さてさてここは876プロ事務所… |
絵理 | 「♪〜」 |
鼻歌交じりの絵理。何やら動画を見ているようだ。 |
愛 | 「何を見てるんですか?絵理さん」 |
絵理 | 「……!あ、愛ちゃん…」 |
愛 | 「あ、ああ、かわいいですっ!」 |
絵理 | 「そう…?」 |
愛 | 「でも何か見たことあるような人の気がするんですけど…」 |
絵理 | 「……っ!」 |
愛 | 「あれ?もしかしてこの人って…絵理さん?」 |
絵理 | 「ど、どうして…?」 |
愛 | 「だって、このダンス見覚えがありますからっ」 |
絵理 | 「…え?…あっ…!」 |
ある時、何気なくとあるダンスの振りをしていたのを、愛に見つかったことを絵理は思い出した。 |
愛 | 「でも、この背景って…どうやって撮影したんですか?」 |
絵理 | 「これは…合成だから」 |
愛 | 「すごーい!あたし、こういうの初めて見ました」 |
絵理 | 「…そう?」 |
愛 | 「でも歌が絵理さんの声じゃないですけど、どうしたんですか?」 |
絵理 | 「歌はわたし…得意じゃなかったから?」 |
愛 | 「でも、今はとっても上手じゃないですか」 |
絵理 | 「それは…練習とかしたから。わたしの昔のこと…知ってる?」 |
愛 | 「…そ、そうですね」 |
絵理 | 「だから、愛ちゃんや涼さんみたいに輝ける物は持ってなかった…」 |
愛 | 「そんなことないですっ」 |
絵理 | 「そ、そう?」 |
愛 | 「絵理さんは綺麗で、スラッとしてて、憧れますっ」 |
絵理 | 「あ、ありがとう…愛ちゃん」 |
愛 | 「だからそんなこと言わないでください」 |
絵理 | 「うん…。愛ちゃんだって、可愛くて?元気良くて?いいなって思うけど?」 |
愛 | 「元気だけが取り柄ですからっ」 |
絵理 | 「見ていると、わたしも凄く?元気が出るから」 |
愛 | 「ありがとうございますっ。あ、絵理さん他に映像ってあるんですか?」 |
絵理 | 「…見たい?」 |
愛 | 「はいっ、あるんですか?」 |
絵理 | 「愛ちゃんになら…うん」 |
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絵理 | 「…どうだった?」 |
愛 | 「どれも違う表情の絵理さんって感じです」 |
絵理 | 「…ありがとう愛ちゃん?」 |
愛 | 「でも…」 |
絵理 | 「でも?」 |
愛 | 「何だか今の絵理さんと違って、何か滲み出てくる雰囲気が暗い気がするんですけど」 |
絵理 | 「………」 |
愛 | 「あ、こ、こんなこと言ってゴメンなさいっ」 |
絵理 | 「いいの…確かに愛ちゃんの言う通りだった?から」 |
愛 | 「えっ…」 |
絵理 | 「だってネットの中でしか?自分を表現できない、そんなわたしだったから…」 |
愛 | 「絵理さん…」 |
絵理 | 「だから…今は楽しいから。こういう世界?もあったんだって」 |
愛 | 「あたしは、あたしは今の絵理さんの方が好きです」 |
絵理 | 「…フフフ、ありがとうかな?」 |
愛 | 「絵理さんって、笑顔が素敵ですっ」 |
絵理 | 「…そう?」 |
愛 | 「何だか上品で、んーと765プロだと…そう、雪歩さんみたいな」 |
絵理 | 「雪歩…さん」 |
愛 | 「静かだけど可愛らしくて、見ているこっちも温かくなっちゃうって感じです」 |
絵理 | 「そう言われると…照れる?」 |
愛 | 「あたしの笑い方は…誰なのかな?」 |
絵理 | 「……春香さん?」 |
愛 | 「ああ、そっかも。でも春香さんはあたしの目標でもあるし、ちょうどいいのかな」 |
絵理 | 「目標?」 |
愛 | 「あたしがこの世界に入るきっかけを作ってくれて、そしてあたしの目指す場所に居るんです」 |
絵理 | 「目指す…場所?」 |
愛 | 「はいっ、春香さんみたいに輝けるアイドルになりたいんです」 |
絵理 | 「愛ちゃん…愛ちゃんならきっと…大丈夫」 |
愛 | 「そう言われると元気が出ちゃいます」 |
絵理 | 「…そういえば今日はどうしてここに?」 |
愛 | 「え?今日って涼さんも一緒に、写真撮影ですよね?」 |
絵理 | 「それ…来週?」 |
愛 | 「え、えーっ!?」 |
絵理 | 「雑誌の表紙のやつ?それ?」 |
愛 | 「はい…ら、来週でしたっけ?」 |
絵理 | 「…うん。もしかして、間違えた?」 |
愛 | 「しゅん…じゃあど、どうしよう…」 |
絵理 | 「ゆっくりでいいんじゃ?」 |
愛 | 「そうですね。あ、絵理さん麦茶持ってきますね」 |
絵理 | 「…ありがとう」 |
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愛 | 「あーあ、すっかり勘違いしちゃってたぁ」 |
絵理 | 「でも愛ちゃんのそんなところが可愛い?」 |
愛 | 「絵理さんまでそう言うしー。あれ?そういえばじゃあ絵理さんはどうして?」 |
絵理 | 「私だけ衣装がまとまらなかったから?」 |
愛 | 「そっかあ、そうだったんですね」 |
絵理 | 「でも話し相手が出来て良かった?」 |
愛 | 「あたしも絵理さんのことが分かって良かったです」 |
絵理 | 「もっと…知りたい?」 |
愛 | 「もっとですか?う、うーん…」 |
絵理 | 「フフフ、なーんて」 |
愛 | 「あーっ、騙しましたね絵理さんっ」 |
絵理 | 「でも、まだ知らないことは…あると思う」 |
愛 | 「たぶん絵理さんが知らないあたしのことも、まだきっといっぱいありますよね」 |
絵理 | 「これから…知ればいい?」 |
愛 | 「そうですね。まだ時間は…いっぱいありますよね」 |
絵理 | 「愛ちゃんのことも、あとは涼さんのことももっと知りたい…かな?」 |
愛 | 「涼さんもまだ秘密がいっぱいありそうですよね。だって…」 |
絵理 | 「うん、だって…」 |
二人とももう本人から聞かされたので涼の性別のことは分かっている。 |
愛 | 「これから…かな?」 |
絵理 | 「うん。これから、ですね」 |
二人は互いに微笑み合っていた… |