P | 「雪…降ってきたな」 |
雪歩 | 「はい。でも…私を祝福してくれてるみたいで…」 |
雪歩とプロデューサー、二人はテレビの生中継を終えて車でテレビ局を出たところである。 |
雪歩 | 「あっ、でもタイヤ大丈夫ですか?」 |
P | 「ああ、これスタッドレスだから大丈夫だぞ」 |
雪歩 | 「え?でもプロデューサーってこの辺の人だったんじゃ…」 |
P | 「いや、色々遠出することもあるだろ?それに備えてな」 |
雪歩 | 「あ…納得しました…」 |
P | 「ところで寒くないか?雪歩」 |
雪歩 | 「大丈夫です…プロデューサーの隣に居るだけで…それだけで温かいです」 |
P | 「そ、そんなこと言われると照れるな」 |
そのまま車は街へと走っていく… |
P | 「ところで雪歩、お腹は空いてないか?」 |
雪歩 | 「えっと…はい、少しだけ空いちゃってますぅ…」 |
P | 「ま、収録がこの時間まで伸びたしな。今日は時間あるのか?」 |
雪歩 | 「え?えっと…はい」 |
P | 「あの店、予約してあるけど…行く?」 |
雪歩 | 「はいっ!でも…いいんですか?」 |
P | 「いいんだよ、今日はいつも頑張ってる雪歩のために俺からのささやかなプレゼントだから」 |
雪歩 | 「ありがとうございます」 |
そう、今日は12月24日。世間で言うところのクリスマスイブであると同時に雪歩の誕生日である。 |
P | 「でも最近本当に良くなってきたぞ」 |
雪歩 | 「そ、そんなことないですよぉ…」 |
P | 「いや、そんな謙遜することは無いぞ。俺が信用できないのか?」 |
雪歩 | 「いえ…でも…」 |
P | 「そこまで言うなら、そんなダメダメな雪歩にあのお店は無しにしようかな?」 |
雪歩 | 「それは嫌ですっ!」 |
P | 「え?あ、そ、そこまで大きな声を出さなくても止めないってば」 |
雪歩 | 「あ、あう…すみません…」 |
P | 「びっくりしたよ、そんな怒ってくる雪歩なんてそんなに見ないしさ」 |
雪歩 | 「だって…プロデューサーがそんなに意地悪するなんて…」 |
P | 「いや、からかっただけだからさ。許してくれる?」 |
雪歩 | 「………」 |
ぷいっ |
雪歩はそのまま反対を向いてしまった。 |
P | 「雪歩…?」 |
雪歩 | 「エヘヘ、プロデューサーがからかったお返しをしただけです」 |
と、雪歩は笑顔でプロデューサーの方へ向き直った。 |
P | 「う…こいつは一本取られたな」 |
雪歩 | 「でもプロデューサー、良かったんですか?」 |
P | 「ん?何だ?」 |
雪歩 | 「私のために、予約を取るのが大変だったと思ってたんです」 |
P | 「いいんだよ。だって大切な人のために、何かしてあげたいと思うのは当然だろ?」 |
雪歩 | 「プロデューサー…」 |
P | 「あ、行く前にちょっと歩くか?」 |
雪歩 | 「え?あ、はい…」 |
P | 「じゃあそこの駐車場に停めるからさ」 |
雪歩 | 「荷物は置いてっていいですよね?」 |
P | 「ああ」 |
|
車を駐車場に停めて、街へと並んで歩く二人 |
P | 「やっぱり綺麗だな、イルミネーションが」 |
雪歩 | 「はい…とっても」 |
P | 「…っと、寒くないか?寒かったら言ってくれ」 |
雪歩 | 「大丈夫です、プロデューサーと一緒なら温かいですから」 |
P | 「そう言われると照れるな…」 |
雪歩 | 「あ、あの…」 |
P | 「ん?何だ?」 |
雪歩 | 「プロデューサー…手、繋いでくださいっ!」 |
P | 「そ、そんな勢い良く言わなくても繋いであげるからさ。ほら」 |
雪歩の側の手を差し出すプロデューサー。 |
ギュっ |
そしてその手を握り締める雪歩 |
雪歩 | 「恥ずかしいです…けど、何だかとっても温かいです…」 |
P | 「俺も…かな」 |
雪歩 | 「………」 |
P | 「あ、あのさ雪歩」 |
雪歩 | 「……えっ?は、はい」 |
P | 「いや、こんなところで立っているのもアレだしさ」 |
雪歩 | 「す、すみませんです…」 |
P | 「謝らなくていいからさ、ほら行こうよ」 |
雪歩 | 「はい…」 |
|
道中にて… |
雪歩 | 「あっ…」 |
P | 「どうした?雪歩」 |
雪歩 | 「え、えっと…何でも無いです…」 |
P | 「ん?」 |
その視線の先には… |
P | 「分かった…うん、入ろうか」 |
雪歩 | 「いいんですか?プロデューサー」 |
P | 「ああ、まだ予約した時間には時間があるしさ」 |
雪歩 | 「ありがとうございます…」 |
……… |
店員 | 『いらっしゃいませー』 |
雑貨屋に入った二人。雪歩はそのままとあるコーナーへと向かって行った。 |
P | 「…指輪?」 |
雪歩 | 「プロデューサーとお揃いの何かが欲しかったんです」 |
P | 「…そういうことか、でもこんな安物でもいいのか?」 |
雪歩 | 「値段なんて関係ないです!」 |
P | 「ゆ、雪歩…」 |
雪歩 | 「あ、あう…す、すみません」 |
P | 「いや、いいんだよ。よし、じゃあ合うヤツ買って行こうか」 |
雪歩 | 「はい…嬉しいなあ…」 |
その時、雪歩の顔は満面の笑みとなっていた。 |
……… |
P | 「でも、本当にこんなので良かったのか?雪歩」 |
雪歩 | 「はい…プロデューサーがそばに居るだけでも良かったんです…」 |
P | 「雪歩がそれでいいって言うならいいけどさ」 |
レストランに向かう雪歩の左薬指には、お揃いのシルバーリングがイルミネーションに輝いていた… |