11月のある日… |
清美 | 「起きてくださーい!」 |
美希 | 「え?着いたの?」 |
ここは飛行機の中。ちょうど那覇空港に降りたところのようだ。 |
清美 | 「もう1/4くらいの人は降りちゃいましたよ」 |
美希 | 「あふぅ…清美は厳しいの。まるで律子みたい」 |
清美 | 「とにかく荷物を降ろして降りますから、早く…って、早くその格好を直しなさーい」 |
よくよく見れば、美希の寝姿はだらしのないものになっていた。 |
美希 | 「分かったから、もう本当にメガネまで似てるの」 |
清美 | 「風紀委員としてこれくらいの格好は当然です」 |
美希 | 「でもさっきは自称だって言ってたの」 |
清美 | 「もうその話はいいじゃないですか!それならもう先に行っちゃいますよ」 |
美希 | 「あー待って、置いてかないでなの」 |
清美 | 「それなら早く準備してください」 |
美希 | 「ふぁーい」 |
|
空港を出て… |
美希 | 「んー!沖縄着いたーっ!」 |
清美 | 「やっぱり故郷は落ち着きますね」 |
美希 | 「うちの事務所だと響がここだから、お邪魔しますって感じなの」 |
清美 | 「美希さんの事務所にも沖縄出身の人がいるんですか?」 |
美希 | 「あの元気で動物好きで…ほら、生っすかサンデーで毎回チャレンジ企画やってる」 |
清美 | 「ああ、あの人って沖縄出身だったんですね」 |
美希 | 「そうなの」 |
清美 | 「それで今日はこれからまずはお昼ごはんを食べて…それからですね」 |
美希 | 「本当にうちの律子が小さかったら、きっと清美みたいなの」 |
清美 | 「そんなに似てるんですか?」 |
美希 | 「規律以外にも厳しいけど、似てるかなって」 |
清美 | 「そうですか。それで食事なんですけど…」 |
美希 | 「お昼ごはん楽しみなの」 |
清美 | 「市場の上でいいですか?安くて美味しいので」 |
美希 | 「ミキは清美についていくだけなの。今日はよろしくなの」 |
清美 | 「分かりました。それでは行きましょう」 |
美希 | 「それでここからどれくらいなの?」 |
清美 | 「車で10分くらいです」 |
美希 | 「沖縄料理、本場だと初めてだから楽しみかなって」 |
清美 | 「その響さん…っていう方が?」 |
美希 | 「作ってくれたことがあるよ…でもやっぱり地元だと味が違うって言ってたの」 |
清美 | 「それはそうかと思います」 |
美希 | 「清美は作れるの?」 |
清美 | 「ちょっとしたものなら大丈夫ですけど…」 |
美希 | 「家に行ったらご馳走になるの」 |
清美 | 「うう…分かりました。何とかしましょう………」 |
……… |
その夜、ここは清美の部屋。 |
美希 | 「やっぱりメガネはいらないの」 |
清美 | 「これは私のトレードマークですからっ」 |
二人は清美のベッドの上で横に並んで話していた。 |
美希 | 「でもライブの時は外すんでしょ?」 |
清美 | 「そうですけど… |
美希 | 「そのメガネって風紀委員を名乗り始めてからなんだよね?」 |
清美 | 「はい。風紀委員たるもの風紀には目を光らせて活動したかったですから」 |
美希 | 「でも自称…」 |
清美 | 「そこは言わないでください」 |
美希 | 「だけどメガネ外した顔の方が可愛くて、ミキ的には好きかなって」 |
清美 | 「そう言われても…」 |
美希 | 「アイドルなんだからそういうところを出さないと勿体ないかなって思うな」 |
清美 | 「そういえば前にプロデューサーにも言われたんです。ギャップがあった方が良いって」 |
美希 | 「確かにそれは言えるかも知れないの」 |
清美 | 「分かるんですか?」 |
美希 | 「ミキ、今はこうして金髪だけど…」 |
清美 | 「はい。でもそれって風紀的に学校は大丈夫なんです?」 |
美希 | 「ミキの学校、寛大だから許してくれてるの」 |
清美 | 「それならいいですけど…」 |
美希 | 「一時期は短くて茶髪にしていたの」 |
清美 | 「そんな大胆な…」 |
美希 | 「その頃は色々あって大変だったもん。だからギャップって何となく分かる気がするの」 |
清美 | 「ファンの人たちはどう思われたんでしょう?」 |
美希 | 「そこらへんも大変だったけど、ミキの決意って言ったら納得してくれて収まっちゃった」 |
清美 | 「そうだったんですか…」 |
美希 | 「だからギャップの付け方で売りたいっていうの、ちょっと分かるの」 |
清美 | 「それにしても…同じ歳とはやっぱり思えないです」 |
美希 | 「そうかな?」 |
清美 | 「性格もまるで違いますし、着るものとかもとても真似できないです」 |
美希 | 「確かに清美は着る物が地味過ぎだと思うな」 |
清美 | 「服とか自分で考えること、殆どありませんでしたし…」 |
美希 | 「それじゃあ明日は…明日は何か予定していたの?」 |
清美 | 「明日はまだ特には。起きた天気で決めようかなと思っていましたから」 |
美希 | 「それなら明日はミキがお店で清美の服を選んであげるの」 |
清美 | 「ええっ!?」 |
美希 | 「ミキみたいなコーデにしてあげちゃうから」 |
清美 | 「う…わ、私がですか?」 |
美希 | 「素材は良いから充分変われるって思うけど」 |
清美 | 「本当に私みたいな子なんかでいいんですか?」 |
美希 | 「清美!」 |
清美 | 「は、はいっ!?」 |
美希の突然の強い口調に驚く清美。 |
美希 | 「そんなこと思っちゃダメなの!」 |
清美 | 「えっ…?」 |
美希 | 「私なんか…ってそんな言い方はダメっ。自分をちゃんと分かって欲しいな」 |
清美 | 「私…ですか?」 |
美希 | 「清美は、きっと清美が思っている以上に可愛い女の子だよ」 |
清美 | 「そう言われるのはちょっと恥ずかしいかもしれないです」 |
美希 | 「だからもっと自信を持って欲しいな」 |
清美 | 「自信…持っていいんですね?」 |
美希 | 「うん。だから明日は期待しててね」 |
清美 | 「お店はどんなお店が良いですか?」 |
美希 | 「うーん…モールとかがあれば一番だけど…」 |
清美 | 「それなら………」 |
同い年の二人、この後もしばらくは話が止むことはなかったという… |
HAPPY BIRTHDAY!! Miki HOSHII.