Rice Porridge with Seven Herbs(七草粥)

グツグツグツグツグツ
何やら給湯室から何かを煮ている音が響き渡っている765プロ。
小鳥「ふんふふ〜ん♪」
どうやらこの鼻歌は小鳥さんの物のようだ。
小鳥「今日は全員そろっての出勤日だから、みんなに食べてもらいましょ」
どうやら、この鍋の中の物が何か関係しているようだ。
小鳥「ドアにちゃんと貼り紙はしたし、みんな来てくれるわよね」
…用意周到のようですね、小鳥さん。と、そこに…
「おはようございます、小鳥さん。どうしたんですか?あれ」
小鳥「おはようございます、プロデューサーさん」
「あれ?この鍋は…」
小鳥「はい、まずはこれを一杯どうぞ」
渡されたお椀の中には…
小鳥「プロデューサーさんのことだから、食べてないでしょ?」
「なるほど…七草粥ですか」
小鳥「今日は1月7日ですからね。はい、塩味はお好みで付けてください」
プロデューサーへ塩を渡す小鳥。
「ありがとうございます」
小鳥「どうぞ召し上がれ」
「うん、美味しいですよ。やっぱり朝からこういうのもいいですね」
小鳥「朝ご飯はどうしたんです?」
「さすがにトースト1枚じゃどうにもなりませんよ」
小鳥「もっとちゃんと食べなきゃダメですよ、もう…」
「すみません…小鳥さんが朝ご飯を作ってくれたらいいんですけど…」
小鳥「そんなこと言ったら本当に行っちゃいますよ」
「それは逆にありがたいなあ」
そんなことを言っていると…
律子「小鳥さん、何なんですかあれは?」
小鳥「あらおはよう、律子さん」
律子「…って、そっか。今日は七草だったわね」
小鳥「そうよ。はい、これ食べてから仕事に入って。塩はプロデューサーさんから貰って」
「ほい、律子」
律子「ありがとうございます。でもこんなに作ったんですか?」
小鳥「みんなに食べてもらうならこれくらい作らないと。それにお粥だから実際はそんなにないわよ」
律子「まあでも、こういう縁起物は戴いて悪い気はしないわ」
さて次に来たのは…
「おっはようございまーす!」
雪歩「おはようございます…音無さん」
律子「あら?揃って出勤だなんてどうしたのかしら?」
「な、何でもないって律子。事務所近くで偶然一緒になっただけだよ」
律子「ふーん、そうかしらねえ…」
雪歩「本当です律子さん。でもあの貼り紙はどうしたんですか?音無さん」
小鳥「はい、二人ともこれ食べて。1杯なら大丈夫よね?」
「わあ!お粥…あ、七草粥かあ」
雪歩「美味しそう…」
小鳥「塩は律子さんにもらってね」
「はいっ」
雪歩「ふー…ふー…美味しい…」
小鳥「良かったわ。んー、でもここじゃちょっと狭いかしら」
「そうですね。ガスコンロ持って会議室でも行きますか?」
律子「ダメよ、あそこは警報機があるんだから」
「あ、そうか。じゃあここで受け取ってそこで食べてもらう形にするか」
「それでいいと思います。プロデューサー、鍵は開いてますか?」
「いや、あのうちの鍵が全部ある場所分かるか?」
雪歩「あの場所ですよね?私知ってます。行こっ、真ちゃん」
「そうだね。律子も一緒に行こうよ」
律子「そうね。じゃ、向こうのお椀は私が随時こっちに持ってくるわ」
「ん、了解」
 
そして3人が行った後に来たのは…
千早「おはようございます、音無さん…と、プロデューサー。どうして今日は給湯室に?」
「おはよう千早」
小鳥「おはよう千早ちゃん。はい、これね」
千早「これは…お粥ですよね?」
小鳥「千早ちゃん、食べたことはあるわよね?」
千早「そうですか、今日は7日でしたね」
小鳥「だから作ってみたの。会議室でみんなが食べてるはずだから」
千早「そうなんですか?プロデューサー」
「ああ。律子に真、あと雪歩もそっちに行ってるぞ」
千早「それなら私もそちらに行ってきます」
 
千早が去りし次に来たるは…
伊織「まったく…アレは何なのよ、小鳥」
「おはよう伊織。まあまあとりあえずこれでも食べて落ち着いてくれ」
伊織「え?何よこのお粥は」
小鳥「あら?食べたことは…さすがに無いのかしらね」
伊織「分かったわよ、食べればいいんでしょこの七草粥」
「そういうことだ、分かってるんじゃないか。会議室にみんな居るからテーブルが必要ならそっちで食べてな」
伊織「はいはい。プロデューサー、冷蔵庫からコップにアレ1杯入れて」
「ん、分かった」
ガタンっ トクトクトクトクトク
冷蔵庫の中からオレンジジュースを取り出してコップへと注ぐプロデューサー。
「はい、これくらいでいいよな?」
伊織「分かってるじゃない」
 
伊織が給湯室からいなくなって数分後…
あずさ「おはようございます〜」
「おはようございます、あずささん」
あずさ「今日はまずこちらに来るように貼り紙があったんですけど〜」
小鳥「おはようございます、あずささん。どうぞこれを召し上がってください」
あずさ「あらあらぁ、朝からお粥ですか〜。しかもこんなに具が沢山なんて食べられるかしら〜?」
「お粥って言ったってそんなに量があるわけでもないですから、大丈夫ですって」
あずさ「でも立ってたら食べにくいわね〜」
「みんな会議室にいるんで、食べるならそっちでお願いします」
あずさ「分かりました〜」
 
そしてあずさの次にきたのは…
亜美「おっはよ〜ん!ピヨちゃん」
真美「ピヨちゃーん、給湯室に何があんのー?」
「おはよう亜美に真美。ほら、小鳥さん特製の七草粥だぞ」
亜美「うげー、七草って食べられんの?」
小鳥「食べられなかったら昔から食べられているわけないでしょう?」
真美「そだね。でもピヨちゃん朝から作ってたの?」
小鳥「ええ。せっかく今日がみんな揃った初の出勤日だし、いい機会でしょ?」
亜美「あんがとー、他のみんなは?」
「会議室で食べてると思うぞ。あ、どっちかでいいからポットを持って行ってくれないか?」
真美「分かったー、亜美行こっ!」
亜美「そだね、じゃ亜美がお粥持ってくから真美はポットね」
真美「んー、りょーかい」
 
2人の次には…
やよい「おはようございますっ!小鳥さん」
小鳥「おはようやよいちゃん。今日は朝ご飯は食べてきたかしら?」
やよい「はいっ、でもまだちょっと足りないかなーって」
小鳥「それならちょうど良かったわ。はい、これ食べて」
やよい「うわー!七草粥ですね。事務所でも食べられるなんて幸せですー」
「と言うことは、今日の朝ご飯は七草粥だったのか?」
やよい「はいっ!お粥だとお米が少なくて済みますし、具が入ればそれでまた量が増えますから」
小鳥「あら…それなら悪いことしちゃったかしら?」
やよい「でもでも、小鳥さんが作ってくれたならきっと美味しいです。だからいただきますっ!」
「本当にやよいは良い子だな…会議室にみんないるから、食べるならそっちでな」
やよい「はーい」
 
さてさて、お粥も残すは4、5杯分と言ったところか…
美希「あふぅ…小鳥、アレ何なの?」
「美希、その前にあいさつくらいきちんとしろよな」
美希「おはようございますなの、あふぅ。それでアレってどうしたの?」
小鳥「はい、これ食べてシャキッとしなさい、美希ちゃん」
美希「お粥…お米…これ、美希が食べていいの?」
「ああ、小鳥さん特製の七草粥だぞ」
美希「よく分かんないけど、朝ご飯代わりに食べることにするの」
「あのなあ…まあいいか。みんな会議室で食べているからそっちで食ってくれ」
美希「分かったの〜」
 
その美希の後に2人…
貴音「おはようございます、小鳥殿」
「はいさーい!アレは何なんだ?小鳥」
小鳥「おはよう、貴音ちゃんに響ちゃん」
「お、何か煮てるのか?」
貴音「これは…今日食べると良いと言われている粥ですわね」
「小鳥さんのお手製だ。二人とも食べてくれるよな?」
「もちろんさ。だよな?貴音」
貴音「ええ、折角の縁起物ですから。戴けるのならば戴きましょう」
「みんな会議室で食べてるから、そこで食べてくれ。塩もそっちにあるから、足りなかったらそれでな」
貴音「それでは、参りましょう響」
「そうだな貴音」
 
ん?あと誰か一人いたような…
小鳥「あとこれは社長の分に取っておくとして…あと1人居ません?分量的にもう1人分あるんですけど…」
「小鳥さんは食べたんですよね?」
小鳥「はい。一番最初に味見も兼ねて1杯分は食べましたよ」
「それならあと1人分は…」
そこに入ってきたのは…
春香「はあ…はあ…すみません、電車1本乗れなくて遅れちゃいました」
「ほら来ましたよ、最後の1人が」
小鳥「なるほど、すっかり来てたものだと思ってたわ」
「と言うことは朝ご飯食べてないのか?」
春香「一応駅でパンだけは買って食べましたけど…まだちょっと…」
小鳥「はい、春香ちゃん。これで足しになればいいけど」
春香「わあ、七草粥ですね。ちょうど良かったです」
「ここじゃ食べにくいだろうから、会議室で食べて来い。みんな来てるぞ」
春香「分かりました、じゃあ行ってきますね」
 
春香もいなくなり、再び二人きりになった給湯室…
小鳥「これで鍋も空になったし、次は洗い物ね」
「それなら俺が手伝いますよ」
小鳥「いいんですか?これから忙しくなるのに…」
「いいんですよ。これは今日のこれのお礼ですから」
小鳥「ありがとうございます」
「小鳥さん、今日は美味しい物をごちそうさまでした」
チュッ
プロデューサーは小鳥へとそっと口付けをした。
小鳥「お、お粗末さまでした。私もプロデューサーさんの唇、ごちそうさまでした」
チュッ
お返しとばかりに、口付けを返した小鳥。
「小鳥さん…」
小鳥「さあ、洗い物を片付けちゃいましょ」
「そ、そうですね」
二人並んだその光景は、後から食器を持ってきた律子に色々からかわれるほどだったようである…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
ども飛神宮子です。
新年初書きSSはこの日ならではの物となりました。
皆さんは食べましたか?七草粥。やはりこういう昔ながらの物は戴いておきたいものです。
しかし全員を登場させるのが大変でした…なかなかね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2010・01・07THU
飛神宮子
短編小説に戻る