February Present(梅見月の贈り物)

ここはとある日の…
亜美「兄ちゃん、お客さんどんくらい?」
楽屋用の部屋のようだ。亜美と…
「席に座っているのは150人だぞ。整理券配っているからさ」
亜美「インストアライブだしそれでもぎゅうぎゅうっしょ?」
「そうだな。こういうファンと近いところでやるのも久しぶりかな?」
亜美「そだねー。それで歌うのはこの2曲だよね?」
「ああ。美希の分も頑張ってくれよ」
亜美「りょーかいっ」
「水谷さんもね」
絵理「はい…今日はすみません」
そこには絵理もいたようだ。
「どうしたんだい?」
絵理「わたしまで面倒みてもらうことになったから…」
「いいんだよ。一緒に練習したんだし」
亜美「そーだよ、おねーちゃん」
絵理「うん…」
亜美「終わった後ってあれもあるんだっけ」
絵理「手渡し…緊張する…」
亜美「大丈夫だよ、みんな亜美たちのファンだもん。変なことはしないよ」
絵理「亜美ちゃんは慣れてる?」
亜美「んー、もしかしたらおねーちゃんよりちょっとは慣れてるかもねー」
絵理「こういうところってあまり経験が無いから…」
亜美「そーなの?」
絵理「まだやったことが無いかな」
亜美「でも亜美と一緒なら大丈夫だよん」
絵理「ん…頑張る…」
亜美「そーいえばおねーちゃんと一緒って初めてだっけ?」
絵理「そうかも…真美ちゃんととか二人とも一緒だったってことはあったかもしれないけど」
「そうだったけか…?あー、そうかもしれないな」
亜美「真美は今日はあっちだもんね」
「ラジオは簡単に動かせるものじゃないし、それに今回のCDは参加してないだろ?」
亜美「あ、そだった。でも亜美で良かったの?」
「俺も迷ったんだけどな。曲調からして秋月さんに充てるなら元気な子の方がって思ってさ」
絵理「わたしは前に…765プロに用事があって来た時に決まったから…」
「あー、そういえばそうだったなあ。急に決めちゃったけどいい感じに仕上がってくれて良かったよ」
絵理「ありがとうございます…」
「水谷さんは秋月さんのパートの方は大丈夫かい?」
絵理「涼さんにはちゃんと教えてもらいましたから、大丈夫…」
「765プロの練習室で合わせた時に大丈夫だったから、それを出してくれれば充分だからね」
絵理「はいっ…」
「さて、そろそろ時間かな?」
コンコン
スタッフ『そろそろ時間ですがよろしいでしょうかー?』
「お、ちょうど来たみたいだ。行こうか」
………
亜美「兄ちゃん、ありがとねー。はいっこれは亜美たちからね」
絵理「ありがとうございます…これはわたしたちからです…」
ミニライブ後の握手会、何やらサインと一緒に手渡しているようだ。
亜美「兄ちゃんこの場で開けちゃダメだよー」
絵理「味は…大丈夫だと思いますから…」
この日はバレンタインデーに一番近い土曜日だったのである。
亜美「亜美たちが一生懸命作ってきたからねー。ね、絵理おねーちゃん」
絵理「うん…大変だったね亜美ちゃん」
亜美「ん?もしかして兄ちゃんたち、この手作りっていうの信用してないー?」
会場にはたくさんの頷く仕草をする人たち。
亜美「それじゃあ、スタッフの兄ちゃんお願いっ!」
スタッフが手渡し会場の横のスクリーンに何かを映し出した。
絵理「これは昨日、亜美ちゃんと作っていたところを撮ってもらった…」
亜美「はるるんと涼おねーちゃんが厳しかったんだよー」
絵理「料理には妥協しない…?」
亜美「そうだよねー、2回も作り直させられたもん」
絵理「涼さんもそうとう熱が入ってた…」
亜美「あ、中身もう分かっちゃったね。これの中身はチョコクッキーだよん」
絵理「帰る前に…みんな開けてもらう…」
亜美「あれ?そだっけ?」
絵理「亜美ちゃん…」
亜美「あー、忘れてたよん。その中に当たりが6つあるんだよ」
絵理「それが入っていた人は…後で良い物が届くから…」
亜美「何が届くかはお楽しみだかんね」
絵理「今回CDに入ってる、765と876の6人の誰かからです…」
亜美「当たった人は後でアニメコーナーにいる店員さん…えっと誰だっけ?」
絵理「緑と青の縞模様のエプロンの人…」
後ろのそのコーナーで手を振っている店員が一人。
亜美「うん、あのメガネ掛けてあのエプロンした兄ちゃんに、終わってから1時間以内に連絡先を教えてあげてね」
絵理「待ってます…」
………
亜美「ふー、終わったぁ…」
絵理「疲れました…」
「二人ともおつかれ、ステージの出来は上々だったな」
亜美「兄ちゃん、ステージ『も』っしょ?」
「亜美は段取りを忘れてたじゃないか…まったく」
亜美「あー、そーだっけか」
「水谷さん、フォローありがとうね」
絵理「私はその…はい」
亜美「でも今日のステージはおねーちゃんのおかげだよー」
絵理「わたしは亜美ちゃんのおかげだと思う…」
「お互いそう言えるのは二人とも良かったってことだよ」
亜美「うんうん」
絵理「はい…」
「よし、連絡先をもらったら帰ることになるけど…」
亜美「兄ちゃん、この恰好のまま?」
「うーん…シャワーは無いだろうし…二人ともちょっと我慢できるか?」
絵理「どういう…」
「いや、上着だけ着てもらってうちの事務所のシャワー使ってもらおうかなって」
亜美「亜美はそれでもいいけど…おねーちゃんは?」
絵理「このままだと帰り辛いし…はい」
「よし、それでいこうか。帰りは家まで送るからさ」
亜美「わーい」
絵理「いいんですか?」
「それくらいは構わないさ」
二つのほっとした笑顔に、プロデューサーも笑顔を返していた。
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
バレンタイン系のイベントの話。
亜美と絵理、CDの話の元は絵理と美希のSSから繋がっています。
ちなみに梅見月は陰暦の2月の意味です。
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2013・02・19TUE
飛神宮子
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