Not a Dream, But a Reality(夢でなく現実で)

ここは夜の事務所…
小鳥「プロデューサーさん、お疲れさまです」
「小鳥さんもお疲れさまです。どうですか?調子は」
小鳥「んー、やっぱりもう一人くらい事務員が欲しいわね」
「そうですよね、いくら律子が手伝ってくれるとはいえ…」
小鳥「アイドルにまで事務を手伝わせるのはどうかなと思うけど」
「これだけ大きくなっても雇う気は…無いんだろうなあ、きっと」
小鳥「この人数だから身の丈に…合ってると言えばそれまでなのよね」
「うーん、難しいところですね」
小鳥「でも…いいんです。その分こうして二人きりで仕事ができるんですから」
「そうです…ね」
小鳥「はい…」
二人の顔は自然と紅く染まり始めていた。
「でも俺でも予想外でしたよ、ここまで会社が大きくなるなんて」
小鳥「私もです。プロデューサーさんが来てから一変した感じで…」
「俺の力じゃないですよ、アイドルのみんなの力です」
小鳥「そうですか?私はプロデューサーさんの力だと思いますよ」
「いやいや、俺はただ魅力とかを引き出しただけですから」
小鳥「でも、引き出す力があったんだと思います」
「そうですかね?小鳥さんがそう言うなら、そうかもしれませんね」
小鳥「ふう…でも忙しいのは会社にとってはいいですけど…ちょっと辛いですね」
「そうですね…あ、コーヒー淹れてきましょうか?」
小鳥「いいですよ、私が淹れてきます」
「いいですって、たまには俺に淹れさせてくださいよ」
小鳥「そこまで言うなら…お願いしますね」
………
小鳥「ふう…とりあえずこれで明日は休みにできますね」
「まったく…ここんとこ休みが無くて、久しぶりですよこんな休暇なんて」
小鳥「本当に…社長も過労死させるつもりなんでしょうかね?」
「社長のことだから…やりかねないかもしれませんけど」
小鳥「むー…確かに。でも明日は一緒に疲れを取りましょうね」
「そうですね。留守番を頼んでる律子も、いざとなったら俺に電話するって言ってくれましたし」
小鳥「よく頼めましたね、説得大変だったでしょ?」
「確かに…でも『休み無しで過労死されても困るし』とか言って、最後は渋々納得してくれました」
小鳥「でも、律子さんなら安心ですね」
「はい。まあ明日は基本的に全員オフにはしてあるんで、問題は無いと思ってますけど」
小鳥「プロデューサーさんもなかなかやりますね」
「はい、各人の予定のやりくりが大変でしたよ」
小鳥「もうみんな、人気アイドルですものね」
「でも決めるのって、けっこうパズル的で好きなんですけどね」
小鳥「なるほど、その気持ちは分からなくもないです」
「だから埋めるのも楽しかったですよ」
小鳥「でも一人で11人の予定を決めるのは大変だったんじゃないですか?」
「そんなことないですよ。だって…」
小鳥「だって?」
「小鳥さんがいつもそばに居てくれましたから」
小鳥「そんな…恥ずかしい事言わないでください」
「でも本当に助かってますよ、支えになってくれてますから」
小鳥「そ、そうですか?」
「仕事の面でも心の面でも、頼ってしまってすみません」
小鳥「そんなことないです、私だってプロデューサーさんが居なかったら…」
「お互いさまってことですかね?」
小鳥「そうみたいですね、フフフ」
「そういえば、俺がここに入る前のみんなってどうだったんですか?」
小鳥「プロデューサーさんが入る前のみなさんですか?」
「はい、そういえばその頃のことって全然知らないですし」
小鳥「まあ今と変わってはないですね、成長はしてますけど」
「変わってないんですか…」
小鳥「でも性格は多少柔らかくなったり、ちょっとずつは変わってますよ」
「へえ、そうなんですか」
小鳥「やっぱりプロデューサーさんが来てからね、今まで男の人って社長くらいだったから」
「そういえばそうですね、確かに男性陣は俺以外だと社長くらいか」
小鳥「年齢が近い男の人が居ると、やっぱり違うみたい」
「なるほど…」
小鳥「新しい刺激っていうのかしら、いいカンフル剤ね」
「本当にそうなれているのなら…嬉しいです」
小鳥「充分なれてるわ、うん」
「ありがとうございます、何だかそう言われると照れちゃいますよ」
小鳥「フフフ、そういうところがプロデューサーさん…可愛いわよ」
「…え?」
小鳥「な、何でもないです何でもないです。あ、今日はこの後どうします?」
「そうですね…明日を休みにしましたし…とりあえず俺の部屋に行きますか?」
小鳥「…そうですね、そうしましょ」
「それじゃあ帰る準備しますか」
小鳥「そうね、それじゃあ着替えてきます」
………
ここはプロデューサーの家の寝室。
………
『小鳥さん、今日は寝かさないよ』
小鳥「えっ!?えっ!?」
あの人の手がいよいよ私の胸に伸びてきて
『この手がこれからどうなるか分かりますよね』
小鳥「え…えっと…」
『ほら…夜はまだ長いんですよ?だから…』
小鳥「きゃー!きゃー!」
………
小鳥「きゃー!きゃー!」
「あ、あの小鳥さん?」
小鳥「ふわぁっ!は、はい。何でしょう?プロデューサーさん」
「また妄想してたんですか?今度は何をです?」
小鳥「い、いえこれだけは…言えないです」
「小鳥さん!」
小鳥「えっ!?」
いつもにもなく力強く小鳥に向かうプロデューサー。
「小鳥さん妄想をするのは、もうやめにしましょうよ」
小鳥「………」
「俺では小鳥さんの妄想に勝てないですか?」
小鳥「そんなことは…そんなことはないです」
「それなら…俺を妄想するのはやめてください!だって…」
小鳥「………」
「だって、俺は小鳥さんの目の前にいるんです。それに…」
小鳥「それ…に?」
「これからもずっと小鳥さんのそばに居ようと思って、今日ここに来てもらったんですから」
小鳥「プロデューサーさん…」
「俺の苗字…貰ってくれませんか?」
小鳥「………」
ぎゅっ
ベッドに乗っているプロデューサーを抱きしめる小鳥。
小鳥「プロデューサーさん…ううん、○○○さんの苗字に私がなってもいいんですか?」
「小鳥さん以外には…渡したくはありません」
小鳥「それなら………」
チュッ
プロデューサーの唇に唇を付ける小鳥。そして、ただ一言…
小鳥「確かに…受け取りました」
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あとがき
飛神宮子です。
やよいでやったプロポーズネタ、全員分やってみようかなって思いまして。
まずはお得意の小鳥さん(私の嫁)から。
前回と違って○が3文字になっている理由?私の本名が3文字だからに決まってるじゃないですか!
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2008・07・21NAT/MON
飛神宮子
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