Precede Word(前に置く言葉)

「キャッチフレーズですか?」
社長「言ってしまえばそういうことだな」
「それはアピールポイントみたいな物なのでしょうか?」
社長「うむ、それとは少し違うのではないかね?」
「それは…?」
社長「どんなユニットかを一言で表すと言った方が良いかね」
「なるほど、そういうことですか」
社長「各ユニットごとに考えてみてはくれないかね?」
「分かりました」
………
「うーむ、そう言われたものの難しいな…」
律子「何を考えてるんですか?プロデューサー」
「あ、律子か。ちょっとな」
やよい「プロデューサー…んー?いっぱい言葉が並んでますー」
律子「本当ねやよい、これもしかして…」
「そうだよ。キャッチフレーズを考えてたんだ」
やよい「どうしてですか?」
「何か社長が急に考えてくれと言ってきたんだけど…」
律子「ふうん…社長はいつも突発的に思いつきますからね」
「だからなあ…それでいっつも困らされるわけだけど」
律子「それで、考え付いた?」
「結構難しいものでなあ…これが」
律子「確かに難しいわよね、4ユニット分でしょ?」
「ああ、一応Venusは考え付いてるけど」
やよい「どんなのなんですかー?」
「『あなたの女神[Venus]になりたい』って感じなんだけどどうかな?」
律子「いいんじゃないかしら、でも真のイメージに合うかしら?」
やよい「でもでも、とっても素敵ですー」
「真と伊織だからちょっと迷ったんだけどなあ」
律子「まあ真も女の子だし、喜ぶとは思うけどね」
「お、悪くないってことか?」
やよい「私は良いと思いますー」
「よし、とりあえずVenusはこれで決定にするか」
律子「さて、あとは3つね」
「ああ…それぞれ個性的だから難しいんだよな」
律子「まあ私たちは私たちで考えてみるわね」
「ありがとうな、じゃあ俺は残り二組を考えてみるから」
………
「春香と雪歩と千早だろ…うーん、難しいな…」
律子「そうかしら?」
「ん?律子、何かあるのか?」
律子「あの、この3人って国旗の3色から付けたのよね?」
「ああ。本当はフランスにしようかと思ったけど、単純すぎる気がしてやめたんだがな」
律子「どうしてそうしたかなあ…まったく」
「ま、そこはそれさ」
律子「でもチェコなら…一つだけ良いのがあるわよ」
「え?」
律子「チェコと言えば…ガラス細工が有名なのよ」
「へえ、そうなんだ…」
律子「だからさ、『繊細で透き通った歌声をあなたに』でどう?」
「なるほど、そうきたか…」
律子「ふうん、何だか不満そうね」
「俺だったら『壊れないように守って』かな」
律子「んー…プロデューサーのセンスって侮れないのよね」
「でも律子の方が良いかなあ…個人的には」
律子「一応両方候補に入れておいたら?」
「そうだな…ってそっちは考え付いたのか?」
律子「そうねえ、自分たちのとなると逆に難しくて」
「4ユニット中、唯一名詞単独じゃないからな」
律子「しかも季節が付いてるから、変に変えられないし」
「ユニット名を考えた時は良いと思ったんだけどな」
律子「私たちも大好きよ、このユニット名はね」
「でもこういう時はちょっと大変になっちゃうよな…」
律子「まあしょうがないわね」
「あ!いいのが思いついた」
律子「え?」
「二人の性格と年齢差から考えたんだけど…」
律子「性格とか言われると、何だか嫌な予感しかしないのよね…」
「いやいや、『Steady & Active Sisters』ってどう?」
律子「うーん…姉妹でいいのかしら?」
「良いと思うよ。俺の中では一番仲が良いと思うデュオだしさ」
律子「プロデューサーがそう言うならいいけど…でもシスターって響きはいいかも」
「あとはやよいがきちんと覚えてくれればいいんだけどさ」
律子「大丈夫よ、それは私がきっちりとやるわ」
「お、やってくれるのか?」
律子「それはもちろんやるわよ。憶えてくれなきゃ困るからね」
「で、俺の考えでいくのか?」
律子「そうね…とりあえず、『Sisters』のところを使ってもう少し練ってみるわ」
「ん、出来たらこっちに頼むな」
………
「残るはE139か…ここも個性的な3人だもんなあ…」
プロデューサーはさらに頭を悩ませている。
「年齢にもスタイルにも統一感があるわけでも無いしなあ…」
小鳥「あら?キャッチフレーズを作ってるんですか?」
「あ、小鳥さん。はい、とりあえず残るはE139だけなんです」
小鳥「E139ですかあ…はあ確かに3人が一緒のポイントとなると難しいですねえ…」
「何かいい案ありませんか?」
小鳥「むー…そうですねえ…」
「なかなか難しいですよね?」
小鳥「確かに…でも、んー…こんなのはどうでしょ?」
「こんなのとは?」
小鳥「『イ・ヤ・ス?イ・ヤ・サ・レ・ル?』って感じで対になる言葉で攻めてみるって感じで」
「そのアイディア頂きます!」
小鳥「これだけ難しいなら、両方の要素を入れるのが一番かなって」
「そうですね、その基本を忘れてましたよ」
小鳥「お役に立てたのかしら?」
「はい、この線でもう少し練ってみますよ」
小鳥「頑張ってください。あ、今コーヒーを淹れてきますね」
「あ、ありがとうございます」
あまりに凝りすぎて、社長への説明を手間取ったと言うのはまた別の話である…
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あとがき
ども、飛神宮子です。
3週ぶりのSSですみません、本当に。
キャッチコピーって難しいですねえ…自分の作ったユニットなのに(苦笑)
でもやっぱり思い入れがありますよ、最初に作ったのは。
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2008・10・07TUE
飛神宮子
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