An Extra Purchase(一手間の価値)

ここはとあるスタジオ…
春香「やよい行くよっ」
やよい「はいっ!春香さん」
春香「じゃあせーのっ!」
春香・やよい『クッキングスタジオ765!!』
春香「はい、今週も始まりましたクッキングスタジオ765。今週は天海春香と…」
やよい「高槻やよいでお送りしまーす」
春香「この番組は私たち765プロダクションのアイドルが」
やよい「簡単だけど一工夫で美味しくなる料理を紹介する番組です」
春香「さて今日の料理は…この材料だと何だろう?」
やよい「ジャガイモがいっぱいですね」
二人の前のザルにはたくさんのジャガイモが置いてあった。
春香「ジャガイモ料理と言えば…やよいは何が思い浮かぶ?」
やよい「ジャガイモですか?うーん、コロッケとか美味しいですよね」
春香「コロッケかあ…あとは肉じゃがとかカレーも美味しいよね」
やよい「はいっ、でもここにマヨネーズとかハムも置いてありますよ」
春香「ああっ、そっかあ。ということは今日の料理は…」
やよい「はい、こちらですっ」
テロップの表示に合わせてその方向を指差したやよい。
春香「今日はポテトサラダを作ります」
やよい「一工夫するだけで一味も二味も違うポテトサラダができますよっ」
春香「その一工夫っていうのは…これを使うんです!」
やよい「ええっ!?こんなの使っちゃうんですかぁ!?」
春香「うん。これを使うとね……」
 
春香・やよい『できましたー!』
やよい「美味しそうですー!」
春香「CMの後はお食事タイムでーす」
CMが明けて…
やよい「じゃあ…」
春香・やよい『いただきまーす』
やよい「あむっ…あれ?これって何だかレストランみたいな味ですー」
春香「はむっ…あっ、本当だねやよい」
やよい「エヘヘ、でもあんまりレストランって行ったこと無いんですけど…」
春香「やよい、そういうことをあんまりこういうテレビで言うのはどうかなあ」
やよい「あ、ゴメンなさいです」
春香「そんな、謝らなくてもいいのに…」
やよい「でも本当にこれ、普段家で作るのとは全然違う感じです」
春香「えっと…このレシピを考えたのはホテルのレストランで料理を作っていた人なんだって」
やよい「そうなんですか?あむっ…だからこんなに上品な味なんですね」
春香「そうかもしれないね…はむっ…」
やよい「でもあんな簡単なことでできるなら、家でも家族みんなに作ってあげれそうです」
春香「私も今度家族に作ってあげようかなあ、フフフっ」
やよい「はい、今日のレシピはホームページの方にこの後すぐ掲載されますっ」
春香「URLはここに表示されているアドレスです」
やよい「実際に作ってみた感想なんかも送ってくれると嬉しいですー」
春香「たくさんのアクセス、お待ちしてますっ」
やよい「今週のクッキングスタジオ765はここまでですー」
春香「来週は…我那覇響ちゃんとと水瀬伊織ちゃんがお送りします」
やよい「それではー」
春香『バイバーイ!』
二人の挨拶とともにカメラが離れていき番組の収録が終わった。
スタッフ『天海さん、高槻さん、おつかれさまでしたー。収録は終わりですー』
春香「おつかれさまでしたっ」
やよい「おつかれさまでしたー!」
二人は座っていた椅子から立って、スタッフへと挨拶を交わした。
スタッフ『このコンビっていうのも何だか新鮮だねぇ』
春香「そうですね、普段は別々のユニットですし…やよいとやるのって新鮮かもしれないですね」
やよい「この前一緒だったのって、事務所の合同企画でしたよね」
春香「そんなになっちゃうかあ…うん、あの時以来かな?」
スタッフ『でも手際も良かったし、チームワークもばっちりだったね』
春香「それはもう…ね、やよい」
やよい「はいっ」
春香「同じ事務所の仲間ですから」
スタッフ『ほう…自信を持って言ってくれるねぇ』
春香「実の家族と同じくらいの仲って言ってもいいかもしれないです」
やよい「そうですよね、みんな家族みたいに仲がいいですっ」
「ディレクターさん、今日もありがとうございました。おつかれさま、春香、やよい」
春香「プロデューサーさん、おつかれさまでした」
やよい「プロデューサー!はい、今日作った料理ですっ」
やよいはポテトサラダが入ったサラダボウルをプロデューサーへ手渡した。
「うん…ぱくっ…お、この味はちょっと余所行きな感じだな」
やよい「はい、簡単なことでこれだけ変わっちゃうってビックリしました」
スタッフ『これはなかなかいいレシピでね、今回特別に教えて貰ったんだよ』
「これは俺もぜひ家で試してみたいな」
春香「プロデューサーさんは小鳥さんに作ってもらったらどうですかっ?」
やよい「もしかして今頃これを見ながら作ってると思いますー」
スタッフ『こらこら二人とも、大人をそうやってからかったらダメじゃないか』
「いいんですよ、ディレクターさん」
やよい「あ、ディレクターさん。これって持ち帰っちゃってもいいですか?」
スタッフ『ん?今日作ったポテトサラダかい?』
やよい「はいっ。弟たちにも食べさせてあげたいんですっ」
スタッフ『それならそうだな…来週までにそのタッパーを返してくれるかい?』
やよい「来週までですか?うー、来週まで…」
「やよい、どうした?」
やよい「プロデューサー、来週までにこの放送局で番組とかってありますか?」
「ああ、返しに来る機会があるかってことか。ちょっと待ってな…」
プロデューサーはポケットから手帳を取り出してめくり始めた。
「えっと…あ、やよいはないけどあるぞ。貴音と雪歩が番組収録で来ることになってる」
スタッフ『よし、それなら全部持ってっていいよ。リハの分もあるから、あんまり一杯だとスタッフでも食べきれるか分からないしさ』
春香「良かったね、やよい」
やよい「はいっ!ありがとうございますっ」
スタッフ『それは今スタッフに詰めておいてもらうから、二人とも着替えてきたらどうかな?』
春香「そうですね、じゃあ行こっかやよい」
やよい「春香さん、行きましょー!」
スタジオから楽屋に歩き始めたその刹那…
春香「ふわあっ!?」
ツルッ どんがらがっしゃーん
何も無いところで盛大に転んだ春香。
「大丈夫か?春香」
やよい「大丈夫ですか?春香さん」
春香「うう…大丈夫です…最後の最後で締まらないなあ、私って」
「やれやれ…こういうところが何だか春香らしいな」
そう言いながらプロデューサーは優しく春香の腕を引っ張り上げていたという…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
どもっ、飛神宮子です。
春香強化期間、今回はやよいです。
何となく最近流行りの料理をさせてみましたが…やっぱり最後は春香らしく。
でもどうみても次の回の二人が心配すぎる組み合わせ…(確かアニメの『NoMake』でそういう場面があった気が…)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2012・07・31TUE
飛神宮子
短編小説に戻る