Orange Pillows on Green Wave(緑の波に橙を載せて)

ここはある日のとあるラジオ局。
ポーン♪
♪〜
律子「秋月律子の…空のなないろ!」
律子の軽快なタイトルコールとともに番組が始まった。
律子「時刻は2時になりました。FM-△△△、◇◇◇FM、FM○○○をお聴きの皆さまこんにちは」
さすがにもう慣れたものである。
律子「そして今週から、□□□-STATION、FM ☆☆☆、FM-▽▽▽の皆さまにもお聴き戴くことになりました」
リスナーが増えたからか、心なしか声も弾んでいる。
律子「全6局ネットとなりました今週は記念として、ゲストをお呼びしています」
どうやらブースの外にいる女の子のようだ。
律子「今週のお便り募集テーマは2つです。先週までの3局の方は□□、☆☆、▽▽で思うこと、今週からの3局の方は△△、◇◇、○○で思うことです。もちろん普通のお便りも大募集しています」
流れるようにトークが続く。
律子「FAXは〜〜〜〜、メールは〜〜〜〜〜です。携帯からも大丈夫です。お便りが読まれた方には番組特製ステッカーをプレゼントしています」
CM前の最後に…
律子「それでは、今週も4時までの2時間。ラジオの波が私とリスナーの七色の架け橋になりますように…」
オープニングをしっかりと締め、CMへと入った。
カチャッ
律子「やよい、入ってきて」
キョロキョロキョロ
当のやよいは何か落ち着かない様子。
律子「どうしたの?何か珍しいものでもあったかしら?」
やよい「律子さん、凄いなあって。私との仕事もあるのに、こんな仕事もしてるんですね」
律子「これもやよいと組む前からやってる大事なお仕事だから。ほら、もう時間が無いから入ってこれ着けて」
やよい「はいっ」
CMが空けて…
律子「はい、では最初にゲストの紹介です。私の大事な相方と言えばお分かりでしょう…高槻やよいちゃんです!」
やよい「こ、こんにちはー」
律子「ほらほら、緊張しなくていいじゃない」
やよい「でもでもこういう生放送って何だか緊張しちゃいます」
律子「確かにそうね、私も最初の頃はそうだったわ。それはいいとして…んー、それではまずは自己紹介をして貰いましょう」
やよい「はいっ!高槻やよいです。『秋のま〜ち』で律子さんと一緒に歌ったりしてまーす」
律子「私たち、組んでもう3年目になるのよね」
やよい「律子さんとは確か…5歳違いです。あと…趣味はオセロですっ」
律子「えっと…やよいが中1で私が高3だから合ってるわ。やよいのオセロは…なかなか侮れないのよね」
やよい「あ、あとは何を喋れば良いですか?律子さん」
律子「そうねぇ…うん、それくらいでいいわ。さて、リスナーの方からやよいちゃんへのお便りもお待ちしています」
やよい「うあー、どんなお便りが来るか楽しみです」
律子「あと、今日は私たち秋のま〜ちに関するお便りもお送りください。FAXは〜〜〜〜、メールは〜〜〜〜〜です」
やよい「いっぱい送ってくださーい」
律子「そうそう、リスナーの方に驚かせるのもアレだから言いますね。いつも私たちはこんな感じで話してます」
やよい「はい。だから律子さんが私を呼び捨てで呼ぶのはいつものことなんです」
律子「なので、変には思わないでくださいね」
やよい「リスナーのみなさん、お願いしまーす」
律子「じゃあそろそろお便り行こうかしら。まずは1通目…こちらは新しく入った▽▽の×××さんからね」
やよい「ありがとうございまーす」
律子「今までは微弱なFM-△△△の電波を拾って聴いてましたが、今週からFM-▽▽▽でクリアに聴けることになって嬉しいです」
やよい「それは良かったですー」
律子「それで今週のテーマ△△、◇◇、○○で思うことですが、さっきのこともあって△△に物凄く親近感があります」
やよい「あれ?律子さん、▽▽と△△って隣同士でしたっけ?」
律子「そうよやよい。えっと…車でもそう遠くは無いので、たまに遊びに行ったりもしています…ですって」
やよい「そうなんですかー」
律子「やよいって、友達とかと遊びに行くことってある?」
やよい「えっと…学校の友達とならほんのたまにですけど行きますよ。でも…」
律子「でも?」
やよい「最近はアイドル活動が忙しくって、あんまり遊べてないなーって」
律子「そうよねえ、こういう仕事をしていると出来なくなっちゃうわよね」
やよい「それに、名前が知られるようになっちゃったから…」
律子「それが有名税って物よ、やよい。割りきっちゃわないといけないところよ」
やよい「そうですね、律子さん」
律子「それじゃあ次のお便りは…○○の方ね。■■■■さんありがとうございます」
やよい「ありがとうございまーす」
律子「いつもラジオ聴かせて戴いてます。今日のテーマですが、私は仕事の関係で隣とその隣、つまり☆☆に行くことも多いです」
やよい「山の向こう側ですよねー」
律子「そうねやよい。それで…なのでたまにドライブがてら行くことも多いのですが、今度は向こうでもこのラジオが聴けるようになれて良かったですって」
やよい「☆☆までですかー、一度行ってみたいですー」
律子「え?私と一度行ったじゃないやよい」
やよい「え?そうでしたっけ?」
律子「ほら、一昨年の夏に回ったでしょ?」
やよい「あー!そうでした。ご飯がとっても美味しかったですー」
律子「やっぱり広い県だけあって、一部でも色々見どころがあったわよね」
やよい「はいー」
律子「あら、次は私たちへのお便りよ」
やよい「本当ですか?ありがとうですー!」
律子「今日から聴けるようになったFM ☆☆☆で聴いている◆◆◆◆です。やよいちゃんがゲストだなんてびっくりしました」
やよい「え?律子さん、私が出るって言ってなかったんですか?」
律子「ええ。それも面白いと思ってそうしたの」
やよい「そうだったんですかー」
律子「ええっと…秋のま〜ちはデビュー当時からのファンですって」
やよい「あれ?☆☆でデビューからのファンって…律子さん、もしかしてあのファンレターの人じゃないですか?」
律子「なるほど、それならこのペンネームって…ははーん、そういうことね」
やよい「◆◆さん、いつもファンレターありがとうございますー!」
律子「あ、まだ続きがあるわ。それでお二人にお聞きしたいことがあります。お互いのどんな所が一番好きですか?ですって」
やよい「律子さんのどんなところが、一番好き…ですか?」
律子「そうね、じゃあやよいからお願いできる?」
やよい「分かりました。えっと、私のお姉ちゃんみたいな存在でいてくれるところ…かなあ」
律子「そ、そうだったの?」
やよい「はいっ!私って兄弟で一番上だから、お姉ちゃんとかお兄ちゃんって憧れの存在なんです」
律子「そっか…でもこうやって面と向かって言われると、何だか少し恥ずかしいわ。でもありがと、嬉しいわ」
やよい「どういたしましてです。じゃあ律子さんはどうですか?」
律子「私?んー、そう考えると同じかもしれないわね」
やよい「それってどういうことですか?」
律子「可愛い妹みたいな存在でいてくれるってことよ」
やよい「私がですか!?」
律子「従弟は確かにいるんだけど、やよいみたいな可愛いけど根がしっかりしている妹って…大好きよ」
やよい「律子さん…嬉しいです、ありがとうございます」
律子「どういたしまして…っと、そろそろ一旦CMに入ります。CM明けから最初のコーナー、『ハイセンライセン』です。それではCMです」
………
番組も終わりに近付き…
律子「さて、ネット局が拡大して最初の放送になりました空のなないろ、いかがだったでしょうか?」
締めのトークに入った律子。
律子「今日はゲストに、私の相方でもあります高槻やよいちゃんをお呼びしてお送りしました。どうだった?やよい」
やよい「うー…生放送だったんで凄く緊張しちゃったかなあって」
律子「それでもよく喋っていたじゃない」
やよい「律子さんが一緒だったから、心強かったですー」
律子「私も今日はやよいと一緒で楽しかったわよ」
やよい「そうだったんですか?良かったですっ」
律子「じゃあこのままエンディングまでやっちゃうから、やよいもちょっと手伝ってね」
やよい「はーい」
律子「まずは、来週のお便り募集からね。来週は□□さん担当週になります」
やよい「普通のお便りのテーマは節分も近いので、テーマはあなたの周りの鬼な人です」
律子「□□さんのいつものコーナーへのお便りも、もちろん大募集中です」
やよい「えっと、FAX番号は〜〜〜〜、メールは〜〜〜〜〜です。コーナー名も忘れずにお書きください」
律子「来週もゲストがいらっしゃるそうです。誰なのかは来週まで楽しみにしていてください」
やよい「ちゃんと来週も聴いてくださーい」
律子「それではまた来週、私とはまた再来週お会いしましょう。最後もお願いね、やよい」
やよい「はいっ」
律子「虹のたもと、それは素敵な宝物があると言われる場所…」
やよい「私たちからあなたへの声の宝物…」
律子「虹の架け橋に乗って届きましたか…?」
やよい「この広い青に架かる素敵な…」
律子・やよい『空のなないろ!』
♪〜
エンディングの音楽が徐々にフェードアウトしていき、2時間の生放送が終わった。
律子「ふう…やよい、おつかれさま」
やよい「律子さんもおつかれさまでした」
律子「やよいは生放送は初めてじゃないわよね?」
やよい「でもでも、2時間も生放送なんて私は初めてだったから…」
律子「そっか…そういえばそうよね。でも、今日は本当に楽しかったわ」
やよい「私もですっ」
律子「じゃあこれからは定期的にこの番組に出てもらうことにしようかしら?」
やよい「え、ええーっ!」
律子「冗談よ冗談」
やよい「でもこういうのも、たまにだったらいいかもです」
律子「あら?じゃあ月に1回くらいでプロデューサーに相談してみる?」
やよい「私はいいですけど、でも勝手に決めちゃっていいのかなあ?」
律子「大丈夫よ。秋のま〜ち予定管理はほとんど私の役割だから、何とかするわよ」
やよい「ありがとうございますっ!」
その後、ラジオで月1のやよいのコーナーが出来たのは言うまでも無いことだった…
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あとがき
ども飛神宮子です。
やよりつは私の基本ですから。でもちょっといつもと違う感じになりました。
6局で感付いた方、そういうことです。文字数は関係ないことも分かったでしょう。
でもラジオなのである程度のセリフ長が必要ではありますが…難しいものですね。
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2010・01・24SUN
飛神宮子
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