイドルにこんなことしていいのかって背徳感もあって…ってどうした二人とも」
二人はいつの間にかプロデューサーの顔の両サイドに顔を近付けていた。
律子・やよい『プロデューサー、大好きです』
チュッ チュッ
両側からの二人のキス、三人とも顔はすっかり紅く染まっていたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
今年最後のSSです。今までの幾つかのSSを回想してみました。
最初が「172:意固地の理由」、次が「204:言葉のチカラ」、最後がそれぞれの誕生日SSです。
今年は色々ありましたけど、来年は良い年になるといいですね…では良いお年を…。
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2011・12・30FRI
飛神宮子
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