Outgeneral Prescribed Course(規定路線の術中)

ここは9月も頭の方の…
律子「え?どうして私なんですか?」
小鳥「そんなこと言ったって、最初から私じゃ誰のことか分からないでしょ?律子さん」
律子「でもですね…主役は小鳥さんじゃないですか」
小鳥「そうねえ…でもここはまずお願いっ」
律子「分かりましたよ。じゃあまずはお願いしますね」
小鳥は律子へとカメラを向けた。
律子「はい、こんにちは秋月律子です。今日はここ、秋葉原に来ています」
律子はカメラに向けて喋り始めた。
律子「前に私とやよいの時の旅行風景を見た方は分かると思いますけど、今日は誕生日の旅行です」
律子は少し歩きながら語り続けた。
律子「とは言っても、当然ですが季節はもう晩夏といえるくらいの時期。私の誕生日ではありません」
律子は小鳥を手招きした。
律子「カメラ貸してください、小鳥さん」
小鳥「はい、律子さん」
律子「今回の誕生日の方は…」
律子は小鳥へとカメラを向けた。
小鳥「はい、765プロで事務員をさせて貰っています、音無小鳥です」
律子「この小鳥さんの誕生日なんです。真美の映像を先に見た人はもうどんな人かは知ってますね?」
小鳥「5月に真美ちゃんとは新潟に行きましたね、自然が楽しめて良かったわ」
律子「はい。今日と明日、小鳥さんと私で都内を旅します」
小鳥「今日はここ秋葉原と神田…」
律子「明日は上野と浅草に行こうと思っていますけど、もうちょっと回るかもしれません」
小鳥「都内だから行ける所はもう少し行くかもしれないわね」
律子「さて、今日はまずどこに…って嫌な予感がするんですけど…」
小鳥「そ、そんなことはないわよ。もう律子さん、いくら私がそうだからって」
律子「そこまで言うなら普段の行動から改めてくださいって」
小鳥「う…善処するわ。でも今日は私の自由にさせてね」
律子「それは…いいですよ。それでどこに行くんですか?」
小鳥「えっとこの先にあるメイド喫茶よ」
小鳥は店に向かって歩き始めたようだ。それに付いて行く律子。
律子「え…それは本気ですか?」
小鳥「もちろんよ。律子さんは興味は…なさそうね」
律子「でも今後の活動の参考には…なるかしら」
小鳥「どうかしらね?でも…」
小鳥は律子からカメラを返してもらい、再び律子が画面へと映り始めた。
小鳥「律子さんのメイド姿は秋のま〜ちで前に披露したわよね」
律子「あー、ありました。私が緑でやよいがオレンジでしたね」
小鳥「あの時はどうだったかしら?」
律子「何かああいう恰好って新鮮でしたよ。最初は少し恥ずかしかったですけど」
小鳥「そうね、普段はすることがないもの」
律子「でもああいうスカートでの動きが学べて良かったかなと。袴の衣装の時も役立ちましたから」
小鳥「あれも良かったわ〜。律子さんもやよいちゃんも何だか凛々しい感じだったわね」
律子「そういえば小鳥さんの分もあるんですよね?」
小鳥「あ、え、ええ…あるわよ」
律子「…その言い方からして、着たんですね?」
小鳥「そういうことに…なるかしら。ほ、ほらもうすぐ着くわよ」
律子「もう、そうやって誤魔化して。夜にゆっくり聞かせてもらいます」
小鳥「ええ、それくらいならいいわ」
………
ここはその日の夜の…
小鳥「ふう…今日は疲れたわね」
律子「まったく、どれだけ買うんですか。秋葉原でも神田でも…」
小鳥「だって今日の泊まる場所が自宅になるって決まってたから…」
そう、ここは小鳥の自宅である。
律子「今日は誕生日ということで諌めましたけど」
小鳥「でもいい物がいっぱい買えちゃったわ」
律子「どんな物を買ったんですか?」
小鳥「昔入手し損ねた本がほとんどね、例えば…これとか」
買ってきた物から一冊本を見せる小鳥
律子「…これ、私だからいいですけど…その…セクハラで訴えても…いいですか?」
小鳥「え?」
よく見るとそれはかなりドぎつい描写の、いわゆる百合本であった。
小鳥「ああっ、こ、これを見せるつもりじゃなかったのよ?律子さん」
律子「でも…昔も今も…こういうのって変わらないんですね…」
小鳥「そう言うってことは、律子さんも読んだ事はあるのね?」
律子「…読んだ事が無いと言うと嘘になりますけど…」
二人でそのままパラパラと読み進めていく。そしてとあるページでそれが止まった。
律子「うわ…これってあの…この前やよいと…」
律子はつい口を滑らせてしまったようだ。
小鳥「え?今何て?」
律子「やよ…ああっ!な、何でもないです!忘れてください小鳥さん!」
小鳥「ふうん、そんなことしてたの…あの日よね?」
律子「むう…そうですよ」
少し顔を赤らめた律子。
小鳥「どうだったの?やよいちゃんは」
律子「え、えっと…って何を話させるんですかっ!」
小鳥「でもやよいちゃんって、律子さんの誕生日の時からまた一段と変わったわよね」
律子「はい…最高のパートナーが傍に戻ってきてくれましたから」
小鳥「やよいちゃん、パワーは活動縮小前以上かしら」
律子「私も何か活力液になったみたいで、プロデュース活動もやっぱり変わりました」
小鳥「でも忙しさで身体だけは壊さないようにね」
律子「大丈夫です、もうあの子達の夏休みも終わりましたから。しばらくはゆっくり出来そうです」
小鳥「ええ、期待してるわ。それでこれ…やよいちゃんとやったの?」
律子「話を戻さないで下さいっ。え、えっと…はい。時間を取り戻すことと、嬉しさが一杯で…」
小鳥「律子さんもやよいちゃんも大胆なのね」
律子「そ、そういう小鳥さんは真美とはどうだったんですか?」
小鳥「え?あ、そうね…」
小鳥はパラパラとその本をめくった。
小鳥「基本的には甘えられていただけだから。でも…こういうのはされちゃったし、こういうのはしちゃってたわね」
律子「それなら小鳥さんも一緒じゃないですか」
小鳥「私なんて第一希望に選んでくれる人なんて…いないと思ったの。だから嬉しかったのかもしれないわ」
律子「そういうことだったんですか…後で真美に聞きましたよ。小鳥さんが大人な女性だったって」
小鳥「フフフ、そう言ってもらえると嬉しいわ」
律子「それにしても小鳥さん、あの部屋で普段はプロデューサーと…」
小鳥「ええ…今日というか今週はプロデューサーさん出張だから…」
ぎゅうっ
律子「えっ?!」
小鳥は隣にいた律子を抱き締めた。
小鳥「律子さん…分かってるわ」
律子「な、何がですかっ」
小鳥「さっきのを見て…フフフ、火照ってるわよ」
律子「えっ…」
律子はその時ようやく自分の身体が少し紅くなっていることに気が付いた。
小鳥「今日は大人の味…どうかしら?」
律子「でも…」
小鳥「やよいちゃんの時とは違うテクニック…感じてみたいでしょ?だってもう…」
小鳥の手が律子のとある場所へと伸びていった。
律子「ひゃんっ!」
小鳥「もうこんなになっちゃってるわよ」
律子「う…もう小鳥さんの好きにしてください。但し…」
小鳥「但し?」
律子「それ相応の反撃はしますからね」
小鳥「ええ。じゃあそろそろ横になりましょ。明日も今日の続きがあるものね」
律子は結局のところほとんど反撃する余地もなく、その小鳥の時には繊細、時には大胆なテクニックに落とされていったという…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
2012年誕生日SSシリーズ、小鳥さんと旅するのは…律子の事務員コンビでした。
珍しく小鳥さんが律子を振り回しています。最後はやっぱり大人の貫録勝ちといったところでしょうか
これが実は自サイト11周年記念SSです…いいのかな、こんなので(苦笑)
HAPPY BIRTHDAY!! Kotori OTONASHI.
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2012・09・03MON
飛神宮子
短編小説に戻る