Strong and Weak Points(得手不得手)

「あずささん、今日はよろしくお願いします」
あずさ「あら真ちゃん、こちらこそ今日はよろしく〜」
秋のある日のこと、あずさと真の2人はCMの撮影に来ていた。
あずさ「でも、私なんかで良かったのかしら?」
「あずささんだから選ばれたんだと思いますよ」
あずさ「そうかしら〜」
「それで今日はまず別々の撮影ですよね?」
あずさ「でもいいのかしら?」
「何がですか?」
あずさ「真ちゃんにばっかり動かせて、私はあんなシーンだけなのにー」
「いいんですよ。ボク体動かすの好きですから」
あずさ「そうよね、私は鈍くさいもの…」
「そんなこと無いですよ。あのダンスのキレは凄いですって」
あずさ「でも、真ちゃんに比べたら見劣りしちゃうから」
「そんな!あずささんのダンス、ボクは好きですよ」
あずさ「そう言われると嬉しいわ〜」
「そういえば、今日のミニライブは大丈夫ですか?」
あずさ「それも心配よ〜、真ちゃんとは初めてでしょ?」
「そうですよね、このCMだけのですから」
あずさ「歌は自信あるけれども、ダンスがちょっと心配かしら」
「それならライブ前にちょっと合わせますか?」
あずさ「そうしてもらえると助かるわ〜」
「はい、じゃあそうしましょう。あ、プロデューサーですよ」
あずさ「あらあ。もうそんな時間なのね」
「おはようございます、あずささん、真」
「おはようございます、プロデューサー」
あずさ「おはようございます〜、プロデューサーさん」
「調子はどうだ?真」
「バッチリですよ。今日は体力使うんで早めに寝ましたから」
「お、良い心がけだな。あずささんの方は大丈夫ですか?」
あずさ「はい〜、ちょっと不安なところはありますけど〜」
「不安って…あずささんの撮影部分はそうでもないかと思いますけど」
あずさ「そうじゃないです〜ライブの方です、プロデューサーさん」
「あーそうですね。真の方はどうだ?」
「ボクですか?ボクはたぶん問題無いかと思ってます」
あずさ「真ちゃんが一緒なんで、それは心強いですけど…」
「けど?」
あずさ「私が足を引っ張らないかが心配で…」
「大丈夫ですよ。むしろボクの方が歌を心配してるんですから」
「事前に歌合わせはしますし、それにミニライブですからそこまで気負わなくても大丈夫です」
あずさ「分かりました。それなら今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ。よし、まずはあずささんの撮影だから…ん?ちょっと待て…」
よくよく書類を見直したプロデューサー。
「あれ?さっき貰った書類だと全部2人で撮影だな…」
「ええっ!?本当ですか!?」
あずさ「あらあら〜どうしましょう」
「セリフは各々そのままなんですけど、ほらここに書いてあります」
あずさ「本当ですね〜」
「衣装は準備されているんですよね?」
「ああ。もし1人になった時のために両方とも2人分用意してあるからな」
「それならボクは良いですけど、あずささんはどうですか?」
あずさ「私もそれならそれで構いません」
「それなら準備に入りましょう。俺は外に出てるんで、そこに置いてある衣装に着替えてください」
「はいっ」
あずさ「あの、これですね?」
「このパジャマ着るの、久しぶりだなあ」
あずさ「そうね〜」
「じゃ、ちょっと俺出てますから。出来たら呼んでください」
あずさ「はい〜」
 
数分後…
あずさ「プロデューサーさん、いいですよ〜」
ドアの向こう側からあずささんの声。
「分かりました。それじゃあ失礼します」
ガチャッ
ドアを開けるとそこには…
あずさ「おかえりなさい、あ・な・た」
「ご飯にします?お風呂にします?それとも…フフフ」
パジャマ姿の二人がセリフ付きでお出迎えしてくれていた。
「な、何なんだよ真に、あずささん」
思わず赤面してしまったプロデューサー
「へへっ、やっぱり驚いてますねあずささん」
あずさ「そうね〜」
「驚くに決まってるじゃないか、そんな格好で唐突にそんなこと言われたらな」
「でもどうですか?」
「どうって…」
「こんなお嫁さんが迎えてくれたらどうかなって」
「そりゃ嬉しい…って何言わせるんだよ」
あずさ「あらあら、やっぱりそうなんですね〜」
「それでこんなことしている暇はあるんですか?」
「おおう、そうだな。メイクも仕上がっているみたいだし打ち合わせするか」
あずさ「はいー」
 
「じゃあボクは寝ているままでいいんですね?」
「ああ、その分次の撮影ではアクティブに動いてもらうからな」
「汗もかかなくちゃですからね」
あずさ「それでどんな感じで寝てましょう?」
「そうですね…特に指定は無いんですけど」
あずさ「撮影のベッドはキングサイズの物が1つでしたよね?」
「そうですけど…」
あずさ「それなら一緒に寝るしかないわね〜」
「そうですね…ってええっ!いいんですか?」
「ファンが満足するような形じゃないとなあ…何とかするしかないな」
あずさ「分かりました〜」
「仕方ないですね、頑張りましょうあずささん」
あずさ「そうね、真ちゃん」
………
「ふー…運動の後も!」
あずさ「んーっ…寝起きの時も〜」
真・あずさ「ライブの後も!」
真・あずさ「身体が欲しいのは水分とミネラル!」
真・あずさ『アイソトニックウォーター アクアブレイク 新発売!』
後々このCMの寝起きシーンの事態の収拾に追われたのは言うまでもないことだった…
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あとがき
ども、飛神宮子です。
いやあ台風凄いですね。久々の地元直撃(と言ってもかすりですが)ですよ。
まあそれとは別ですが最近書いていない二人で書いてみました。
じとー…あれ?何か嫌な視線が…
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2009・10・08THU
飛神宮子
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