Reaction-heat of "Love"(『大好き』の反応熱)

ここは3月の…
やよい「みなさーん、おはようございまーす!」
プロデューサーの持っているカメラの前に立ったやよい。
やよい「さて私は…はい、ここは有名かなーって思いますけど新宿駅に来ています」
JR新宿駅を背景にして喋り始めた。
やよい「明日が私の誕生日…今回私と一緒に旅をしてくれるのは…」
やよいがキョロキョロ周りを見渡すが…
やよい「あれ?プロデューサー、どこですか?」
「え?ちょっと待ってくれ…あれ?さっきまでそこにいたのに…」
伊織「あら?もう収録始まってたの?」
やよい「伊織ちゃん、どこ行ってたの?」
伊織「ちょっとメーク直してたの。だいたいアンタがすぐに収録を始めなかったからじゃない」
「スマンスマン、ほら入ってくれよ」
やよい「はい。今日と明日一緒に旅をするのは伊織ちゃんですー」
伊織「はーい、みんなのアイドル水瀬伊織ちゃんよー」
やよい「伊織ちゃんと一緒って何だかワクワクしてドキドキしちゃうかもですー」
伊織「私も、やよいと旅が出来るなんてとっても嬉しいわ」
やよい「えっと私たちは今日と明日ここをスタートにして2つのテーマパークに行っちゃいまーす」
伊織「一つは…えっ…私たち電車に乗るの?プロデューサー」
「ん?そうだけど…何かまずいのか?」
伊織「私に恥をかかせる気?新幹線以外乗ったことないのよ?」
「そんなこと言ってもなあ…やよいは分かるよな?」
やよい「はいっ!もちろん大丈夫です」
「それなら伊織に買い方から改札の通り方まで教えてやってくれ」
やよい「分かりましたー。じゃあ気を取り直して…私たちは一日目にここからちょっと歩いて西武新宿駅から西武園ゆうえんちに行っちゃいまーす」
伊織「二日目は、また新宿から今度は京王線に乗ってピューロランドに行くことになっています」
やよい「じゃあ行こっか、伊織ちゃん」
伊織「そうね、ちゃんと教えてねやよい」
やよい「はーい!」
………
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
やよい「座れて良かったね、伊織ちゃん」
伊織「当然よ。立って行くなんてしたくないわよ…大体電車に乗るなんて思って無かったのに…」
「しょうがないだろ、駐車場代だって安くないんだから」
伊織「でもアンタ、貴音の時には持って行ったわよね」
「あれは場所が広いし交通の便もそんなに良くないから仕方なかったんだよ」
やよい「でもでも、こうやって電車乗るのも楽しいよ」
伊織「そうね…」
「そうだやよい、カメラ使うか?」
やよい「いいんですか?」
「ああ。結構時間あるからしばらく二人で撮り合ってくれていいから」
やよい「はーい」
伊織「やよい、ちょっと貸して」
やよい「どうしたの?伊織ちゃん」
伊織「やよいの誕生日でしょ?やよいが撮ってどうするのよ」
やよい「うー、でも私はそれでもいいんだよー」
伊織「でもいいの、ほら」
やよい「じゃあはい、伊織ちゃん」
伊織「ありがと。はい、電車で移動中のやよいでーす」
やよい「映ってる?やよいでーす」
伊織「ところでこれで何時に着くわけ?」
「確か、10時16分着だったな。そこからワンデーチケットを買って楽しむぞ」
伊織「そういえばやよいって…確か…」
やよい「え?」
伊織「えーっと…何でもないわ。フフフ…プロデューサー、どんなアトラクションがあるか分かる?」
「確か観覧車とか回転ブランコとかジェットコースター、あとフライングカーペットとか…バイキングもあったな」
伊織「何か速いものばっかりしか言ってないじゃない、アンタ」
「あとはベタなところでメリーゴーランドとかもあるけどな」
伊織「なるほど…じゃあまずは…一番高いところに行くのにしましょ」
やよい「え…えー…伊織ちゃんのいじわるぅ…」
伊織「あらやよい、苦手だった?」
少しニヤついて答えた伊織。
やよい「むー………」
ぷいっ
やよいはそれが不満だったのか、そっぽを向いてしまった。
伊織「あ…ゴ、ゴメンやよい…そこまで怒るなんて思わなくて…」
やよい「もう伊織ちゃんなんて知らないもん…」
伊織「やよい…本当にごめんなさい…今のは私が悪かったわ…」
やよい「本当に悪いと思ってる?」
伊織「思ってるわ…」
やよい「じゃあそのカメラ、プロデューサーに渡して?」
伊織「え?う、うん…」
やよい「プロデューサー、そのカメラそっちに向けててください」
「あ、ああ。俺の方に向けておけばいい…っ!」
ぎゅうっ チュッ
やよいはカメラが反対に向いたのを見計らって、伊織の頬を両手で押さえて口付けをした。
やよい「さっきみたいなことしたら、もうこれを最後にしちゃうからね」
伊織「やよい…」
ぎゅっ
伊織「ゴメン…ね…」
伊織は隣に座っていたやよいの身体を抱きしめた…
………
ここは新宿駅近くにあるホテル…
伊織「今日の朝はゴメンね、やよい」
部屋にベッドは二つあるものの、一つに二人で横になっている。
やよい「もういいよ、伊織ちゃん」
チュッ
やよいは伊織の頬へとキスをした。
伊織「でも今日は楽しかったわね」
やよい「明日も楽しくなるといいね」
伊織「二人なら楽しめるわ、だってやよいとだもの」
チュッ
伊織もやよいの頬へとキスをした。
伊織「ねえやよい、今日はその…ね」
ぎゅっ ぽふっ
伊織はやよいの手を自らの胸へと持っていった。
やよい「伊織ちゃん…凄くドキドキしてる…」
伊織「やよいだって…」
ぽふっ
やよい「キャッ!」
やよいは突然胸に手を置かれて驚いた。
伊織「ドキドキしてるわ…」
やよい「この気持ち…どうしたんだろう…いつもの私じゃないみたい…」
伊織「私も…こんなに近くにやよいがいるなんて…」
やよい「伊織ちゃんっ…」
伊織「やよいっ…」
ぎゅうっ
夜の帳の中、二人の身体は少しずつ熱を増していった。
その心の繋がり、それは互いの呼吸が深くなるまで途切れることはなかった…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
2012年誕生日SSシリーズ、やよいと一緒に旅するのは…伊織になりました。この組み合わせは3回目ですね。
やよいも自分の誕生日にこんなことされてちょっと不満だったのでしょう。でも最後はやっぱり仲直りしてくれました。
今回の旅は新宿を起点に2箇所。西武園ゆうえんちとサンリオピューロランド。どちらも一度ずつ行った事があります。
HAPPY BIRTHDAY!! Yayoi TAKATSUKI.
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2012・03・24SAT
飛神宮子
短編小説に戻る